日銀政策決定会合

日銀の政策金利据え置きが予想される一方、年後半の利上げにつながる見通しが示される可能性も

要点
  • 日本銀行(日銀)は、730日~31日の会合で政策金利を据え置く一方で、引き締めバイアスは維持する見通しです。
  • 今回の「展望レポート」では、最近発表の関税合意がもたらす潜在的な成長の足かせに対する日銀の見解について、何らかの洞察が得られるかもしれません。
  • 注目ポイントは、リスク環境の変化に対する植田総裁の評価です。日米貿易合意により外的な不確実性の主因は取り除かれましたが、参議院における自公連立政権の過半数割れや、石破首相退陣をめぐる憶測の広がりを受け、国内の政治リスクは高まっています。一方、これまで米国と貿易合意に至った国はわずかであり、世界経済の成長懸念は依然として残ります。
  • こうした環境下、日銀は、完全な「現状維持」の印象を与えないように努めつつ、コミュニケーションにおける柔軟な対応を維持し、強力なガイダンスは示さないものと予想します。
日銀政策決定会合(7/30-31)の見通し

日銀は、7月の会合で金利を据え置くと予想され、当面の追加利上げを見送る一方で、引き締めバイアスは維持すると見られます。4月以降、関税が日本および世界の経済に及ぼす影響は、日銀にとって大きな課題となっています。詳細はまだ完全に判明していませんが、最近発表の合意は、日本にとって主要な不確実性の1つを取り除くものです。この合意に基づき、日本からの輸出に対する関税は一律15%となります。これは、昨年を大幅に上回る水準です。その結果、成長にとって一定の足かせとなる可能性があります。しかし、特に自動車セクターにとっては、従前懸念されていたよりも好ましい結果でした。日銀および植田総裁にとって、おそらくこれは良い展開だと思われますが、伝え方のニュアンスが鍵となります。持続的なインフレにとっての主要条件である、近年の大幅な賃金の伸びを支えてきたのは、自動車産業の堅調な業績です。これにより、日銀が年後半に利上げを再開する可能性が高まります。

しかし、日銀による急な追加利上げや、強力なフォワードガイダンスの公表を弊社は予想していません。日本を含む数カ国は、先行して米国と関税合意に達しましたが、世界的な貿易緊張は未解決のままであり、特にグローバルに統合された日本のサプライチェーンにとって、81日の関税期限は依然としてリスク要因です。国内的には、自公政権が参議院で過半数を割ったことで政治的不確実性が生じており、石破首相の退陣や早期解散・総選挙の可能性について憶測が広がっています。こうした状況下で日銀は、完全な現状維持の印象を避けつつ、柔軟性を維持し、慎重にバランスをとる可能性が高いと思われます。

このような環境下、弊社のスタンスは次のとおりです。日本株は、やや建設的な見通しを維持します。世界的な成長は損なわれておらず、関税にまつわるリスクの多くは織り込み済みと思われます。他国と比べ、日本は比較的有利な条件で合意に達したものと考えられ、他の地域で不確実性が続く中、日本の株式市場が恩恵を受ける可能性があります。日本国債のアンダーウェイトは継続します。政治的不確実性の高まりは財政刺激策のリスクを高め、債券相場を圧迫する可能性がある一方、貿易面の不確実性の低下は追加利上げの可能性を高めるため、いずれにせよ利回り上昇要因となります。円相場は、中立的なスタンスをとります。特に、日銀の現状維持姿勢と大きな金利差を背景に、ボラティリティの低下がキャリートレードを支えています。割安感と米ドル離れの傾向から中期的な上昇余地が引き続き見込まれますが、より明確な材料が現れるまでは、戦術的に様子見を行います。

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