Global Multi Asset team
地政学的要因によるボラティリティの定着?
8月も株式市場は大きく変動しました。地政学的な不確実性が継続しましたが、グローバル株式はやや上昇して月末を迎えました。月初めには、米国・イランの和平合意期待から原油価格が下落して株式市場が上昇しましたが、ホルムズ海峡における船舶の再攻撃、米国の対イラン制裁強化など、紛争をめぐる不確実性が収まらず、楽観論が後退しました。市場では引き続き、AI関連のボラティリティが重要ドライバーとなったほか、米連邦準備理事会(FRB)ウォーシュ議長のジャクソンホールにおけるタカ派寄りの講演を受け、金融株が上昇しました。日本株はアウトパフォームし、米国株と欧州株がこれに続きましたが、新興国市場株は後れをとりました。また、債券市場は、利回り上昇にもかかわらず若干上昇しました。原油高騰や一段の金融引き締め観測を背景とする根強いインフレ懸念が、米経済指標の悪化により打ち消されたためです。
地政学関連のトップニュースや原油の供給懸念による動揺が激しかった8月ですが、ブレント原油は1バレル90米ドル超の水準で月を終えました。広範な企業の好決算や、投資家のポジションおよびセンチメントを踏まえ、弊社は株式に強気の見方を維持しています。AI投資サイクルは引き続き米企業の利益を下支えしていますが、バリュエーションは割高であり、銘柄の選択が必要です。新興国市場は投資妙味があり、なかでも韓国と台湾は半導体・メモリーに対する旺盛な需要が追い風となっています。欧州企業では、銀行、資源セクターを中心に業績回復が広がっています。日本株は引き続き、政策措置や業績の上方修正、良好なテクニカル指標に支えられています。金利は依然として重要な制約要因となっています。インフレが低下した場合にはFRBの様子見の余地が広がる可能性もありますが、底堅い経済成長や財政支出、AI関連投資などから、利上げを見送るハードルは高い状況が続くでしょう。一方、国債の増発や債務をめぐるダイナミズムの悪化は引き続きタームプレミアムに圧力をかけ、利回り上昇にもかかわらず国債の投資妙味は限定されています。このため弊社は、大きなデュレーション・エクスポージャーをとるよりも、厳選されたクレジットおよび新興国債券から得られるキャリーを狙うことを選好しています。コモディティはなお有効な投資分散先です。金はEFTによる需要増と財政懸念が支えとなっており、銅は供給制約と電力網投資が追い風となっています。
戦術的な資産配分見解の要約
これらの戦術的見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。
出典:Bloomberg Finance LP、データは2026年8月31日時点。過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。
グローバル株式:MSCI World Net Total Return Local Index (USD), グローバル国債:FTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD terms (USD), コモディティ:Bloomberg ex-Agriculture & Livestock Capped 6 Month Forward Index (USD), 為替(米ドル):Bloomberg Dollar Spot, 米国株式:S&P 500 Net Total Return Index, ユーロ圏株式:EURO STOXX 50 Net Return Index (EUR), 日本株式:TOPIX Net Total Return Index (JPY), 新興国株式:MSCI Emerging Net Total Return USD Index (USD), 米国国債:Bloomberg US Govt Total Return Value Unhedged USD Index (USD), 英国債:J.P. Morgan GBI UK Unhedged LOC Index (GBP), ユーロ圏国債:J.P. Morgan EMU Investment Grade - Unhedged EURO Index (EUR), 米国ハイ・イールド債:Bloomberg US Corporate High Yield Total Return Index (USD), 新興国債券:J.P. Morgan EMBI Global Diversified Composite Index (USD), 原油:Bloomberg WTI Crude Oil Subindex Total Return (USD), 銅:Bloomberg Copper Subindex Total Return (USD), 金:Bloomberg Gold Subindex Total Return (USD), 米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。