Five themes for 2024

テーマ3:ESGの終焉、そしてESG 2.0の喜ぶべき復活

弊社はこのほど、2024年にサステナビリティの議論に大きく影響する可能性がある5つのテーマを発表しました。本稿では、その第3のテーマであるESGと、その本来の目的への回帰がどのような状況にあるかを考察します。

3文字から成る語のうち、ESGほど多くの混乱、あるいは動揺とも呼べる状況を生み出した語はまれです。環境、社会、ガバナンス(ESG)投資という概念が初めて正式に導入されたのは2004年のことでしたi。ESGという語は近年、ミッション・クリープ(当初の目的以上に活動が拡大してしまうこと) に悩まされており、「良い行い」を優先させること、あるいは、投資収益の増加に先行する価値観の押し付けとみなされてきました。このほか、大手ESG情報サービス各社 の間で不透明なESG格付けが用いられii、異なるサービス会社間でESG評価を比較するのが難しい点も問題になっています。

とはいえ、潮目は変わりつつあります。弊社はこの先、ESGがリスク重要性 という本来の目的に立ち返るとみています。このESGのルネッサンスを促しているのが、高品質で革新的なデータ収集です。このデータ収集によって、インパクトと依存性の両リスクについて確実に透明性を保って定量化することが可能になっています。

アリアンツ・グローバル・インベスターズはESGに対しどのようなアプローチをとっているのでしょうか。弊社ではすべての運用資産についてリスク評価を行っており、3段階でリスク重要性を考察しています。

段階1:テーマ別の重要性

弊社はトップダウンレベルでサステナビリティの3つの重要テーマ(気候変動、プラネタリーバウンダリー、包括的資本主義 )について、インパクトまたは重要性が最も大きいセクターを特定しています(下図の各重要テーマの例を参照)。


Allianz Global Investors Sustainability Research and Stewardship

出所: Allianz Global Investors Sustainability Research and Stewardship


このテーマ別重要性マップは重点的エンゲージメントおよびリサーチの柱となるもので、チームはセクターと個別企業の両方についてリスク・機会の評価に大きな確信を得ることができます。またこのマップは、弊社独自の企業評価、スコアリングシステム(ネットゼロ・アライメント・シェア などiii)に役立ち、業界やテーマ別の共同イニシアチブ(ネイチャー・アクション100 など)に弊社が参加する上でも有用です。

段階2:セクター別の重要性

弊社は、リサーチチームおよび投資部門のスペシャリストと共同で、業種を幅広く24分類するためのサステナビリティのセクターフレームワークを策定しました。このフレームワークには弊社独自のサステナビリティ重要性マトリックスが取り入れられており、環境、社会、コーポレートガバナンス、企業行動という共通の4つのファクターに対して重要性を評価しています(高、中、低)。重要性マップは、弊社のリサーチおよびエンゲージメント活動(推奨されるエンゲージメントに関わる問題も含む)の指針となるだけでなく、それぞれのサブファクターが具体的な関連の未加工データと調整され、2024年に導入される弊社独自の新しいサステナビリティ格付け(PSR)に取り込まれる予定です。

段階3:企業別の重要性

個別企業を評価するにあたり、弊社は質と範囲の両面で最適のESGデータを継続的に調査しています。弊社のサステナビリティ・インサイト・エンジン、「スージー(SuSIE)」 で利用できる「ESGプロファイル」は、リスク、論争、サステナビリティ、炭素、気候、その他の指標などの対象範囲が拡大し続けています。また弊社は、リスク重要性を2つのキーカテゴリーに区別することが重要だと考えています。

  • 有害なインパクト:企業の具体的な活動の結果として生じます。これらの有害インパクトは、規制や、政府、消費者の介入を受けたり、企業の評判に影響が生じたりすることで、罰金の賦課、収益減、またはコスト増という形で財務的重要性に置き換わる可能性があります。
  • 脆弱な依存性:企業活動、または企業活動を支えるサプライチェーンに対する外部インパクトの結果として生じます。これらの脆弱な依存性は、収益やコストの変動という形で財務的重要性に置き換わる可能性があります。

生物多様性に関わるインパクトおよび依存性の分析事例を、最もインパクトの大きいセクターと併せて下図に示しています。


生物多様性関連リスクの二重の重要性
生物多様性関連リスクの二重の重要性

出所:Allianz Global Investors


弊社のESGへのアプローチは全般に、多面的なリスク重要性評価という本来の目的に回帰しています。鍵になるのはデータです。AIおよび機械学習を含めた新しいデータ収集技術や、一層進歩的なデータがもたらす未来に、弊社は期待を膨らませています。

i The Global Compact, https://www.unepfi.org/fileadmin/events/2004/stocks/who_cares_wins_global_compact_2004.pdf, 2004
ii CFA Institute, https://blogs.cfainstitute.org/investor/2021/08/10/esg-ratings-navigating-through-the-haze/, August 2021
iii ネットゼロ・アライメント・シェア(NZAS)はアリアンツGI独自のKPIで、企業を5つのネットゼロ準備評価のいずれか1つに格付けします。

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