日銀金融政策決定会合
日銀は利上げの見通し:注目は今後のガイダンス
主なポイント
- 日本銀行(日銀)は次回の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とする見通しです。市場では一時、0.5%の大幅利上げ観測もありましたが、当社はその可能性は低いと考えています。
- 今回の利上げはすでに市場に織り込まれているため、注目は日銀の声明内容や植田和男総裁の記者会見に移るでしょう。特に、今後の利上げペースを加速させる可能性を示唆する発言があるかどうかが焦点となります。
- これまで日銀の見通しでは、主にインフレ上振れリスクが指摘されてきましたが、日銀自身がインフレ対応で後手に回っているとの認識を示すには至っていません。こうした評価に変化がなければ、市場では来年半ばまでに複数回の追加利上げがすでに織り込まれているということもあり、市場が織り込んでいるタカ派的な期待が裏切られるリスクがあると考えます。
- 当社では、日本株については引き続き強気な姿勢を維持する一方、日本国債および円については中立の見方を維持しています。
日銀政策決定会合(9月)の見通し
米国のベッセント財務長官の発言を受けて、市場が日銀に期待する水準は一段と高まっており、日銀が実際にその期待に応えられるのかが注目されています。当社は、日銀の9月会合での利上げについてはほぼ確実とみています。利上げはすでに市場に完全に織り込まれており、ここ数週間に行われた日銀審議委員の講演でも、市場の利上げ期待を抑制するような発言はありませんでした。また、多くの市場参加者は以前から9月または10月の利上げを想定していたため、今回の利上げ自体がサプライズとなる可能性は低いと考えています。
今後の利上げペース加速は確実ではない
より大きな焦点は、その後の金融政策についてです。景気は引き続き底堅く推移しており、インフレ率も高止まりしているものの、日銀自身の見通しではおおむね目標に近い水準にあります。それと同時に、これまでの利上げによる景気への下押し効果が今後より明確に表れ始める可能性もあります。こうした状況を踏まえると、植田総裁がここから先の利上げペースを大幅に加速させる方針を明確に打ち出せるかについては不透明感が残ります。また、市場への見え方も重要です。今回の利上げについては、ワシントンからの強い圧力があったとの見方がすでに市場で広がっています。そのため植田総裁には、単に外部圧力に反応して政策を決めているようには見られたくないという思惑もあるでしょう。そのため、9月の利上げ自体は市場予想どおり実施されたとしても、その後の政策運営については、よりバランスの取れたトーンを示すことになりそうです。
市場では現在、政策金利が来年秋ごろまでに2%近くまで引き上げられることが織り込まれており、そのペースは多くの市場参加者がこれまで想定していたよりも速いものとなっています。もっとも、政策金利が日銀の考える中立金利に近づくにつれて、日銀は政策判断においてより慎重になると考えています。今後1〜2回の利上げについては比較的実施しやすいとみられますが、その後は利上げのハードルが高まる可能性があります。日銀が利上げを続けるには、さらに確証となる要素が必要になると考えられます。
エネルギー価格と円高:相反する影響
さらに、留意すべき相反する要因が二つあります。中東情勢を巡る緊張が解消されないなかでエネルギー価格が上昇すれば、追加利上げを後押しする材料となり得る一方、円高は輸入物価の上昇圧力を和らげることを通じて、利上げ回数を抑える方向に働きます。また、日銀は2024年8月に見られたキャリー取引の巻き戻しによる市場の混乱を意識し、過度にタカ派的なサプライズを行うことには慎重な姿勢をとる可能性があります。
日本株に強気、債券と円は中立
当社は引き続き日本株には強気な姿勢を維持しています。世界経済は引き続き底堅く推移しており、企業業績の伸びも堅調です。足元では円高の進行や日本の実質金利上昇がもたらすリスクを注視していますが、現時点ではいずれも投資判断を変更するほど大きなものではないと考えています。日本国債については中立の見方を維持しています。インフレ期待は安定化しつつあり、市場も最近の財政政政策案をおおむね消化しています。ただし、エネルギー価格が高止まりしていることに加え、世界的に金利が上昇していることを踏まえると、現時点でデュレーションを長期化するのは時期尚早だと考えています。円についても中立の見方を維持しています。長期的な評価指標では依然として割安に見えるものの、短期的な見通しはより均衡が取れた状況にあります。FRBや日銀をはじめとする主要中央銀行の金融政策の方向性がより明確になるまでは、中立的なポジションを維持することが妥当だと考えています。