日銀政策決定会合

政策金利を据え置く一方で冬の利上げについて示唆の見通し

要点
  • 日本銀行(日銀)は10月の会合で政策金利を0.5%に据え置く一方、次の利上げに向けた地ならしを行う見通しです。利上げ時期はおそらく12月と考えられますが、1月にずれ込む可能性もあります。
  • 最近の日銀のコミュニケーションからは、利上げに向けた下準備の様子がうかがえます。しかし、国内政治の不透明感、米中貿易摩擦の激化、米国経済統計の発表遅延などが、利上げに向かう日銀に困難を与えています。
  • 一方で、マクロ経済指標は安定的に推移し、政治的影響も当初懸念されたほど大きくない可能性があるうえ、さらなる円安の進行は望ましくないことから、植田総裁は日銀がいつまでも現状維持を続けるという印象を避けようとする可能性が高いと思われます。
日銀政策決定会合(10/29-30)の見通し

10月の会合で「動きがある」との市場の噂もありますが、日銀は今月の会合で金利据え置きを続けると予想します。直ちに政策変更を実施できない理由は次のとおりです。何よりもまず、足元の市場は利上げをあまり織り込んでいません。植田総裁はサプライズを避けたいと考えるでしょう。また、米中貿易摩擦の激化による不確実性に加え、政府閉鎖に伴う統計データの発表遅延により米国経済の実態が見えにくいことも、日銀が慎重姿勢を強める要因となっています。

とはいえ、日銀はややタカ派的な据え置きを選択し、今後数カ月で政策を正常化する意向を示しつつ、12月(場合により1月)の利上げに向けた地ならしを行うと予想します。政治的圧力で利上げが長期的に先送りされるとの予想は早計と思われます。高市首相はどちらかといえば金融緩和派ですが、発言のトーンは控え目になっており、彼女の連立パートナーもこれまでハト派的な信念を強く示したことはありません。また、特に高市氏の選出後に急激に円安が進んだ事態を踏まえ、日銀は円安の影響にも気を配る必要があります。したがって、植田総裁は、直ちに利上げを行わない場合でも、さらなる円安を抑えるために一定のけん制を行う可能性があると考えます。

統計データの面では、日銀が置かれている状況はまだそれほど悪くありません。連合は2026年春闘に向けた賃上げ要求方針(前年と同じ5%以上)を公表しましたが、これは賃金の伸びが持続的であるとの見方を後押しするものです。インフレは緩やかに鈍化しているものの、目標を上回って推移しており、経済成長は安定しています。発表される新しい展望レポートを注意深く確認することが極めて重要となります。日銀は関税の影響に関する不確実性に引き続き言及する可能性が高いと見られますが、成長見通しを若干上方修正するかもしれないとの噂もあります。

このような環境下、弊社のスタンスは次のとおりです。日本株は、底堅い世界経済の成長と、穏健で積極的過ぎない財政運営への期待を背景に、建設的な見通しを維持します。自民党総裁選の前後に短期マネーが流入していることから、オプションのヘッジを利用して下振れリスクの抑制を図ります。日本国債は、相場上昇の材料が主に海外金利に依存しているため、アンダーウェイトを継続します。高市首相が積極財政に走る余地は、少数与党の地位や連立パートナーの存在によって制限される可能性があります。しかし、日本の債券投資家は様子見を続けており、下振れリスクは依然として残ります。円相場は、中立的なスタンスをとります。高市氏選出後の急激な円安は行き過ぎに見え、最近積み上がったキャリーポジションはいずれ解消されるものと思われます。ただし、たとえ日銀が1月までの追加利上げを示唆しても、足元の材料が少ないことは変わりません。

Top Insights

市場展望インサイト

日本銀行(日銀)は10月の会合で政策金利を0.5%に据え置く一方、次の利上げに向けた地ならしを行う見通しです。利上げ時期はおそらく12月と考えられますが、1月にずれ込む可能性もあります。

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FOMCは10月28日・29日の会合で金利を25ベーシスポイント引き下げる見通しです。「保険的利下げサイクル」の軌道は維持され、政策金利は2026年半ばまでに、3.375%のより中立的な水準に向けて引き下げられる可能性があります。 

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インフレがついに目標水準に達し、経済が底堅さを見せる中、ECBは広く中立金利と見なされる2%水準での政策金利維持を容認する見通しです。

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