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次の大きな生成AI成長の波は「エッジAI」か

生成人工知能(AI)コンピューティングは、集中型データセンターから「エッジAI」へと移行しつつあり、ユーザーに対しより高速でよりパーソナライズされたエクスペリエンスを提供します。また、投資家に魅力的な機会をもたらすことが期待されています。

  • AIコンピューティングは、データセンターからエンドユーザーへと拡大し、より強固なAIエクスペリエンスを生み出しています。
  • エッジAIエクスペリエンスとはどのようなものでしょうか。会話をリアルタイムで翻訳するAI搭載のスマートフォンや、パーソナライズされたAIアシスタントを装備した自動運転車を想像してみてください。
  • エッジAIへの拡大は、エッジAIのデバイス、サービス、AIインフラへの投資機会を創出する可能性があります。

生成AIは、変革をもたらす力として2023年に登場しました。世界の注目を集め、そして多額の投資を呼び込んでいます。しかし、生成AIはまだ初期段階にあり、そのメリットは現在バリューチェーンの限られた部分に集中していると弊社は考えます。弊社は、今後数年間で生成AIがより広範に採用されるにつれ、この状況は変わる可能性が高いと考えます。そして、「エッジAI」の世界は重要な成長分野になると見られ、2025年までに、作成されるすべての企業データの半分をエッジAIが担うと分析されています1

エッジAIとは

現在、ほとんどのAIコンピューティングアクティビティ(生成AIを含む)は、大規模なデータセンターで集中管理されており、AIモデルは膨大な処理能力を活用できます。しかし、生成AIの普及が進むにつれて、コンピューティングはエンドユーザーにより近い「エッジ(末端)」に向かって拡大すると弊社は予想します。このシナリオでは、スマートフォン、自動車、PC、エッジサーバーが、より多くの処理負荷を担い、より高速で低レイテンシー(低遅延)のエクスペリエンスを実現します。

私たちエンドユーザーにとって、それはどのようなものでしょうか。AI搭載のスマートフォンが、海外旅行中にリアルタイムで正確な会話翻訳を行うところを想像してみてください。あるいは、パーソナライズされたAIアシスタントを装備した自動運転車も考えられます。エッジAIを活用する企業には、自社を差別化し、よりパーソナライズされた効率的なサービスを提供し、競争力を獲得する機会がもたらされます。

エッジAIへの移行が理にかなう理由

エッジAIが集中型モデルと比べてなぜこのような強みを持つのかを理解するには、AIの2つの主要なコンピューティングアクティビティ、すなわちトレーニングと推論の理解が重要です。

  • トレーニングには、AIモデル内でのインテリジェンスの開発が含まれます。これは、人が社会に出る前に教育や訓練に何年も費やすのと似ています。ChatGPTのような生成AIモデルのトレーニングプロセスには、ウェブサイト、書籍、ウィキペディアの記事など膨大な量のテキスト分析が含まれます。このトレーニングは、相互接続された数千台の高性能グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)により促進されます。それらのGPUは、このフェーズで要求される処理の実行に最も適しています。
  • AIモデルが適切にトレーニングされると、より広範な利用のために展開されます。これは推論(inference)と呼ばれるプロセスです。推論の間、AIモデルはユーザーの要求に応じて、写真の生成、レストランのおすすめの提供、最近のイベントの概要といったタスクを実行します。特に何百万人ものユーザーが生成AIアプリで積極的に関与している場合、推論コンピューティングがトレーニングの要求を上回る可能性があります。

データセンターのみでAI推論を実行すると、コストが高くつき、そしてユーザーエクスペリエンスが低下してしまう可能性があります。この問題を解決する最善の方法は、推論コンピューティングをネットワーク全体(データセンター、エッジサーバー、ユーザーに最も近いデバイス)に分散させることです。これは、モバイルゲームやソーシャルメディアの写真フィルターですでに起こっています。そこでは推論コンピューティングは末端に分散され、ユーザーエクスペリエンスを向上させています。生成AIも同様の軌道をたどる可能性が高いと思われます。

投資家がエッジAIにプラグインする方法

最近、いくつかの企業が今後のエッジAI製品の発売について発表しています。

  • 大手半導体企業数社は、AIアルゴリズムを実行するため特別に設計されたチップである、新しいニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を発表しました(そのうちの1社は、AI搭載PCが今後2年以内に1億台という驚異的な台数に達する可能性さえ予測しています)2
  • 別の有名な半導体企業は、オンデバイスの生成AI機能を装備したモバイル・コンピューティング・プラットフォームを導入しました。
  • ある世界最大級のスマートフォンメーカーは、自社が製造するすべてのスマートデバイスにAIを組み込む意向を表明しています。

新しいエッジAIデバイスとサービスの導入は、投資に大きな影響を与えます。まず、エッジAIは、デバイスのユーザーがアップグレードを待つ傾向が強まる中、成長が鈍化しているPCやスマートフォンの販売を再活性化する可能性を秘めています3。さらに、エッジAIデバイスの採用は、スマートフォンの初期の波を受けてモバイルアプリが爆発的に普及したのと同様に、次の「キラーアプリ」の出現への道を開きます。そして最後に、エッジAIの成功は、新しいAIモデルのブレークスルーを達成するためのさらなる研究努力を促進し、それにより企業はAIインフラへの投資拡大が必要となる可能性が高いと弊社は考えます。

1 Morganstanley.com: What 'Edge AI' Means for Smartphones. As of February 2024
2 Intel newsroom: Intel Launches Industry’s First AI PC Acceleration Program. As of October 2023
3 Techcrunch: Smartphone sales to rebound on AI gains, Morgan Stanley says. As of December 2023.

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