日銀政策決定会合

高まる市場へのサプライズ発生リスク

日銀は本会合でも政策を据え置く見通しです。しかし、日銀は市場にサプライズを与えることで知られており、調整のリスクは高まっています。

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)は、10月の会合で金融政策を据え置くことが予想される。プレッシャーが増大し、サプライズ発生リスクが高まる中、日銀は12月の次回会合まで追加のデータを待つ姿勢をとると考えられる

  • たとえ一時的に鈍化の兆しが見え始めても、インフレは依然として高い水準にあり、予想を上回っていることから、賃金データのさらなる精査が必要となる
  • 本会合では最新の経済見通しが発表されるが、2024年度のコアインフレ予想が2%に引き上げられる可能性は十分にある。その時点で市場は今後の政策調整の可能性がより高まったと判断するかもしれない
日銀政策決定会合(10月30‐31日)の見通し

インフレ動向は横ばいに転じています。日銀の判断材料の1つである「生鮮食品およびエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)」は、9月に前年同月比4.2%と、前月の4.3%から低下しました。これは、市場参加者の予想よりも緩やかなものでした。今回は「展望レポート」が公表されますが、日銀の消費者物価見通しが上方修正されると弊社は予想します。過剰ともいえる金融緩和、円安の悪影響、膨張する日銀バランスシートなどにもかかわらず、本会合での政策変更はないと考えます。

日銀が政策調整を実施するためには、賃金改善が十分に定着したという確信を得る必要があります。日銀は、年末まで追加的なデータ発表を待つと弊社は予想します。2023年10月、連合(日本労働組合総連合会)は、2024年の春闘における目標を発表し、2023年の「5%程度」を上回る「5%以上」へと引き上げました。これは、日銀の目標に沿った賃金圧力が持続していることを示している可能性があります。企業収益、需給ギャップ、総収益予想に関する追加的なデータは、12月の次回会合までの間でしか入手できません。日銀は最近、市場予想の先を行く行動パターンを示しています。多くの市場参加者は、2024年上期に政策調整が行われると予想しています。このため、12月の会合における早期の行動はあり得ると弊社は考えます。しかし、日銀は世界的な金利上昇の影響も精査しており、10月の会合での行動は時期尚早と思われます。可能性としては、イールドカーブ・コントロール(YCC)の幅のさらなる拡大、0.5%の基準点の撤廃、あるいは日々の債券買い入れ方法の変更などが考えられます。

ポジショニングに関して、弊社は日本国債に対して慎重な見方を、円相場に対してやや積極的なスタンスを、それぞれ維持します。10年国債利回りは1%(YCCの上限)に接近していますが、最終的なYCCの撤廃と利回り上昇が引き続き弊社のベースケースです。円相場の状況はより複雑です。米連邦準備制度理事会(FRB)または日銀の大幅な政策変更がないかぎり、大幅な相場反転には材料不足です。しかし、円が極端に過小評価されていることや、2024年に金融政策の格差が縮小する可能性を受けて、緩やかな円高の余地があると弊社は考えます。また、金融政策にサプライズがあった場合は、より持続的な動きとなる可能性もあります。それと同時に財務省は、現状で取りうる手段に限定的な効果しかなくても、ある程度は円相場の下落を抑えようとするでしょう。

 

CPI: Consumer Price Index Japan, The Statistics Bureau and the Director-General for Policy Planning of Japan, 20 October 2023

  • 【ご留意事項】
    • 本資料は、アリアンツ・グローバル・インベスターズまたはグループ会社(以下、当社)が作成したものです。
    • 特定の金融商品等の推奨や勧誘を行うものではありません。
    • 内容には正確を期していますが、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。
    • 本資料に記載されている個別の有価証券、銘柄、企業名等については、あくまでも参考として申し述べたものであり、特定の金融商品等の売買を推奨するものではありません。
    • 過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。
    • 本資料には将来の見通し等に関する記述が含まれている場合がありますが、それらは資料作成時における当社の見解または信頼できると判断した情報に基づくものであり、将来の動向や運用成果等を保証するものではありません。
    • 本資料に記載されている内容・見解は、特に記載のない場合は本資料作成時点のものであり、既に変更されている場合があり、また、予告なく変更される場合があります。
    • 投資にはリスクが伴います。投資対象資産の価格変動等により投資元本を割り込む場合があります。
    • 最終的な投資の意思決定は、商品説明資料等をよくお読みの上、お客様ご自身の判断と責任において行ってください。
    • 本資料の一部または全部について、当社の事前の承諾なく、使用、複製、転用、配布及び第三者に開示する等の行為はご遠慮ください。
    • 当社が提案する戦略および運用スキームは、グループ会社全体の運用機能を統合したものであるため、お客様の意向その他のお客様の情報をグループ会社と共有する場合があります。
    • 本資料に記載されている運用戦略の一部は、実際にお客様にご提供するにあたり相当程度の時間を要する場合があります。

     

    対価とリスクについて

    1. 対価の概要について 
    当社の提供する投資顧問契約および投資一任契約に係るサービスに対する報酬は、最終的にお客様との個別協議に基づき決定いたします。これらの報酬につきましては、契約締結前交付書面等でご確認ください。投資一任契約に係る報酬以外に有価証券等の売買委託手数料、信託事務の諸費用、投資対象資産が外国で保管される場合はその費用、その他の投資一任契約に伴う投資の実行・ポートフォリオの維持のため発生する費用はお客様の負担となりますが、これらはお客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)を通じてご負担頂くことになり、当社にお支払い頂くものではありません。これらの報酬その他の対価の合計額については、お客様が資産の保管をご契約されている機関(信託銀行等)が決定するものであるため、また、契約資産額・保有期間・運用状況等により異なりますので、表示することはできません。

    2. リスクの概要について 
    投資顧問契約に基づき助言する資産又は投資一任契約に基づき投資を行う資産の種類は、お客様と協議の上決定させて頂きますが、対象とする金融商品及び金融派生商品(デリバティブ取引等)は、金利、通貨の価格、発行体の業績・財務状況等の変動、経済・政治情勢の影響を受けます。 従って、投資顧問契約又は投資一任契約の対象とさせて頂くお客様の資産において、元本欠損を生じるおそれがあります。 ご契約の際は、事前に必ず契約締結前交付書面等をご覧ください。

     

     アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン株式会社
     金融商品取引業者 関東財務局長 (金商) 第424 号 
    一般社団法人日本投資顧問業協会に加入
    一般社団法人投資信託協会に加入
    一般社団法人第二種金融商品取引業協会に加入

Top Insights

市場展望インサイト

経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

詳しくはこちら

市場展望インサイト

FRB9月に利下げサイクルを開始し、その政策対応機能の焦点がFRBに課された2つの使命のうち雇用側にシフトしたことを示唆して以降、労働市場の動向はそれなりに堅調なものでした。

詳しくはこちら

市場展望インサイト

欧州中央銀行(ECB)は12月12日の会合で25bpの利下げを実施し、預金ファシリティ金利を3%に引き下げると予想します。

詳しくはこちら

アリアンツ・グローバル・インベスターズ

ここからは、jp.allianzgi.comから移動します。 移動するページはこちらです。