Biodiversity | ~ 4 min read
プラスチック・ファンタスティック—プラスチック汚染への取り組みは非現実的か?
自然関連リスクの管理と情報開示に関する企業向けの新しいガイドラインでは、プラスチック汚染の排除が取り上げられました。これらの提言は、プラスチック問題への取り組みの一助になるのでしょうか。
9月に公表された自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言は、自然、企業、金融資本の関係に焦点を当てています。同タスクフォースのもと、2年にわたって幅広い進展があり、200超の企業と金融機関を対象としたパイロット試験が行われました。そして今回、最終段階でプラスチック汚染が加えられました。
この提言の重要性
これらの提言は、COP151で合意されたグローバル生物多様性枠組みに沿ったものです。弊社は、自然関連リスクを戦略に取り込もうとしているアセットマネージャーがこの提言から貴重な知見を得られると考えています。
重要なのは、TNFDが公表した提言が国際的な財務報告基準と調和していることです。例えば、国際財務報告基準、国際サステナビリティ基準審議会 のグローバルサステナビリティ基準、グローバル・レポーティング・イニシアティブ で用いられているインパクト・マテリアリティ・アプローチなどです。このように開示慣行に欠くことのできない一貫性と比較可能性が保たれている点を、弊社は好感しています。企業が投資家とステークホルダーに向けて自然関連リスク・機会の情報を伝える上で、これが一貫性のある明確なフレームワークとして機能すると考えられるからです。
プラスチック汚染にどう取り組むのか
プラスチックに関する情報開示の導入は、企業に対してプラスチック汚染を特定する指針と指標を与える点で注目されます。この情報開示の導入により、企業の間で自社「プラスチック・フットプリント」の開示が進むとみられます。このフットプリントは、使用または販売したプラスチック(ポリマー、耐久財、包装材)の総重量で測定され、原材料ごとに内訳が示されます。
TNFDはまた、プラスチック包装材の開示において、再利用可能なもの、コンポスト化可能なもの、技術的に再生利用可能なもの、実際に大規模な再生利用が可能なものについて、その割合を明記することも提言しています。これは、グローバル生物多様性枠組みのうち、生態系がもたらすサービスに重点を置く目標7および11に沿ったものです。
有益である理由
グローバル基準との整合が図られたこと、そしてプラスチックに関する情報開示が盛り込まれたことは、極めて有益といえるでしょう。より広い視点でみれば、これらの提言は自然関連リスクの管理と開示の進展を促すとともに、環境リスクという複雑な問題を切り抜ける貴重なツールをアセットマネージャーに与えることになります。.
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