アリアンツGIの日銀政策決定会合(6/15-16)の見通し

615-16日の日本銀行会合の見通しについてアリアンツGI  マルチアセット部門グローバルヘッドのグレガーハートとポートフォリオマネージャーのシュテファンリトナーがコメントしました

要点
  • 日本銀行は、今週の会合でも金融政策を据え置くこと予想される
  • 7月の会合では、日銀は、より重要な経済指標を確認することができ、それを踏まえて最新の経済予測を立てる見られる。その際には、金融政策変更可能性が高まる
  • 6月の会合で政策が変更されないという予想は織り込み済みであり、据え置きであった場合、市場は大きく反応しないことが想定される
アリアンツGIの日銀政策決定会合(6/15-16)の見通し

日本銀行(以下、日銀)は現在、世界の中央銀行の中で特異な状況です。他の国・地域では積極的な利上げが行われている一方で、日本銀行は今のところ政策金利の変更を行っていません。イールドカーブ・コントロール(YCC)については、市場機能の改善とYCC体制の持続可能性を図るため、2022年12月に一度だけ微調整を行いましたが、この微調整は緩和姿勢からの脱却を意味するものではありませんでした。

しかし、足元の経済環境は、日銀がその方向性を見直す契機になる可能性があります。日本のインフレ率は数十年来の高水準にあり、日銀が焦点をあてる消費者物価指数(CPI)(生鮮食品とエネルギーを除く)は、これまで上昇を続け、4月には前年比4.1%とインフレ目標の2%を大きく上回っています。日本国債市場は、YCC政策によって依然としてその機能が損なわれています。また、春闘では平均3.6%以上の賃上げが実現し、1993年以来最も高い水準となりました(6月5日現在)。最後に、企業のインフレ予想が高まり、日本では異例の大幅な価格の引き上げを実施しようとしています。

同時に、総合CPIと東京都区CPIは頭打ちの兆しを見せています。ここで重要なことは、日銀が4月に発表した経済予測で、2024年度のインフレ率が1.7%(中央値)に低下すると予想していることです。これは2%のインフレ目標を再び下回り、このインフレが一過性のものとして見ていることを示唆しています。日銀は、過去1年間のコストプッシュ型インフレが十分に持続可能な国内インフレ動向につながり、足元の賃金上昇が一過性のものとはならないことへの確証は持っていないでしょう。日本の国債市場は依然として緊張していますが、日本銀行が市場関係者に行ったアンケート調査や市場推移を見る限り、年明けの低迷した水準から改善しており、現時点では直ちに調整を必要とする状況にはないと言えるでしょう。

このような環境下、日銀の植田 和男総裁は、“当面は金融緩和政策の維持が必要であり、引き締めが遅れて、2%を超えるインフレ率が持続するリスクよりも、拙速な引き締めによって、2%の物価安定目標を実現できなくなるリスクのほうが大きい”との考えを述べています。また、包括的な政策レビューを開始したが、このレビューの完了には相応な時間がかかると思われます。

したがって、弊社は、日銀が6月の会合で抜本的な改革を行うとは考えておらず、主要短期金利(現在-0.1%)の変更もまだ期待していません。

ただし例外として、YCC調整を行う可能性がないとは言い切れません。植田総裁を始めとした関係者は、YCC調整は事前ガイダンスがほとんどないため、必然的に市場を驚かせることになると述べています。なお、弊社は、YCC調整を行う動機が、日銀が今後より柔軟な対応を行うためのものであり、調整を利用して政策を引き締めるものではないと考えています。しかし、可能性という観点では、賃金総額の動向を始めとした重要な指標が7月の会合まで入手できないことから、6月に変更される可能性はまだ低いと思われます。7月と10月の会合では、新しい日銀の経済予測が発表されるため、これらの会合の方が変更をより説明しやすいでしょう。

概して、日銀は保守的な姿勢を崩さず、デフレリスクという“以前の“枠組みに捉われているように見えますが、これは、デフレが日本経済に与えた非常にネガティブな影響を考えれば、驚くことではないでしょう。しかし、他国の中央銀行、とりわけ米国の米国連邦準備制度理事会(FRB)が、インフレの一過性の性質を強調したことで、後に不利な立場に立たされたことも忘れてはなりません。これが、現段階で日本国債に慎重な見方を維持する理由です。

 

特に断りのない限り、すべてのデータ、見解、意見は2023年6月15日時点のものです。

Statistics Bureau of Japan
2 The annual wage negotiations between enterprise unions and the employers in Japan. Source: https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/yokyu_kaito/kaito/press_no6.pdf?8401
3 https://www.boj.or.jp/en/mopo/outlook/gor2304b.pdf
4 Cost-push inflation occurs when overall prices increase (inflation) due to increases in the cost of wages and raw materials

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