日銀政策決定会合
日銀の国債買い入れ減額計画の中間評価が焦点となる一方、政策金利は据え置きの見通し

要点
- 日本銀行(日銀)は、6月の会合で政策金利を据え置く一方で、引き締め姿勢を維持する見通しです。
- 今会合の最大の焦点は、日銀による国債買い入れ減額計画の中間評価の結果です。現在の減額ペースは維持される見通しですが、日銀は2026年4月以降の道筋について最初のガイダンスを示し、減額ペースの緩和を示唆する可能性があります。
- 経済の不確実性は非常に高まっています。関税の対立が成長に悪影響を及ぼし、供給ショックが続き、インフレ基調の持続可能性に関する見通しは不透明です。このような環境下、日銀はコミュニケーションの柔軟性を維持し、強力なガイダンスは示さないと予想します。
日銀政策決定会合(6/16-17)の見通し
日銀は、6月の会合で金利を据え置き、ひとまず追加利上げを見合わせるとともに、引き締め姿勢を維持すると予想されます。関税をめぐる不確実性が高く、こうした措置の経済的影響は遅れて現れるため、見通しを圧迫しています。インフレが高止まりを続ける一方で、最近のGDP成長率の鈍化が懸念を増大させています。しかし、現在の消費者物価指数(CPI)の強さの多くは依然として供給ショックに起因しており、基礎的なインフレ圧力の評価を複雑にしています。関税をめぐる不確実性が、日本における賃金・物価の好循環を牽引する自動車分野を中心に企業収益や賃金の伸びを脅かしており、次の利上げ時期を予測することがますます困難になっています。
今回の会合では、日銀による国債買い入れ減額の中間評価が主な焦点となります。足元の減額ペースに変更はないと見られます。イールドカーブの超長期ゾーンでボラティリティが上昇していますが、その他のゾーンはしっかりと安定しています。このため、日銀は、自らの行動が最近の長期金利上昇の主因ではないと判断する可能性が高いでしょう。むしろ、当面の資金需要を上回る財務省の国債発行が、需給バランスの悪化につながったと思われます。市場の多くは、財務省による長期国債の発行量の調整が、日銀による政策変更よりもはるかに効果的にこの問題に対処できると考えています。日銀は、この中間評価の中で、2026年4月以降に国債買い入れ減額のペースを落とすことを示唆し始める可能性があります。より包括的な政策の見直しは来春に予定されています。国債買い入れ減額に関する予測可能性を高める自らの取り組みに沿って、日銀は、景気の先行き不透明感が高まる中で柔軟性を維持しつつも、今後の減額ペースの調整は可能な限り事前に公表する可能性が高いと見られます。
このような環境下、弊社のスタンスは次のとおりです。日本株は、やや前向きな見通しを維持します。欧州など他の地域において短期的に上昇要因がより強まる可能性はあるとしても、堅調な収益成長と魅力的なバリュエーションは日本株の下支え要因となります。日本国債は、政策の道筋をめぐる不確実性が続いており、中立的なスタンスを維持します。しかし、イールドカーブのポジショニングには選択的な機会があると見ています。例えば、長期金利の最近の急上昇を受け、イールドカーブのフラット化取引に妙味が生じ、日本円以外からの投資家に魅力的な為替ヘッジ後の絶対リターンを提供しています。円相場は、やや前向きな見方をしています。短期的に日銀は政策を据え置くものの、中期的な金融政策の乖離は引き続き日本円に有利に働きます。さらに、より広範なドル離れの動きが追加的な下支え要因となる可能性があります。