Global Multi Asset team
上昇局面の一時的下落か?
月次レポート | 2023年8月31日現在のデータ
金融引き締めサイクルが終了間近、あるいは緩和方向に転じるとの期待は、米経済指標が予想を上回ったことで打ち砕かれ、これを受けて8月のグローバル株式は下落しました。このため、インフレ圧力が後退したにもかかわらず、先進国市場の主要中央銀行はタカ派的スタンスを維持しました。さらに、ジェイ・パウエルFRB議長がジャクソンホール会議において米国のインフレ率が「依然として高過ぎる」と発言し、FRBが金利を現行水準に維持するか、2%の目標水準に低下するまで利上げを継続する必要があるとの主張を繰り返したことで、タカ派的スタンスが強まりました。中国では不動産セクターの資金繰りが一段と悪化し、同国経済のモメンタムが弱まっている兆しが続いたため、センチメントが悪化しました。こうした背景から、先進国市場株式のパフォーマンスは新興国市場を下回りました。一方、グローバル債券は強弱まちまちの状況でした。米国では、経済指標の内容が予想以上に好調で、金利がさらに長期間高止まりするとの観測から10年債利回りが約16年ぶりの高水準に達し、米国債が売られました。また、米国が次の四半期における国債発行額目標を引き上げたことで、長期債利回りにさらに上昇圧力がかかりました。対照的に、欧州債券は月末の急伸に支えられ、ごく僅かながらも上昇しました。ハイイールド債は引き続き投資適格債をアウトパフォームしました。
弊社は株式市場にやや強気なポジションをとっています。これは主としてモメンタムとテクニカル要因が引き続き好調なことによりますが、ファンダメンタルズ面の見通しは依然として強弱が交錯しています。特に人工知能(AI)による生産性向上への期待から持続的成長の可能性が見込まれる一方、長期金利のさらなる上昇によって再評価の余地が大きくなる可能性があります。債券では、モメンタムをみるとやや慎重なアプローチが必要ですが、ファンダメンタルズの観点ではバリュエーション要因や魅力的な利回り水準からより楽観的な姿勢が強くなります。このような環境のなかで欧州の魅力がとりわけ高まっており、ファンダメンタルズ評価に加える契機となっています。
戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信を反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。