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英サステナビリティ情報開示要件とEUサステナブルファイナンス開示規則の相違点:比較が可能かどうか
EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の見通しとSFDRがもたらすインパクトについては、この数年にわたり常に注目が集まってきました。ここにきて、英国では独自のサステナビリティ情報開示要件(SDR)が規制に加えられました。SDRの目的はSFDRとは異なるものの、そのアプローチがSFDRの施行に影響を受けていることは明らかです。
SFDRの目的は報告要件を規定することですが、実際のところ、投資業界ではサステナブルな金融商品に対する表示の一種との捉え方が一般的です。当初、透明性が次第に高まると期待されていたSFDRですが、今なお投資家はSFDRに基づいてファンドを比較することは難しいと考えています。なかでも2つの問題が顕在化しています。1つは、サステナブル投資の比率(SFDRに基づいてサステナブル投資とみなされるファンドの割合)を算出するための合意済みの方法がない点です。2つめは、SFDR第8条および第9条のカテゴリーに該当するファンドのサステナブル投資について、必要な基準値が定義されていないことです。このため、アセットマネージャーはさまざまなアプローチを適用しており、結果として投資家に対する透明性が不足しています。
一方、英国で提案されたSDRは、いわゆる表示管理制度とは異なります。SDRでは3つの表示案、つまり、サステナブル・フォーカス、サステナブル・インプルーバー、サステナブル・インパクトという表示が提案されており、その基準が詳しく規定されています。この基準の明確さが商品の比較を可能にし、顧客や販売事業者のメリットになると思われます。
グリーンへのトランジションを承認
SDRの表示案で最も特徴的なのは、サステナブル・インプルーバーのカテゴリーでしょう。SDRは、現時点でグリーンかどうかというよりは、「グリーンへのトランジション(移行)」の指針を提供するものであり、こうしたアプローチをとる規制はSDRが初めてです。サステナビリティの測定が変化し続けている現状では、この表示が投資家にとってゲーム・チェンジャーになる可能性があります。というのも、今やグリーンへのトランジション自体が戦略になり得るからです。
この表示はまた、アリアンツ・グローバル・インベスターズが最近強化している弊社独自の投資ツールとも整合します。
- その1つであるKPIベースのアプローチは、弊社の新しいサステナブル商品カテゴリーです。このアプローチは、サステナビリティの特定のKPI、例えばスコープ1、スコープ2の温室効果ガス排出量や排出原単位において、前年比で着実な改善を投資に取り込む一助となります。
- 弊社はネットゼロ・アライメントツールキットも提供しています。これは、ネットゼロ目標達成に対する企業の意欲と能力、および目標の実行度を集計するツールです。
弊社は来年にかけて新しいKPIに対する投資家の需要が高まると予想しています。その対象テーマは、温暖化が進む世界の生命に注目するプラネタリー・バウンダリーや、温暖化およびグローバル経済の進展に伴う生活の平等の問題に対処する、包括的資本主義などに及びます。
前向きな展開
サステナビリティに関する規制は複雑です。政策立案者のアプローチが多様なことがその一因になっています。この状況は年内から来年にかけても続くでしょう。投資業界が規制の統一をみるのはまだ先のことですが、それでも、SFDRがもたらした教訓がSDRに適用されたことを弊社は評価しています。特に、トランジションとスチュワードシップという、アクティブなアセットマネジメントに対する弊社アプローチの中心概念が適用された点を高く評価しています。