Sustainability | ~ 3 min read
その投資はどのくらいサステナブル?
サステナブル投資をどう定義するかは、この業界で難しい問題であり続けています。しかも、規制の動きによってその難しさは増しています。規制がサステナブル投資の一般的な定義を提供する一方で、さまざまな解釈の余地を残しているからです。
欧州連合のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR) は、投資が「サステナブル」であると認められるには3つの基準を満たさなければならないとしています。
- 投資対象の経済活動が、環境目的または社会目的にプラスの貢献を果たすこと
- 投資がほかの環境目的または社会目的に重大な害を及ぼさないこと
- 投資先企業が良好なガバナンス慣行に従っていること
2021年にSFDRが導入されて以来、投資業界には特に「サステナブル投資」という概念の解釈をめぐる曖昧さが存在しています。市場ではさまざまな解釈がみられますが、これらは主に2つのアプローチに集約することができます。
- 活動ベース:プラスの貢献を果たす活動が企業収益に占める比率を、サステナブル投資の割合とみなすアプローチです。ただし、「重大な害を及ぼさない(Do No Significant Harm)」原則、および良好なガバナンス基準が満たされていることが条件となります。例えば、ABCエネルギー社の収益の30%が再生可能電力、70%が非再生可能電力による場合、サステナブル投資の割合は30%となります1。
- 企業レベル:このアプローチでは、サステナブル投資の評価はイエスまたはノーの二者択一で行われ、投資運用会社内の方法論と前提によって判断されます。それらの方法論では一般に、次の要素、つまり、サステナブルな収益の最小割合、ネットゼロへのコミットメント、ESG2のパフォーマンスの最高スコア、個別の重要業績評価指標 のうち、1つまたは複数の要素を考慮します。さきほどと同じ例でいえば、ABCエネルギー社はその収益の20%以上が再生可能電力に由来するため、同社への投資は「サステナブル投資」に分類されます。
欧州委員会はSFDRのQ&Aにおいて、「サステナブル投資」の定義は非規範的であり、投資会社は自社独自の評価を実行するとともに、基礎となる前提を開示する必要があることを確認しています。
弊社の見解
弊社は、欧州委員会が包括的な規制策に動いた理由を評価しています。ただ、同委員会は、そうした重要な評価に必要な基準が市場で生まれる機会を見逃していると思われます。この状況がサステナブル戦略のイノベーションの可能性を高めることもありますが、顧客にとりファンドの比較可能性が限られてしまうおそれもあります。
弊社は、活動ベースのアプローチの方が精度の点で上回っており、このアプローチではサステナビリティに対する社内の確信を評価に組み込むことも可能だと考えています。アリアンツGIには、重要テーマである気候変動、プラネタリーバウンダリー、インクルージブキャピタリズムに関する社内リサーチの専門知識に基づいた独自の方法論があります。また、弊社は社内基準を定義する際に、EUタクソノミー目標および国連持続可能な開発目標を指針として利用しています。
アリアンツGIの方法論は、弊社の投資プロフェッショナルが一段と持続可能な未来に貢献する企業を見極め、顧客のサステナビリティ目標の達成を支援する上で強力なツールとなっています。