Global Multi Asset team
年末(AI)ラリーに参戦
10月のグローバル株式は上昇して月を終えました。なかでも日本株は、財政面でハト派の高市氏が女性初の首相に指名された後に最も力強く上昇しました。その他の地域では、米中貿易摩擦の悪化や米地銀の健全性に対する懸念を市場が概ね切り抜けたにもかかわらず、米政府機関の閉鎖が長期化して先行きに影を落としました。グローバル債券は利回りが若干低下しました。10年物米国債およびドイツ国債は、中銀による利下げサイクルが間もなく終了するとの見方が投資家の間に広がり、利回りが低下しました(下げ幅は10bp未満)。社債は強弱まちまちでしたが、グローバルレベルでは国債をアウトパフォームしました。米ドルは10月、国内要因が重しとなり苦戦しました。月初めは米政府機関の閉鎖を受けて下落しましたが、その後の貿易戦争の再燃懸念やFRBによる追加利下げ観測も米ドル安につながりました。
弊社は株式に対する楽観的見方を若干強めました。年末は一般に株価が上昇するという季節要因も、その根拠のひとつです。米国株については、企業決算の好調ぶりやAIに誘発された設備投資サイクルなどを受け、見解を引き上げました。ただし、市場ドライバーを慎重に注視しています。新興国市場は引き続き最も強気にみています。投資ポジションがなお低く、一方で経済情勢から株価のさらなる上昇が見込めるためです。ソブリン債への見解に大きな変更はなく、引き続き質の高い欧米のデュレーションに強気姿勢をとっています。また、現地通貨建て新興国市場債券を最も強気にみている点にも変更はありません。新興国通貨は、年初には米ドル下落時に好調なパフォーマンスをみせていましたが、最近ではドル相場がやや強い状況でもパフォーマンスが良好です。
金については、ここ数日に激しい巻き戻しがみられたものの、長期的見解に変更はなく、強気姿勢を維持しています。供給過剰が続く原油相場への弱気の見方も変えていません。通貨では、米ドルのテクニカル面を注視していますが、さしあたり弱気姿勢を維持しています。
戦術的な資産配分見解の要約
これらの戦術的見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。
¹ SPR:戦略的石油備蓄
出典:Bloomberg Finance L.P.、データは2025年10月31日時点。過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。
グローバル株式:MSCI World Net Total Return Local Index (USD), グローバル国債:FTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD terms (USD), コモディティ:Bloomberg ex-Agriculture & Livestock Capped 6 Month Forward Index (USD), 為替(米ドル):Bloomberg Dollar Spot, 米国株式:S&P 500 Net Total Return Index, ユーロ圏株式:EURO STOXX 50 Net Return Index (EUR), 日本株式:TOPIX Net Total Return Index (JPY), 新興国株式:MSCI Emerging Net Total Return USD Index (USD), 米国国債:Bloomberg US Govt Total Return Value Unhedged USD Index (USD), 英国債:J.P. Morgan GBI UK Unhedged LOC Index (GBP), ユーロ圏国債:J.P. Morgan EMU Investment Grade - Unhedged EURO Index (EUR), 米国ハイ・イールド債:Bloomberg US Corporate High Yield Total Return Index (USD), 新興国債券:J.P. Morgan EMBI Global Diversified Composite Index (USD), 原油:Bloomberg WTI Crude Oil Subindex Total Return (USD), 銅:Bloomberg Copper Subindex Total Return (USD), 金:Bloomberg Gold Subindex Total Return (USD), 米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。