Five themes for 2024

テーマ5:インパクトあるソリューションの模索

2024年に向けたサステナブル投資の5つのテーマのうち、最後のテーマを取り上げる本稿では、パブリック・マーケットおよびプライベート・マーケットへの投資を通じたインパクト投資が気候変動との闘いにおいていかに重要かを検証します。

国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP 28)では、その最終文書で化石燃料への言及、具体的には化石燃料が気候変動を引き起こす原因であることが明言され、世界のリーダーたちによるこの「前例のない」合意が大きな注目を集めました。ただし、昨年12月に開催された同会議の潜在的な動きの中で最も重要だったのは、多くの参加者が気候変動危機のソリューションに関わりたいという意欲を明確に示したことでしょう。

気候、地球、そして社会に及ぶリスクを軽減し、リスクに対応するために必要なテクノロジーとソリューションを開発、スケールアップするという困難な取り組みがスタートしています。

この取り組みでは、急速に台頭しつつあるインパクト投資マーケットが重要な役割を果たします。

インパクト投資とは、環境に測定可能なプラスのインパクトを創出し、かつ投資利益を上げることを目的とした投資です。フェアフィールド・マーケット・リサーチ によると、インパクト投資は2030年末までに4兆5,000億米ドル規模に達する可能性がありますi

これまで、インパクト投資に適しているのはプライベート・マーケットでした。プライベート・マーケットが比較的限られたステークホルダーグループと個別プロジェクトベースの投資により、具体的で測定可能な結果を実現するマーケットだからです。

アリアンツ・グローバル・インベスターズは、プライベート・マーケットにおける弊社のインパクト投資を熟慮し、このテーマにどうアプローチするかをまとめたホワイトペーパーを公表しました。ホワイトペーパーの概要は以下のとおりです。


  • サステナビリティの3類型である重大なプラスのインパクト(Significant Positive Impact)プラスの利益(Positive Benefits)サステナビリティ・インプルーバー(Sustainability Improver):これは、インパクト投資によって実現可能なインパクトを弊社が分類したものです。弊社独自の定義を行うことで、投資がどの程度のインパクトをもたらすかをより適切に判断することを目的としています。
  • 弊社の評価アプローチインパクト・マネジメント・プロジェクト で定められたインパクトの5つの性質を用います。これにより、インパクト(必要投資額に対して創出されたインパクト)を効率よく理解することができます。.
  • 企業による貢献(投資対象のプロジェクトが創出したインパクト)と投資家による貢献(パートナーとともに投資家として創出したインパクトの価値)を区別する重要性

インパクト投資においては市場の利益率の達成が困難なことが長らく懸念されてきましたが、機会集合の増加に伴いこの懸念は後退していると弊社は考えています。

パブリック・マーケットに関しては、測定・評価のための堅牢なツールを開発することがインパクト投資をスケールアップする上での大きな課題です。弊社は、プライベート・マーケットにおけるインパクト投資の経験(このほど、FMOおよびスカンディア と共同のSDGローンファンド によって実証)、およびホワイトペーパーで概要を示したフレームワークを通じ、信頼できるインパクト戦略をパブリック・マーケットにおいて長期的に作り上げる最善の方法について、検討を続けています。

これまで、2024年に注目すべきサステナビリティの5つのテーマを検証してきました。世界が気候変動危機に対する現実的なソリューションを求めている中、インパクト投資が果たす役割は拡大しているといえるでしょう。


Top Insights

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経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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