日銀政策決定会合
政策金利据え置き見通しの中、日銀の円安影響へのコメントが焦点
要点
- 日本銀行(日銀)は、1月の会合で金融政策を据え置く見通しです。
- 会合に合わせ新たな展望レポートが公表される予定です。高市政権による財政支出の増加を背景に成長見通しの小幅な上方修正が見込まれる状況下、経済成長とインフレの組み合わせの変化に投資家の注目が集まると見られます。
- 円安再燃に関し、経済見通しへの言及や植田総裁のコメントが今後の焦点となります。ただし、植田氏は追加利上げについての踏み込んだ発言を控えると予想します。
- 日本株は、世界の他の市場との比較でも引き続き前向きな見方を維持する一方、日本国債はアンダーウェイトを継続します。
日銀政策決定会合(1/22-23)の見通し
今週の日銀会合で大きな政策変更はないとの見方が市場の大勢で、弊社も同様に見ています。日銀は12月に利上げを行ったばかりであり、まずその動きの影響を見極めると見られます。また、日銀および植田総裁からのフォワードガイダンスは限定的なものになると予想します。政治的不確実性が国内外で高まっていまり、国内では高市首相が解散総選挙に踏み切ったことで足元の不透明感が増しています。首相個人の高い支持率とは対照的に、自民党の支持率は低迷しており、公明党など野党2党による最近の合流の動きもあって、選挙結果の行方は予断を許さない状況です。国外では、日中貿易摩擦が依然として未解決の一方、グリーンランドをめぐる米・EU間の紛争により、新たな地政学的リスクが生じています。日銀が政治キャンペーンにおける議論に反応する可能性は低いと見られます。貿易紛争に関して、日銀はその影響がデータに表れるのを確認する必要性を強調すると見られます。以上を総合すると、不確実性を背景に金利は据え置かれる公算が大きく、今回会合での踏み込んだ発言は想定しにくい状況です。また、市場は債券市場に関するシグナルにも注目している可能性があります。
今回会合における最大の不確定要素は、日銀の円安への対応です。制度上、為替管理は財務省の所管であり、日銀は一貫して、その使命は為替レートではなく国内経済にあるとの立場を強調してきました。もっとも、最近のメディア報道では、円安の影響が従来よりもインフレに波及しやすくなっているとの懸念が日銀内部で高まっているとされています。それでも、為替に関して強く明確なトーンを植田総裁が示すことは想定していません。円相場に反応して利上げ時期の前倒しを示唆すれば、政策運営の柔軟性を実質的に低下させることにつながります。これまでのところ、植田氏はこのトレードオフを受け入れる姿勢を見せていません。その代わりに植田氏は、「見通しが実現すれば、日銀は金融緩和の縮小を継続する」との従来の条件付きガイダンスを踏襲すると見られます。植田氏は、財政支援による成長見通しの改善や賃上げの進展を強調し、ベースラインシナリオ実現の可能性が一段と高まっていることに言及する可能性があります。しかし、市場は(本稿執筆時点で)すでに60%近い確率で4月の利上げを織り込んでおり、そのような表現では市場の期待に届かない恐れがあります。日銀が過去2年間繰り返してきたメッセージから明確に踏み出せば強力なシグナルとなり得ますが、今回会合における弊社のベースケース・シナリオではありません。
こうした状況を背景に、日本株は前向きなスタンスを維持します。実際、世界経済および国内経済の成長見通しはいずれも支援材料であり、財政政策がさらなる追い風となる見込みです。円相場は、円が依然として大幅に割安でリスクオフ局面での分散効果が期待できる一方、対米ドルでのネガティブキャリーが続いていることから、中立的なスタンスを維持します。口先介入の頻度が高まる中、為替介入が意識される水準まで円安が進行していることは、確かな下支え要因となっています。ただし、日銀からの限定的な追加ガイダンス、選挙公約による過剰な財政支出への懸念、そしてハト派色を弱めたFRBの動きが円相場の下押し要因となる可能性があります。
日本国債はアンダーウェイトを継続します。実質金利は依然としてマイナスであり、利回りが急上昇したにもかかわらず、国内投資家の本格参入は見られていません。選挙に関連した財政公約が、さらなる相場の下押し圧力を招くリスクがあります。日本国債への投資を再び増やすべき局面に近づきつつある可能性はあるものの、現時点ではまだその段階には達していないと考えます。