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生成AIのポテンシャルの実現には、クラウドコンピューティングが不可欠

生成AIの大きな可能性を実現するには、膨大な量のデータと大規模な計算能力が必要であり、それに対応できるのはクラウドハイパースケーラーだけかもしれません。

  • 生成AIの大きな可能性を実現するには、膨大な量のデータと大規模な計算能力が必要であり、それに対応できるのはクラウドハイパースケーラーだけかもしれません。半導体、半導体装置、ソフトウェアなどの副次産業も、この新しいエコシステムの恩恵を受ける可能性があります。
  • 生成AIは、ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティだけでなく、消費者による情報の創出と吸収のあり方にもプラスの影響を与えると思われます。
  • クラウドベースのソフトウェアやサービスにおける成長の起爆剤としての生成AIは、AIを活用する産業に大きな恩恵をもたらす可能性があります。

生成AIは、産業全体を根本から変革する可能性を秘めていることから、今まさに「iPhoneモーメント」を迎えている画期的な技術です。生成AIがその変革的な力をさらに発揮するには、大規模な計算能力と十分なインフラが必要であることに加え、AIモデルの学習だけでなく企業によるAIモデルの活用を可能にするために、クラウドだけが提供できるデータと処理能力が不可欠です。これは、魅力的な投資機会を生み出す可能性があります。

AIがクラウド支出の大幅な増加に拍車

AIという総称に含まれるさまざまなテクノロジーと学習テクニック(自然言語処理(NLP)、バーチャルエージェント、ロボティック・プロセス・オートメーション、深層学習、機械学習等)は、そのモデルの学習と実行に膨大な量のデータと大規模な計算能力を必要とします。

クラウドハイパースケーラーと呼ばれる、大規模なクラウドサービスプロバイダーだけが、そのような膨大なデータワークロードを扱うことができます(GPT-4モデルに学習させるために、ハードウェアだけで1億米ドルのコストがかかったと推定されています1)。しかし、このような巨大企業ですら、データの量と複雑性が増大し続けるのに伴い拡大する必要があり、それと並行して、AIに関連するクラウド支出の額も伸びています。

  • AI関連のクラウド支出の総額は、中期的に大幅に増大し、2026年には3,000億米ドルを超えると予想されています2
  • AI関連支出のTAM(獲得可能な最大市場規模)に占めるクラウドインフラとサービスの割合は、今後のAIモデルと推論用途のデータ集約的な性質を反映して、今日の50%から60%に増大する見込みです3

    RBCキャピタル・マーケッツは、クラウドプロバイダー全体のTAMが生成AIによって26%増大すると予測しています4

     
パブリッククラウド支出全体が着実に増大すると予想される
Overall public cloud spending is projected to rise steadily
2026年までにクラウドインフラと
サービスが支出全体の60%を占める見込み
by 2026, 60% of all AI spending will be on cloud infrastructure & services

出所:モルガン・スタンレー・リサーチ、IDC、2023年3月現在

端的に言えば、生成AIが成長するにつれ、必要なデータのほぼすべてがハイパースケーラー・プロバイダーを経由する必要があるということです。

AIとクラウドコンピューティングが投資家にとって重要である理由

チャットGPTと、DALL-Eやミッドジャーニーなどの画像アプリケーションのリリースは、消費者と企業の経営陣の両方に衝撃を与え、生成AIが将来どれほど変革的で破壊的になりうるかを認識するきっかけとなりました。その結果、どの企業がこの瞬間のために以前から準備してきたのか、生成AIに取り組み始めたばかりではあるものの、まだ優位に立つ能力を有しているのはどの企業か、そして出遅れている、あるいはそのメリットを認識していないのはどこかについて、急速に評価が進んでいます。それゆえに一部の業界ウオッチャーは、最近の生成AIの進歩は「iPhoneモーメント」であり、技術面ではハードウェアとソフトウェア開発の新時代の幕開けを告げる一方、消費パターンや何世代にもわたる消費者の好みを劇的に変化させる可能性があると見ています。

AIがその「iPhoneモーメント」を迎える中、生成AIは、ハードウェア(最先端GPU、データセンター、エッジコンピューティング)、ソフトウェア(クラウドサービスプロバイダー、SaaS、カスタマイゼーション)、セキュリティ(データ保護、データ監査、規制遵守)にプラスの影響を与えるだけでなく、消費者による音声情報、視覚情報、テキスト情報の生成と吸収のあり方も変えると思われます。それに加えて、生成AIは、企業が生産性向上やワークフロー合理化のためにテクノロジーをどう活用するかにも独特の影響を与えるでしょう。クラウドサービスは、2006年のアマゾン ウェブ サービスの登場によって主流になりましたが、次は生成AIがクラウドコンピューティングの主要な成長の起爆剤になる可能性があると考えられます。

成長の起爆剤としての生成AI:AIを活用する産業に大きな恩恵をもたらす可能性

グラスルーツ・リサーチ®が最近、IT意思決定者300名を対象に実施した調査では5、AIが今後5年間に自社に最も大きな影響を与えるテクノロジーに挙げられました。短期的な支出の優先順位については、クラウドコンピューティングが2番目となりました。この調査の結果は、生成AIがターニングポイントに差しかかっており、短期の投資機会が最も大きい分野は、AIインフラとAIアプリケーションであるという弊社の見解を裏打ちしています。

生成AIは、前例のないペースでテクノロジー環境を根本から変えています。こうした中、生成AIシステムの基礎となる大規模言語モデルの計算需要は、既存のインフラが対応できる規模を桁違いに上回ることを考えると、半導体やコンポーネントのメーカーには追い風が吹くはずです。

長期的には、AIを活用する産業が最も大きな恩恵を受けると考えられます。そうした企業は、大規模言語モデルを生かして業務効率を向上させ、最大の利益を得られる分野に収益創出の取り組みを集中させることができます。生成AIの持つ大きな変革的な力を考えると、特に中短期的には、複数のカテゴリーを利用することで投資家は、投資機会に対し、より多様で包括的なアプローチを取ることができるでしょう。

1 Me, Myself and AI — Artificial Intelligence Primer, Bank of America, February 2023
2 Morgan Stanley Research, IDC, as of March 2023
3 Ibid
4 RBCキャピタル・マーケッツ「Software and Internet Applications of Generative AI and Chat GPT」、2023年3月16日
5 グラスルーツ・リサーチ「Global IT Spending Survey」、2023年5月。従業員数100名以上の企業のIT担当者300名を対象とした調査に基づく。

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