Two-Minute Tech
AIで加速するレストラン業界のイノベーション
一部のレストランチェーンは、顧客注文の受け付けを支援する目的で対話型AIを利用しています。一方、人件費を削減し、効率を向上させるために、全自動および半自動のキッチンを導入したところもあります。
- 高度な自動化と人工知能(AI)テクノロジーは、レストラン業界で大幅なイノベーションと効率化を推進する可能性を秘めています。
- 一部のレストランチェーンは、顧客注文の受け付けを支援する目的で対話型AIを利用しています。一方、人件費を削減し、効率を向上させるために、全自動および半自動のキッチンを導入したところもあります。
- その他のハイライト:また、あるファーストカジュアルの人気チェーンでは、「チッピー(Chippy)」(トルティーヤチップス製造ロボット)と「オートカド(Autocado)」(ワカモレ用ロボット)の実験を行っています。
AIで加速するレストラン業界のイノベーション
過去10年間、レストラン業界のイノベーションは主にデジタルメニューと注文機能を中心に進んできました。一方、レストラン業界は、低い労働生産性、慢性的な人手不足、持続的な投入コストの上昇、その他の重要な課題に取り組んでいます。
他業界に劣後するレストラン業界の労働生産性
出所: Bureau of Labor Statistics, Evercore ISI Research. 2020年現在。
レストラン業界は、人工知能(AI)テクノロジーを導入してメニューの革新を加速し、そして効率を向上させることで、こうした逆風に対抗し始めるものと弊社は考えます。弊社はこの動向を注視し、売上高と純利益に大きな恩恵が見込まれる先行企業を特定しようとしています。
AIの最近の先進事例
ボイスボット:対話型AIによる利便性の創出
いくつかのレストラン企業は、処理能力とゲスト体験の向上を目的に、対話型AIシステムのテストを行っています。
- 業界トップの多国籍ファーストフード・レストランチェーンは、ドライブスルーの音声AI注文システムをテストし、有望な結果を得ました。ただし、背後の雑音除去が課題でした。
- 鶏手羽先料理が専門のクイックサービスレストランは、対話型AIを利用して電話注文を受け付け、良好な成果を収めています。これにより、電話応答できないケースをなくすとともに電話の保留時間が短縮され、ゲスト体験の向上につながります。加えて、店舗スタッフの時間も解放されます。このレストランチェーンは、200店舗でのテストが成功した後、2024年にはさらに多くの店舗にAIを活用した電話注文機能を展開する予定です。
全自動キッチン:人件費を削減しつつ顧客中心の料理を作る
- サラダ専門のファーストカジュアル・チェーンは、シカゴ郊外に自動化されたレストランの1号店をオープンしました。同店では、1時間当たりボウル400~500個分のサラダを一定の分量と正確さで作り、短い待ち時間で顧客に提供しました。この会社のCFOは最近のカンファレンスで、「当社の労働力の約半分がサラダ作りに携わっていますが、(このテクノロジーにより)そのうち約70%が自動化されます」と述べました1。この最初の成功を受けて、同社は2024年にロサンゼルスに2店目の自動化レストランをオープンする予定です。
- メキシコ料理専門のファーストカジュアル・チェーンは、自動調理システム「メイクライン(Makeline)」を活用してボウルとサラダを移動する自動システムをテスト中です。
半自動キッチン:ロボットがレストランのイノベーションを刺激する
- 前述のメキシコ料理のファーストカジュアル・レストランは、AIと自動化テクノロジーに大きく傾注しています。同社は、トルティーヤチップス製造ロボットやワカモレ用ロボットの実験だけでなく、肉質を一変させる可能性のあるAI対応の両面焼きグリルも試験中です。同社CEOは、「(このグリルは)弊社のキャパシティを間違いなく解放してくれます。それにより、新メニューの導入や、特定メニューの提供予定期間などの検討が可能となるため、弊社にとっては大きな解放です2」と述べています。この両面グリルは現在、同チェーンの多くの店舗に導入を拡大中です。