Sustainability | ~ 4 min read

ファストファッションは地球の負担になる?

ファッションが環境と社会に与える悪影響に対し、監視が強化されています。かつて小売業者は年2回のコレクションに重点を置いていましたが、現在ではファストファッションが消費者に強く好まれるようになり、このために新しい製品が、ときには品質の低いものも含め、ひっきりなしに発売されています。ファッション業界はどうすれば値頃感と責任を結び付けることができるのでしょうか。

ファストファッションは地球の負担になる可能性があります。国連によれば、ファッション業界はエネルギー使用量において航空セクターと海運セクターの合計を上回っており、世界全体の温室効果ガスの10%を占めています1。また、衣料品の需要増に応じるために天然資源を使い、その減少を深刻化させており、一方で衣料ごみの量も処理できないレベルに増加しています。

安価な衣料品がもたらす社会的影響に対して監視が強まっています。劣悪な労働環境、強制労働や児童就労などの多くの事例があるためです。ファッション業界には改革が必要な部分があります。では、どのように改革を進めればよいのでしょうか。

新しいビジネスモデル

ファッション小売業者は、使い捨て型ファッションの現モデルから、より製品寿命の長い製品、サステナブルに製造された製品へと移行する必要があります。弊社は、この先ファッションブランドがとる道は2つあるとみています。

  • ファッションを「循環」させることに力を入れます。この方法は、衣料品のレンタルや再販、再利用などのイニシアチブを通じて、経済とサステナビリティの重要な機会を結び付ける可能性があります。ある試算によると、衣料品は廃棄される前に平均で7回着用されており2、その結果、毎年衣料品の85%が焼却または埋立て処分されています3。このため、ファッション業界に循環性をつくることには非常に大きな可能性があります。
  • 労働者の権利を中心に社会課題に対処します。弊社は、さらに高レベルの労働基準の設置、サプライヤーへのガイダンスの提供、サプライチェーンの透明性が高まる仕組みづくり、といった取り組みが衣料品会社によって行われるとみています。
政策措置

繊維業界はほとんどが規制の対象外にあります。とはいえ、政策立案者には一段と厳格な環境基準を導入する機会があり、導入する責任もあります。また、政策立案者はファッションブランドに対し、サプライチェーン全体で生じる負の影響およびその使用済み製品への説明責任を負わせる必要もあります。

欧州連合の規制では、近く業界の事業展開の在り方に変更が加えられる見通しです。具体的には、売れ残り製品の破棄を禁止することや、グリーンウォッシュ、つまり環境対応実績を実態以上に高くみせる行為を監視すること、製品寿命を延ばすための新しいデザイン要件を設定することなどです。それでも、さらなる対策を講じて過剰生産に対処するとともに、リサイクル化のトレンドを加速させることが必要です。

投資会社のスチュワードシップ

投資運用会社にも重要な役割があります。衣料品会社の間で自社事業のサステナビリティへの影響に対する意識を高めたり、衣料品会社に循環型のビジネスモデルへの移行を促したりする上で果たすことのできる役割です。投資意思決定に情報提供を行うという弊社のアプローチは、概ね2倍に増加しています。例えば、セクターの最重要問題の分析や、企業間の対立の火種に対するモニタリングなどです。これらのプロセスは多くの場合、投資先との弊社のエンゲージメントに取り入れられており、責任ある投資会社としての弊社の役割を果たす上で欠くことのできないものになっています。

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