米連邦準備制度理事会

FRBにとって警戒と忍耐の時

各国中央銀行による利下げ期待は年初から急速にしぼみ、引き続き金利市場のボラティリティを高めています。

要点
  • 根強いインフレのため、弊社は米連邦準備制度理事会(FRB)が直ちに利下げに動けるとは考えていない
  • しかし、パウエルFRB議長の最近のコメントは、2024年後半における金融緩和への道を開くものである
  • 景気減速が物価下落に波及すれば、6月にも初回の利下げがあると弊社は予想する
米連邦準備制度理事会(3月19日-3月20日)の見通し

各国中央銀行による利下げ期待は年初から急速にしぼみ、引き続き金利市場のボラティリティを高めています。しかし、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、何らかの重要な新情報が投資家にもたらされることはないでしょう。

米国の最新統計は、今回のFOMCで利下げを行う環境にはないことを裏付けるものでした。確かに経済活動は減速しています。しかし、特に雇用創出は、一定の底堅さを示し続けています。また、インフレは依然として根強く、FRBの目標値2%にはほど遠い高水準にとどまっています。CPI(消費者物価指数)の総合指数は、1月の前年同月比+3.1%に対し、2月は市場予想を上回る+3.2%へと再び上昇しました。一方、コア指数は、前月比+0.4%で安定しており(1月と同値、市場予想:+0.3%)、前年同月比では+3.8%とわずかに低下しました(1月:+3.9%、市場予想:+3.7%1)。予想を上回る生産者物価指数は、ディスインフレの軌道が2%の物価目標に収束するのは容易でないとの認識を強めました。

1月のFOMC記者会見で強調されていたように2、利下げの必要性をFRBが確信するには、良好なインフレ統計をいくつか確認する必要があります。したがって、現状ではまだそこには至っていません。

こうした中、FRBは短期的には引き締め的な金融政策を維持しなければなりません。しかし、FRB議長の最近のコメントは、金融緩和への道を開くものです。

パウエル議長は、3月7日の米上院銀行委員会における証言で、インフレ率が2%に向けて持続的に推移しているという、利下げ開始に必要な確信の水準にFRBが近づいているとの考えを示しました。同議長は、利下げ時期について、2024年中(「今年のある時点」)が適切だろうと付け加えました。

そのため、市場予想(初回利下げが7月FOMCにずれ込みつつある)が実現するかどうかは、今後数週間に発表されるインフレ統計が決定的な役割を果たすでしょう。

弊社は、景気減速が(予想を下回る最新の小売売上高に見られるように)すでに需要の悪化に現れていて、今後数カ月間の物価動向の決定的な要因となり、FRBが6月FOMCで利下げに踏み切ることを可能にするものと考えます。

 

1. US Labor of Statistics
2. 31 January 2024

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