Biodiversity | ~ 2 min. read

水危機について考察する

水はどこにでも存在すると思われるかもしれませんが、現実には不足しています。地球が差し迫った水危機に直面する中で、投資家はどうすればその解決に貢献できるのでしょう。

ミレトスのタレスは、紀元前625年生まれの哲学者、天文学者、技術者、数学者です。彼は、水は万物の根源であり、天から降り土中や植物の内部に存在するなど、あまねく存在しているという説を提唱しました。しかし、2,500年以上たった現在、世界は深刻な水危機に直面しています。

投資家がポートフォリオの潜在的リスクを軽減し、課題解決に役立つ機会を見いだすためには、水を有限で過小評価されている資源として認識することが必要です。水の供給に限界があるという事実は、社会と世界経済に大きな影響を与えます。

豆知識

  • 地球上の水のほとんどは人間の消費に適さないか、氷河の中に閉じ込められており、淡水として利用できるのはわずか1%です1
  • 世界の水使用量は人口増加を上回るペースで伸びています2。つまり、今後数十年で水不足がさらに大きな問題になると予測されます。

今日、21億人が安全な飲料水にアクセスできず、毎年300万人以上が水に関連する病気で命を落としています3。安全で安価な水へのアクセスが明らかに不足しており、食料安全保障、社会福祉、教育、そして貧困から脱却する能力が脅かされています。気候に関連した気象事象や自然災害の発生は、安全な水の利用可能性をさらに低下させる可能性があります。

リスクを特定する

ビジネスへの影響は目に見えて明らかです。企業は、直接的なオペレーショナルリスクのほか、物理的、規制的、風評的な圧力にもさらされています。たとえば、金融機関は、水リスクへのエクスポージャーが高い産業部門に収益を大きく依存している可能性があります。エネルギー産業も例として挙げられます。主要な再生可能エネルギー源である水力発電は水の直接供給に依存していますが、原子力発電所と火力発電所も冷却のために大量の水を必要とします。

水へのアクセスと利用可能性の低下は、気候変動や自然災害の可能性とあいまって、世界中の企業、産業、経済圏に上記のようなリスクをもたらします。水不足の潜在的なコストに対処するには、投資家がこれらの問題を認識することがますます重要になっています。

国連持続可能な開発目標(SDGs)とは?

貧困を防ぎ、地球を保護し、2030年までにすべての人々が繁栄を享受できるようにするための行動を呼びかけるために、2015年に国連によって17の持続可能な開発目標が採択されました。

水ソリューションへの投資

さらに、資源としての水を保護するためのソリューションや技術への投資機会の追求がますます必要となっています。2023年は以下のような点に一層の注目が集まると弊社は予想しています。

  1. 水リスクの重要性:制約のない投資ユニバースを求める投資家にとって、水集約度、物理的リスク、論争など、企業やセクターに対する水の影響について、環境、社会、ガバナンス(ESG)上の重要なリスクを特定することが大切です。
  2. 規制上のスクリーニング基準:これには、欧州連合(EU)の第2次金融商品市場指令(MiFID II)、サステナビリティへの悪影響(Principal Adverse Impact: PAI)、環境目的に重大な害を与えない(Do No Significant Harm)のような、2022年に導入された持続可能な経済活動のためのスクリーニング基準や、将来的に導入が見込まれる生物多様性の損失を軽減するための要件などが含まれます。
  3. インパクト重視の投資:長期的な成長には、この課題に立ち向かう企業を特定することが重要です。ソリューションには、国連持続可能な開発目標の6(SDG 6)、すなわち水集約度を最小限に抑えることに焦点を当てた「安全な水とトイレを世界中に」の目標により多くの資金を振り向けることや、水への依存度が低い生産プロセスと製品の新規開発、汚染への対処、効率的な水インフラの構築などが含まれます。

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