日本株月次レポート:2026年2月

AIにいくら払いますか

「設備投資の二面性」という概念があります。投資を実施する主体は生産能力を拡張して将来の需要拡大に応えることを目的としていますが、それと同時に、能力増強のため最新機械設備やITシステムを導入する行為自体が、機器納入企業にとっては需要拡大であり、すでに経済成長に寄与していることを指します。日本株市場でのAI関連銘柄の上昇は後者のフェーズにあります。データセンターの投資の収益化はしばらく先になるとみられていますが、大規模なデータセンター投資が継続し、生成AI半導体に使用される部材、半導体製造装置、データセンター向け光ファイバー、電力インフラなどを提供する日本企業は恩恵を受けています。

 

主要ハイパースケーラー(大規模クラウドサービス提供企業)は、標準化された製品/サービスを世界中に販売する展開力があるため、ひとたびマネタイズが本格化すれば投資回収が見込めるとの判断があると考えます。日本企業は、サプライチェーンの中でのグローバルニッチトップの企業が多いため、ハイパースケーラーの設備投資自体が多くの日本企業の需要拡大となっており、このステージが長く続くことが収益拡大の大きな牽引役となります。

 

2025年から29年までのデータセンターへの投資は大規模で伸び率も高いことが予想されています。この5年間で主要企業の累計投資額は2.8兆ドル以上との予測もあり(注1)、その後も安定した投資が続くと予想されています。毎年、日本の国家予算の半分以上の投資がなされる一方、本格的な収益化はしばらく先と想定されるためAIバブルとの懸念が台頭するのも理解できます。

 

以下生成AIで集めたデータを使った頭の体操です:

前提: 主要ハイパースケーラーが202529年累計2.8兆ドル、その後は半永久的に年間5,000億ドルの投資を行い随時3年目から収益化するという想定で、IRR20%を満たす必要な毎年のキャッシュフローは、約1兆ドル(実効税率25%)と算出されます。

個人向け広告市場: 2030年時点の予測 3,330億ドル(注2)

法人向け市場: 2034年時点の予測 5,607億ドル (注3)
その他の収益源としては政府・公的機関と、個人向けのOSライセンスやデバイスとのバンドル(AI実装分の値上げ)、AIアプリ(大規模言語モデル、画像生成、翻訳・学習アプリなど)の課金が考えられます。

仮に、「10億人」の個人ユーザー × AI関連月額支払い「20ドル」× 12ヵ月2,400億ドル、という市場が早期に立ち上がるとすれば、投資回収の確信度があがり、バブル懸念も後退すると考えます。「10億人」、「20ドル」というパラメータを動かせば、シナリオを変えることができます(注4)。もちろん上記予想数値は市場規模であり投資者が受け取る金額とは異なります。また電力不足といったボトルネックやサーバーアップグレードに伴う追加コストをどう克服するか注視する必要があります。

 

AIの利便性が高まり、一定のコストを払ってでも使わざるをえない(例えば光熱費、家賃、スマホ使用料などと同様の)生活・業務インフラとして定着し、企業にとってもAIが「コスト」でなく「人件費の代替」として認識される段階に達すれば、堅実な需要に裏付けられた設備投資の好循環が持続すると期待できます。当社はグラスルーツ®という実際のユーザーや企業のIT担当者に直接インタビューするリサーチ・ケイパビリティをもち、またグローバルテクノロジーを横串で調査するアナリストが産業動向と技術トレンドを追いかける体制をとっています注5)。今後のAI技術と社会実装の進展において、有力な調査能力を活かしていきたいと思います。

注1:The Tradable 「Citi Raises AI Capex Forecast to $2.8 Trillion by 2029
注2:出所 Investing.com 「Wells Fargo forecasts ChatGPT to generate $100B in advertising revenue by 2030」
注3:出所 Precedence Research 「Enterprise Artificial Intelligence (AI) Market Size, Share and Trends 2025 to 2034
注4:「10億人」 世界のインターネットユーザー60億人、うち現在のAIユーザーは10億−13億人と言われています。AI使用率20%程度なので今後上昇余地はあるかもしれません。「20ドル」 スマホ月額使用料の世界平均は25ドル、スマホユーザー49億人のアプリ課金の平均は30ドル程度と言われています。AI機能で単価アップや、ほかの機能からの代替可能性を考えれば20ドル以上の支払いの可能性もあると考えます。
注5:日本株月次レポート | 2024.04.01 当社日本株月次レポート「グラスルーツリサーチ®のさまざまな使い方」、日本株月次レポート | 2024.05.01同「生成AIと日本株」

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