日銀政策決定会合

日本銀行は本会合でも金融政策を据え置く見通し

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)は、今週の会合でも金融政策を据え置くことが予想される
  • 最近のインフレデータは高水準ながらも横ばいで推移している。また、世界的なインフレ傾向は減速しつつある。このため日銀は、国内のインフレ傾向について方向性と持続性を見極めるために、さらなる経済指標が出そろうのを待つ可能性が高い 
  • 当初、多くの市場参加者が、7月にイールドカーブ・コントロール(YCC)の調整があると予想していたが、最近の植田総裁の発言やメディアでのコメントを受けて、据え置きの方向に予想が変化してきた。したがって弊社は、とりわけ最近のメディアのコメントに対する市場の大きな反応は、今の結果を見越したものだった可能性を踏まえ、今週の日銀会合への反応は抑制されたものになるだろうと予想する
日銀政策決定会合(7月27‐28日)の見通し

世界の中央銀行の多くは、すでに政策引き締めサイクルの最終段階にありますが、日銀はまだ政策の正常化に向け具体的に踏み出していません。日銀によれば、政策金利の変更および量的緩和の終了にはまだ距離があります。このため弊社は、当面は緩和的な政策が継続すると予想します。次のステップとして、イールドカーブ・コントロール(YCC)の調整が、変動幅のさらなる拡大、操作目標の年限短期化、あるいはYCCの撤廃の形で行われる可能性があります。その場合はハト派的な文脈で行われると考えられ、緩和姿勢からの脱却を意味するものではないでしょう。弊社は、これが7月の会合の一環として行われることは予想していません。

第1に、インドで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議において、植田総裁は日銀の政策据え置きを示唆すると思われる発言を行いました。植田総裁は、「(持続的・安定的な2%の物価目標の達成には距離があるという)前提が変わらない限り、金融政策に関する全体のストーリーは不変である」と述べています。弊社の主張は、これまでのところ日銀が目標を達成できたと確信している証拠は不十分だということです。過去数日間のメディアにおけるコメントが、それをさらに裏付けています。これらの事実は、日銀が現時点では直ちに政策変更の必要はないと考えていることを強く示しており、すでにいくつかの顕著な市場の動きを引き起こしています。

第2に、国内のコアインフレは、初めて一時的に横ばいの兆しを見せています。実際、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)は直近で前年比4.2%となりました。この水準は、日銀の2%の目標を大幅に上回っていますが、前月の4.3%からは緩やかな減速となっています。また、他の多くの地域ではインフレがすでに著しく減速しています。賃金の面では、7月発表の現金給与総額が前年比2.5%増となりましたが、これがほぼ「一度限り」で終わらない可能性にはまだ不透明感が残ります。そのような環境の中、そして長年にわたるデフレの経験を踏まえれば、日銀は経済成長およびインフレの現状を見極めるためにさらなる経済指標が出そろうのを待つ姿勢をとり、度を超えたインフレが続くリスクは限定的と判断する可能性が高いと、弊社では予想しています。

第3に、足元において日銀に行動を強いる外部の圧力は弱まっています。実際、直近2022年12月に実施されたYCC調整の最大の理由は、債券市場の機能を改善する必要性でした。日銀独自の市場調査やイールドカーブの形状・水準から判断して、市場は実際に機能しており、ゆがみはあるものの限定的です。

「据え置き」が弊社のベースケースとなりますが、それにもかかわらず、YCC調整には明らかな可能性が残されています。 

植田総裁自身が、YCCという手段は政策の微調整に向いておらず、最終的に撤廃される可能性が高いと発言しています。また、7月の会合では新たな経済見通しが明らかになります。この「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)は、需給ギャップ、賃金、予想物価上昇率など、日銀が注視している主要な変数を把握する上で重要です。仮に、見通しが十分に強いものとなり上方修正された場合、市場がそれを大幅に織り込み始める可能性があり、日銀はYCCを守るために介入を行う必要が生じるでしょう。市場が上限を試しに行く前に先んじて変動幅を拡大すれば、ハト派色の強い全体的メッセージと組み合わせることによって、よりスムーズな移行が可能と考えられます。結局のところは、広く論じられてきたように、YCC調整は市場にサプライズを与えることになるでしょう。

ポジショニングに関して弊社は、今週の日銀政策決定会合におけるイベントリスクよりも、最終的な金融政策の正常化、あるいは金融政策の格差縮小や米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策変更といった長期的な構造変化が、日本国債や円相場を動かすより強い要因になると考えます。このため弊社は、日本国債については慎重な見方を、円相場についてはやや積極的な見方を維持します。

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