Five themes for 2024

テーマ2:気候変動から気候インパクトへ

弊社はこのほど、2024年にサステナビリティの議論に大きく影響する可能性がある5つのテーマを発表しました。本稿ではその第2のテーマ、つまり気候変動の実世界へのインパクトを理解、定量化することが透明性の高い情報に基づいたアプローチをどのように後押しするかについて考察します。

熱帯暴風雨や熱波、干ばつなど、気候に関わる有害事象がますます頻繁に発生し、その深刻度も増しています。また、今後エルニーニョ現象が再発すれば、記録が更新される可能性があります。このような状況を受け、気候変動における焦点は、2050年という遠い未来の概念から近い将来の優先課題へと移行すると思われます。

学術研究では気温と排出量増加のモデル化が行われていますが、それらは排出量増加のインパクトを見極めるのにはあまり有効ではありません。

再保険会社スイス・リー の試算によると、気候変動に起因する自然災害がもたらす資産損失は2040年までに60%超増加するおそれがあります。また、気候変動が原因の災害という点で2023年は決定的な年となりましたが、こうした事象に対する保険による保護には依然として大きな格差が存在していますi

気候関連の自然災害が世界にもたらした損害のコスト(1980~2022年、10億米ドル)
気候関連の自然災害が世界にもたらした損害のコスト(1980~2022年、10億米ドル)

出所: World in Data, 2023年12月

水に関わる物理的リスクのうち、水の過剰・不足、水の汚染、真水の給水システムの途絶は、最も広範囲に影響が及ぶものですii世界水源研究所 は2040年までに44カ国が「極めて高レベル」または「高レベル」の水ストレスに直面すると推定しており、住民や企業に対するリスク重要性が高まります。

このような動向を背景に気候インパクトへの注目が高まり、幾つかの変化が起こる可能性があります。

  • ポートフォリオにおける気候リスクまたは物理的リスクの評価の公式化:物理的リスクの方法論フレームワーク(気候変動に関する機関投資家団体 など)、気候リスク・機会に関する指針(米国環境保護庁 など)、外部提供機関からの気候変動リスク固有データ(Trucost社の気候変動物理的リスク 分析論や、生物多様性総合評価ツール )は、開発の比較的初期の段階にありますが、今後その進展、導入が急速に進むと弊社は予測しています。
  • 気候・物理的リスクの情報開示の改善:気候変動開示プロジェクト 下の気候と水に関するアンケートに対して、企業から質の高い回答が寄せられています。弊社は、企業がこのレベルの詳細な情報開示を顧客から求められることで、徐々にその一般向け開示が改善していくと予測しています。
  • 国の財務計画および情報開示のより綿密な検証:気温の上昇は既に逼迫している医療サービスの負担をさらに大きくしiii、グローバルサプライチェーンにおける生物多様性リスクを高めていますiv。パリ協定の規定により締約国には国が決定する貢献(NDC) vを更新する義務があり、今後数年は気候インパクトの増大が政策形成に影響する可能性があります。
  • エネルギー効率およびエネルギー転換に関わる規制の役割の増大:世界経済フォーラムは、エネルギー強度を低下させることがリスク軽減と成長促進に重要になると指摘しており、規制が果たす役割が大きくなる可能性があります。

弊社の投資先企業とのエンゲージメントにおいて、気候リスクと物理的リスクは中心的要素になっています。弊社は、物理的リスクのデータおよび方法論を弊社独自のサステナビリティ・データ・エンジン、スージー(SusIE)に発展させる方法を継続して調査しています。SusIEは弊社の投資アドバイザリー・ツールに情報を提供し、フロントオフィスの意思決定を支援します。

i Aon, Q3 Global Catastrophe Recap, page 8, October 2023
ii OECD, The Water Challenge, December 2023
iii Allianz Global Investors, Health is wealth?, October 2023
iv Allianz Global Investors, Defining the rules of engagement to protect biodiversity, June 2023
v UN, All About the NDCs, December 2023

Top Insights

市場展望インサイト

成長が鈍化する一方でインフレが予想を上回っていることは、FRBにとって複雑な状況をもたらしています。

詳しくはこちら

米国、金利の次は何か?四半期「ハウス・ビュー」では、世界市場の見通しと、潜在的なボラティリティの中で、投資家がどのようなポジションを取れば好機となりうるかを探ります。

詳しくはこちら

市場展望インサイト

3月の金融政策決定会合で包括的な調整を行った後、日銀は現状を維持し、さらなる政策変更に先立ち、時間をかけて新たな統計データを評価するものと予想します。

詳しくはこちら
  • 【ご留意事項】
    • 本資料は、アリアンツ・グローバル・インベスターズまたはグループ会社(以下、当社)が作成したものです。
    • 特定の金融商品等の推奨や勧誘を行うものではありません。
    • 内容には正確を期していますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。
    • 本資料に記載されている個別の有価証券、銘柄、企業名等については、あくまでも参考として申し述べたものであり、特定の金融商品等の売買を推奨するものではありません。
    • 過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。
    • 本資料には将来の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における当社の見解または信頼できると判断した情報に基づくものであり、将来の動向や運用成果等を保証するものではありません。
    • 本資料に記載されている内容・見解は、特に記載のない場合は本資料作成時点のものであり、既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。
    • 投資にはリスクが伴います。投資対象資産の価格変動等により投資元本を割り込む場合があります。
    • 最終的な投資の意思決定は、商品説明資料等をよくお読みの上、お客様ご自身の判断と責任において行ってください。
    • 本資料の一部または全部について、当社の事前の承諾なく、使用、複製、転用、配布及び第三者に開示する等の行為はご遠慮ください。
    • 当社が提案する戦略および運用スキームは、グループ会社全体の運用機能を統合したものであるため、お客様の意向その他のお客様の情報をグループ会社と共有する場合があります。
    • 本資料に記載されている運用戦略の一部は、実際にお客様にご提供するにあたり相当程度の時間を要する場合があります。

     

    対価とリスクについて

    1. 対価の概要について 
    当社の提供する投資顧問契約および投資一任契約に係るサービスに対する報酬は、最終的にお客様との個別協議に基づき決定いたします。これらの報酬につきましては、契約締結前交付書面等でご確認ください。投資一任契約に係る報酬以外に有価証券等の売買委託手数料、信託事務の諸費用、投資対象資産が外国で保管される場合はその費用、その他の投資一任契約に伴う投資の実行・ポートフォリオの維持のため発生する費用はお客様の負担となりますが、これらはお客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)を通じてご負担頂くことになり、当社にお支払い頂くものではありません。これらの報酬その他の対価の合計額については、お客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)が決定するものであるため、また、契約資産額・保有期間・運用状況等により異なりますので、表示することはできません。

    2. リスクの概要について 
    投資顧問契約に基づき助言する資産又は投資一任契約に基づき投資を行う資産の種類は、お客様と協議の上決定させて頂きますが、対象とする金融商品及び金融派生商品(デリバティブ取引等)は、金利、通貨の価格、発行体の業績・財務状況等の変動、経済・政治情勢の影響を受けます。 従って、投資顧問契約又は投資一任契約の対象とさせて頂くお客様の資産において、元本欠損を生じるおそれがあります。 ご契約の際は、事前に必ず契約締結前交付書面等をご覧ください。

     

     アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社
     金融商品取引業者 関東財務局長 (金商) 第424 号 
    一般社団法人日本投資顧問業協会に加入
    一般社団法人投資信託協会に加入
    一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入

アリアンツ・グローバル・インベスターズ

ここからは、jp.allianzgi.comから移動します。 移動するページはこちらです。