新たな強気市場?

楽観的な見方には、もっともな理由があるのでしょうか。それとも市場参加者は、幻想を抱いているのでしょうか。

最近、市場関係者が目を疑うような展開が続いています。毎日のように、山ほどある潜在的リスクの中から新しいリスクが前面に浮かび上がってくるのです。その内容は、米国の予算をめぐる紛争からOPECの決定、中国と欧州の製造セクターの低迷、米国の銀行セクターにくすぶる危機まで、多岐にわたっています。にもかかわらず、総合的な株価指数である米S&P 500指数のテクニカル指標は、新たな強気市場の始まりを示しています。同時に、ドイツの代表的な株価指数であるDAXは、驚くほど安定しており、1万6,000ポイント前後で推移しています。これは、市場参加者が好ましくない材料を隠していることを意味するのでしょうか。それとも市場参加者は、景気後退(リセッション)入りの可能性に対する多くのエコノミストの懸念を否定しているのでしょうか。あるいは、本当に新しい時代をもたらすような、新しい隠れた力が働いているのでしょうか。

こうした質問は、すぐに答えの出るものではありませんが、いくつかの側面を検討してみる価値はあるでしょう。その中のいくつかは本当に新しいものかもしれません。真っ先に言えるのは、中央銀行が抑制的な金融政策に方向転換しているということです。米連邦準備制度理事会(FRB)はこの1年、記録的なペースでフェデラルファンド金利を引き上げました。第2次世界大戦以降、金利がこれほど短期間のうちに、これほど急速に引き上げられたことは一度もありませんでした。この転換を引き起こしたのは、2ケタ台のインフレ率でした。世界中の他の中央銀行も、これに追随しました。主要金利の引き上げ、ウクライナでの戦争、そして高いインフレ率が相まって、ボラティリティが高まりました。過去においても、同じような要因が積み重なったことで、景気後退傾向や金融セクターにおける「アクシデント」が生じたことは何度もあります。

市場が意外にも好調である第1の理由として考えられるのは、インフレが再び減速しつつあること、ガス価格の高騰が落ち着いたこと、成長が驚くほど粘り強さを見せていることに対する安堵感と驚きです。経済主体は明らかに、危機が目前に迫っているというエコノミストの警告を真剣に受け止め、近付きつつある困難に対して備えています。何よりも、各国政府が大規模な財政出動を実施し、世界中でインフラ開発や補助金に巨額の資金を投じています。さらに、米国の消費者がコロナ貯蓄を頼りにしていることは一目瞭然であり、彼らの消費意欲はいまだに衰えていません。

そこで第2の理由として、労働市場が世界各地で安定していることが挙げられます。高金利と逆イールドは、金融セクターの一部に困難をもたらしているものの、労働市場にはまだ大きな影響を及ぼしていません。そして、安定した労働市場は、米国と欧州の成長を押し上げています。ここで関わってくるのが、第3の重要な要因、すなわち歴史上最大の世界的なパンデミックからウクライナでの戦争、1970年代の石油危機以来の高インフレまで、多種多様な異例の危機が短い期間に相次いで発生したことです。こうした危機への対処から、予期せぬエネルギーが解き放たれ、回復力に対する大きな自信が生まれました。これはまた、第4の理由にもつながります。すなわち、金融危機以降、世界中の政府がほぼずっと、前例のない危機対策を取っているということです。危機の最中に用いられた手段の種類と範囲も、財政支援の規模も、それまでは想像もつかなかったほどのものでした。この取り組みにおいてはたいてい、世界的に政府と中央銀行の協力が最も重要な要素となっています。そうして取られた施策には、ゼロ金利政策、量的金融緩和(QE)、新型コロナ関連の支援、過去最高の防衛支出、そして言うまでもなく、インフレ抑制のための急速な利上げなどが含まれます。これまでのところ、これらの取り組みが主要先進国における状況の安定に役立っていることは明確です。

5つ目の理由は、企業の柔軟性の高さです。上場企業が発表した2023年第1四半期の売上高と利益は、驚くほど好調でした。多くの企業は明らかにインフレの恩恵を受けており、コスト削減を図り、政府補助金を正しい方向に回しています。平均すると、企業の利益見通しは再び上昇しています。

この時点で、第6の理由、すなわち多くのセクターでイノベーションが相次いでいるということに言及しておくべきでしょう。イノベーションは、人工知能(広く議論されているテーマ)に始まり、遺伝子工学を活用した新薬、eモビリティ、経済と社会のグリーントランスフォーメーションまで多岐にわたります。

最終的には、第7の要因である「増幅効果の勢い」が、決定的な役割を果たすでしょう。現在の動向の特徴として、数多くの要因が経済主体に大きな圧力をかけていることが挙げられます。投資決定と革新的な方法を実行に移すために、迅速かつ効率的に行動する必要があります。経済主体にその能力があるでしょうか。今のところ、株式市場は明らかに、あると考えているようです。とはいえ、不調が生じることもありえます。金利上昇の影響が今後、より強く出てくることから、リセッションに陥る可能性は依然としてあるように思われ、その確率は高いといえます。

今週のチャート

米国S&P 500種株価指数
S&P 500種株価指数は、2022年10月以来20%上昇しており、市場のテクニカルな定義によれば、「弱気市場」は終了している

出所:Allianz GI, Refinitiv Datastream, 2023年6月14日。過去のパフォーマンスは、将来の結果を示唆するものではありません。

来週を考える

この1週間は、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が注目を集めました。これからの1週間は、経済指標を受けた動きはそれほど多くないと予想されます。週末にかけて、欧州と米国の新たな購買担当者景気指数(PMI)が発表されます。製造セクターの安定化の兆候を示しているかどうかが注目されるでしょう。週の前半は、火曜日の米国住宅市場に関する発表と、米国の労働市場の指標が注目を集めると思われます。

 

強気相場にうまく乗れますように。

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