Sustainability | ~ 4 min read
ラベルは必ず確認を
欧州では、サステナビリティラベルの主要2機関が2024年に基準を更新する予定です。この更新によって投資家にどのような影響があるでしょうか。また、ラベルは規制に対してどのような役割を持つのでしょうか。
よく知られているサステナビリティ規制のひとつがEUサステナブルファイナンス開示規則 (SFDR)です。SFDRは投資家に対する透明性を高める基盤となっており、投資家が情報に基づいた選択を行えるよう、金融機関に対して金融商品のサステナビリティ情報を開示することを求めています。
ラベルは別の役割を持っています。ラベルが付されることで、ファンドにサステナビリティ基準を満たす資産が一定割合以上含まれていることが保証されます。サステナビリティ商品ラベルには2つの重要な特徴があります。
- 透明性向上を目的としたSFDR規則に比べ、ラベルの基準はより規範的です。
- 同じラベルを付された複数のファンドの比較を容易にします。
障壁の引き上げ
規制と同様、サステナビリティラベルにもさまざまなものがあります。ラベルは、その要件によりさまざまな機関から付与されることが可能ですが、いずれも品質水準の向上を目的としています。欧州のサステナビリティラベルの主要機関である「Towards Sustainability(トゥウォーズ・サステナビリティ)」とフランスのラベルISR1の2機関も、品質水準を高めることを目的に2024年にガイドラインを刷新する予定です。
Towards Sustainabilityは、石油やガスの採掘など重要な事業活動の除外水準を厳格化し、基準を強化する見通しです。また、再生可能エネルギー以外のエネルギー生産者からの投資引き揚げ時期を2027年から2025年6月へ、当初計画より前倒しすることもファンドに求めるとみられます。一方、ISRはラベルを付与された全ファンドに初めて拘束力のある除外基準を導入するほか、企業のパリ協定との整合性を一層重視するとみられます。
弊社は、これらの動きに関連する協議に積極的に関与し、ポートフォリオ構築への意図せぬ影響が考慮されるように努めています。例えばEUサステナブル投資シェアラベルなど、ラベル基準の設定に用いられる指標の中には標準化されていないものがあり、結果的に高水準の商品提供者が不利な立場に陥るリスクがあります。
Towards SustainabilityやISRからラベル付与を受けるファンドにとり、業界におけるこうした協議は、結果として除外の厳格化や投資対象の減少(25%以上)につながります。また、こうした協議は、ファンドベンチマーク指数のサステナビリティKPI(主要目標達成指標)をアウトパフォームすることが要件化される結果にもなります。温室効果ガス強度の低下はそうしたKPIのひとつであり、今後、サステナブルな商品のこのような指標が主流になる可能性があります。
弊社は、どちらの協議においても気候変動が大きな焦点になっていることに注目しています。また今後、生物多様性や社会的配慮が業界の投資基準に取り込まれることが増えると弊社は予想しています。
ラベル付与機関に対するエンゲージメントは、弊社戦略—つまり、サステナブルな投資ソリューションの透明性と明確さを高め、顧客の多岐にわたるニーズを満たす競争力ある商品を提供するための戦略—の一環を成すものです。
1 Investissement Socialement Responsable