日銀政策決定会合

日本銀行は9月の会合で「タカ派的な据え置き」を維持する見通し

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)が9月にさらなる政策調整を行うことは予想していません。
  • 日銀は、7月会合での包括的な金融政策の変更が経済に及ぼす影響を引き続き評価中です。
  • 植田総裁の発言が、成長とインフレに対する日銀の見通しに確信を示すものとなるかどうかが、10月の最新統計発表前における重要な注目ポイントです。公式声明から今後の政策措置の手がかりは得られるかもしれませんが、時期に関する言及は曖昧なものでしょう。

 

日銀政策決定会合(9月19‐20日)の見通し

市場では、自民党総裁選、総選挙の早期実施の可能性、市場ボラティリティなどのため、年内の日銀による政策調整は困難になるとの見方が広がっています。しかし、弊社の見解では、政治的なスケジュールや投機的なポジション調整よりも、経済の動向がより重要であるとみています。堅調なインフレ統計と実質賃金のプラスの伸びにより、追加的な政策の必要性は高まっています。一方、円高とエネルギー価格の下落で、輸入によるコストプッシュ・インフレは今後、鈍化すると見られ、日銀には一息つく余地があります。さらに、春闘の賃金協定がより広範な賃金統計に波及するプロセスは依然として続いており、その次に来るサービスインフレ加速の動きはまだ見られません。したがって、急いで動く必要はなく、日銀は7月の思い切った政策転換の影響を十分に見極めた上で、さらなる調整に取りかかれると弊社は考えます。

記者会見での植田総裁の発言は、注目すべき重要な要素となるでしょう。植田総裁や他の日銀理事の公式声明から判断すると、データ重視の姿勢を強調するとともに、緩やかな利上げなどの手段により、今もなお非常に緩和的な金融政策から一段の脱却を図る必要性に言及することが予想されます。しかし、現段階で詳細な時期が明らかにされるとは考えていません。日銀は10月に次の展望レポートを公表しますが、おそらく、現在の見通しに対する確信が変わったかどうかに関する声明程度の期待にとどまるでしょう。

このような環境下、円高で増幅された短期的なボラティリティ・リスクのために確信度は下がりましたが、市場が新しい状況になじむまで、弊社は主要なポジションを維持します。日本国債は引き続きアンダーウェイトとします。世界的な金利水準の大幅な調整は日本国債にとって追い風ですが、日銀による国債買い入れの減額と利上げが組み合わされることで、利回りが上昇していく可能性は引き続きあります。円相場に関しては、ほぼ中立のスタンスを取っています。概ね建設的な見通しですが、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを開始し、その意図する軌道について指針を示すと、円の勢いは鈍化する可能性があります。日本株は、国内の構造的な原動力が持続し、世界経済も十分なペースで成長していることから、引き続き前向きです。ただし、円相場と経済見通しが新たなレンジに落ち着くまで、短期的に多少の変動が生じる可能性があります。

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