Global Multi Asset team
嵐のあとの静けさ?
月次レポート | 2024年8月31日現在
8月はボラティリティの大きさに特徴づけられた月でした。米国の景気後退(リセッション)懸念が月初めに高まり、加えて日銀による予想外の決定的な利上げと流動性低下から日本円キャリートレードの急速な巻き戻しが起こったことで、株が投げ売りされました。しかしながら、その後の経済指標を受け景気後退懸念が和らいだことで株価指数は世界的に回復し、過去最高値近くで月を終え、ボラティリティも正常化しました。債券市場では、経済指標の軟化から投資家が米連邦準備制度理事会(FRB)による複数回の利下げを織り込み始め、利回りが大幅に低下しました。コモディティにおいては、在庫増とOPECプラスの増産観測から原油価格が下落した一方、金は急騰して過去最高値をつけました。 弊社は株式に対するポジションをオーバーウェイトで維持しています。米国株は経済の軟着陸を示唆する指標が支えとなり、底堅さを見せています。欧州の経済成長は勢いが劣るものの、中期的に前向きな弊社の見解をなお裏付ける水準にあります。弊社は地域別にエクスポージャーを選別し、英国株を選好しています。このところの円の上昇を受け、日本株に対するスタンスはさらに慎重になっていますが、ファンダメンタルズの見解に変更はありません。 債券には全般に強気の姿勢をとっています。市場が金融政策の大幅な緩和を見込んでいる中で、弊社は米国債および欧州債券を中心とした質の高いデュレーションを選好しています。弊社はまた、新興国市場債券、特にハードカレンシー建て債券を選好しています。健全なファンダメンタルズと米国債利回りの低下がその理由です。 コモディティでは、実質金利の低下とETFの保有増を受け、依然金を重視しています。新興国市場の中銀が米ドルから金へと準備金の多様化を進めているため、このトレンドは継続すると見込んでいます。原油に対しては慎重なスタンスをとっています。これは、OPECプラスの供給増の可能性や中国経済の低迷、モメンタムの欠如を反映したものです。
戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。