米連邦準備制度理事会
FOMC内で見解が大きく割れる中、利下げの可能性は依然高い
12月9日~10日に開催されるFOMC会合の見通しは極めて読みにくいものとなっています。パウエル議長は、12月の利下げは「既定路線とはほど遠い」と強調していました。米政府閉鎖に伴う公式統計発表の停止により経済情勢の見通しが制約されたことや、経済の予想以上の堅調さを受けて、警戒感が強まっています。
要点
- FOMC内で見解が大きく割れる中、今回の会合は結果が読みにくい状況です。
- 総合的な観点からは、賛否が分かれつつも25ベーシスポイントの利下げが決定されると予想します。労働市場にくすぶる下振れリスクや、消費の弱含みを示す兆候が、このハト派姿勢を後押しするとみられます。
- 米国債市場は、追加利下げから一定の安心感を得るものと思われますが、10年物利回りはすでに4%付近にあり、さらなる低下の余地は限定的とみられます。
- 戦略的な観点からは、足元のマクロ経済状況と政策環境が、米国イールドカーブの7年・30年のスティープ化取引に引き続き有利な状況にあると考えます。
FOMC内で見解が大きく割れる中、利下げの可能性は依然高い
12月9日~10日に開催されるFOMC会合の見通しは極めて読みにくいものとなっています。パウエル議長は、12月の利下げは「既定路線とはほど遠い」と強調していました。米政府閉鎖に伴う公式統計発表の停止により経済情勢の見通しが制約されたことや、経済の予想以上の堅調さを受けて、警戒感が強まっています。パウエル議長は、この状況を「霧の中の運転」になぞらえ、よりゆっくりとした慎重なアプローチを示唆しており、追加緩和は2026年初めまで持ち越される可能性もありました。
不透明感にもかかわらず、弊社の見解では、直近のFOMC声明、マクロ統計データ、そして市場のプライシングは25ベーシスポイントの利下げを示唆しています。ベージュブック(地区連銀経済報告)は、労働市場の低調さと消費支出の不均一性(全体は弱含む一方、ハイエンド小売は底堅い)を示しています。先を見据えると、景気後退を想定しないベースケース・シナリオを前提に、FRBが合計50ベーシスポイントの保険的追加利下げを実施し、2026年半ばまでにフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.25%~3.5%にするとの弊社見通しを維持します。この継続的な金融緩和は成長を下支えし、下振れリスクを軽減するとみられますが、現在の市場が織り込む3%を下回るターミナルレート(利下げの最終到達点)の水準には及んでいません。
FOMC会合では、各参加者の最新見通しも注目されます。9月会合では、次のような相反するシグナルが示されました。すなわち、GDPは潜在成長率に近づき、失業率は自然失業率に向けて低下し、インフレは目標値に収れんしつつあるにもかかわらず、大幅な利下げが予想されていました。FOMC参加者の金利見通しを示すドットチャートは、分散幅が125~150ベーシスポイントに達しました。12月の見通しもこのパターンを繰り返す可能性が高く、2025~26年のGDP見通しはわずかに情報修正され、失業率やインフレの見通しには大きな変化がないとみられます。
市場の観点からは、タカ派的利下げが、保険的利下げサイクルのストーリーを当面維持するのに有効とみられますが、それは従来リスク資産を後押ししてきた環境に他なりません。もっとも、パウエル議長による慎重なトーンの発言が初期における上昇を抑制する可能性があります。議長は、FOMC内の見解の対立と、政策金利が中立水準に近づいたことで追加緩和の余地が縮小している点を強調する可能性が高いとみられます。
また、米国債市場は、追加利下げから一定の安心感を得られる可能性もありますが、10年物利回りはすでに4%付近にあり、さらなる低下の余地は限定的とみられます。最近のFRBによる量的引き締めの終了は、限定的ながらプラスに働く可能性がある一方、大幅な利回り低下には、経済活動の減速や、より速いペースでのインフレ鈍化の明確な兆候が必要となります。足元で市場は12月利下げの可能性を90%程度織り込んでおり、据え置きの決定は市場に大きなサプライズを与えることになります。その場合、資産価格の急激な変動や、少なくとも一時的な調整を引き起こす可能性があります。