テクノロジー関連

AI- 短期的な懸念で大局を見失う?

人工知能(AI)は、近年、世界の金融市場における最大のテーマとなっています。自然言語処理の飛躍的な進展を支えると同時に、自律型システムを可能にするなど、AIはかつてないスピードで産業構造を塗り替えつつあります。一方で、企業価値の高騰や設備投資の急拡大を背景に、「AIバブル」への懸念が多くの投資家の間で語られるようになっています。では、私たちは再びITバブルのような局面を目の当たりにしているのでしょうか。 私たちの見方では、短期的な市場の変動は避けられないものの、AIの長期的な成長ポテンシャルは依然として過小評価されていると考えます。実際、現在の市場サイクルは決して終着点ではなく、今後何年にもわたる変革的な成長の基盤となり得る段階にあると考えています。

短期的なリスク

数字は非常に印象的です。世界のAI関連設備投資(CAPEX)は、2025年だけでも4,000億米ドルを超えると見込まれており、今後5年間では累計で数兆ドル規模に達すると予想されています。この投資拡大を主導しているのは、ハイパースケーラー、半導体大手、そしてデータセンター事業者です。一方で、いわゆる「マグニフィセント・セブン」は過去数年間におけるS&P500指数のリターンの75%(設備投資の伸びでは約90%)を占めており、足元では指数全体の30%超を構成しています。この集中度は多くの指標で見ても、ITバブルのピーク時を上回る水準にあります。

足元では、いくつかのバブル兆候が点灯しつつあります。現在、設備投資(CAPEX)の対EBITDA比率は50〜70%に達している一方で、AI関連の売上高は、こうした投資規模を正当化するには依然として大きく及んでいません。

19世紀の鉄道や1990年代の光ファイバー網はいずれも社会を大きく変革した技術でしたが、初期段階で過剰投資を行った事業者にとっては必ずしも良好なリターンをもたらしませんでした。中期的な調整が起こり、テクノロジー株主導で市場全体が下押しされるリスクが生じる可能性があります。

中長期的な視点で捉える

このようなリスクが存在する一方で、AIに関する構造的な成長は依然として非常に底堅いものがあり、中長期的に前向きな見通しを支える要因は少なくとも三つあります。

第一に、テクノロジー分野への支出は引き続き加速しており、その背景にある成長ドライバーは必ずしもAI固有の用途に限られていないという点です。

第二に、AIの性能面での飛躍的な進捗です。近年、複数の分野で人間の能力を上回る水準に到達したほか、予測推論における進化も続いており、その進展は漸進的なものではなく、技術革新のスピードを大きく押し上げる加速局面にあります。

第三に、私たちは依然としてAI開発のごく初期段階にあるという点です。現在のAIアプリケーションは、主にテキスト生成など特定のタスクに特化した比較的限定的なものにとどまっています。しかし、今後10年で大きな進展が見込まれており、とりわけ人間の監督のもとで意思決定を支援するAIが幅広い産業において電子システムの一部として活用されていくと考えられます。さらに、今世紀半ばには「汎用人工知能」に近づく可能性も指摘されており、この数十年にわたる長い時間軸を踏まえれば技術革新や投資機会が尽きるとは考えにくいでしょう。

このように、ITバブルの時代と比較すると一見魅力的ですが、必ずしも的確とは言えず、両者の間にはいくつかの重要な違いも存在します。例えば、足元のAI向け設備投資の多くは、1990年代後半に見られたような投機的な株式発行による資金調達ではなく、企業のキャッシュフローから賄われています。

また、市場構造自体も大きく異なります。現在は、AIインフラを構築するために必要な規模を持つプレーヤーが限られており、ほんの一握りの大手企業が中心となっています。さらに、クラウドコピューティングが広く普及していることで、設備容量の管理は以前に比べてはるかに柔軟になり、供給過剰に陥るリスクも緩和されています。

したがって、ベンチャーキャピタル市場では一部に過熱感が見られるものの、その影響が上場株式市場全体に大きく波及しているわけではなく、現時点では限定的にとどまっています。

図表1:AIと人間の能力比較テスト結果
AIのパフォーマンスがゼロラインを超えた場合、人間よりも高いスコアを記録したことを意味します。各領域において、AIの初期パフォーマンスは -100 に設定されています。人間のパフォーマンスは基準値としてゼロに設定されています。

注:各能力について、AIの初年度の初期値は常に -100 に設定されています。同年内に性能が向上した場合でも、この初期値は変更されません。

出所:Kiela et al. in Dynabench: Rethinking Benchmarking in NLP (2021)、Plotting Progress in AI (2023)。

図表2:AI革命はまだ始まったばかり
AIは今後10~15年で人間の知能に近づく可能性がある。

出所:Allianz Global Investors, Voya Investment Management、2025年時点。

過度な集中リスク

こうした観点からも、「マグニフィセント・セブン」をはじめとする超大型株への極端な集中を避ける分散投資は賢明です。集中リスクは決して軽視できません。また、投資家は設備投資ブームの「調整後」の局面も見据える必要があります。その段階では、設備投資拡大の恩恵を受ける企業が、より強固で持続的な競争優位性を備えたかたちで浮かび上がってくるでしょう。

長期的に見れば、この技術は非常に大きな可能性を秘めている一方で、社会や国際政治に対して重要な課題ももたらします。一部のシナリオは懸念を伴うものの、近い将来にAIが人間を完全に置き換えるリスクは一部で想定されているほど大きくはないと私たちは考えています。現在、特化型AIの有用性が過小評価されているのと同様に、複雑な計画立案や実行といった人間レベルの能力に到達するまでの難易度や時間は、単純なベンチマークが示唆する以上に高く、より長い時間を要する可能性があります。

このことは、AIによる生産性向上が想定よりも早く実現する一方で、雇用や富の分配に対する広範な負の影響が顕在化するまでには、より長い時間を要し、その結果として対処、緩和する余地も大きいことを意味しています。

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