日銀政策決定会合

日銀、1月の金融政策決定会合で利上げの見通し

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)は、1月の会合で0.5%への利上げを実施すると予想します。
  • 経済指標は引き続き日銀の見通しに沿ったものとなっており、利上げは可能な状況です。最近の日銀関係者の発言やニュース報道は、利上げの可能性を強調するものとなっています。これは、利上げに対して市場が予想外の反応をしないようにする日銀の努力の現れと考えます。
  • 日銀の利上げにとって一番のリスクは、トランプ大統領2期目の就任にあります。大統領による就任演説あるいは当初の政策措置が経済の不透明感を高め、市場変動を引き起こした場合、日銀は決定を先送りする可能性があります。
  • 記者会見における植田総裁の発言のトーンや、最新の日銀展望レポートの内容は、政策見通しを理解する上で重要となります。利上げが市場にスムーズに受け入れられるよう、総裁の見解はバランスを意識したものになると予想します。

 

日銀政策決定会合(1月23‐24日)の見通し

日銀は1月の会合で政策金利0.5%に引き上げると予想します。植田総裁や氷見野副総裁を含む日銀関係者による複数の講演や公式声明において、利上げが会合の重要な論点となることが示唆されました。さらに、一部のニュース報道は「事情に詳しい」情報筋の発言として、利上げの可能性高いとしています。このようなコミュニケーション戦略は、前回利上げ時における市場の動揺を踏まえ、市場のサプライズを最小限に抑えたい日銀の意向を反映していると思われます。

経済指標は引き続き日銀による利上げを裏付けるものとなっています。生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数は、11月に2.4%まで上昇1し、上昇モメンタムを維持しています。賃金の伸びは依然として重要な要素です。植田総裁は以前の発言で、利上げ判断には「もうワンノッチ(一段階)の情報」が欲しいと述べていましたが、氷見野副総裁は最近の発言で、賃上げの趨勢に関して日銀の複数の支店長から強めの報告があったとしています。これにより、3月の春闘賃上げ動向の集計前に日銀が行動を起こす可能性が出ました。円安の再燃も行動を迫る圧力となります。一方、日本の主要貿易相手国の状況は支援材料です。すなわち、米国経済は規制緩和や減税の後押しが見込まれる中で力強く成長する一方、中国は経済のリバランスおよび関税リスク対応のために刺激策を拡大すると予想されます。

日銀の利上げにとって一番のリスクは、トランプ大統領2期目の就任です。同大統領の就任演説あるいは当初の政策措置が不透明感や経済の下振れ懸念を高め、市場変動を引き起こした場合、日銀は決定を先送りする可能性があります。植田総裁の記者会見や最新の日銀展望レポートは、政策の方向性を見極める上で重要です。米利回りが上昇する中、過度な円売りを招くことなく利上げが円滑に受け入れられるよう、植田総裁の見解はバランスを意識したトーンになると見込まれます。展望レポートでは物価見通しの上方修正が予想されますが、その具体的内容が市場の期待を形成する上で非常に重要となります。

弊社は日本株および円相場に引き続き前向きな一方、日本国債には中立的なスタンスを保持します。日本株は、魅力的なバリュエーションで堅調な収益の伸びを見せており、日銀の利上げ可能性はあるものの、緩和的な金融環境が続いています。日本企業へのトランプ政権の影響は軽度に留まる可能性もありますが、これに関しては不透明感が残ります。円相場に関しては、利回り格差の縮小と大幅な割安感のため見通しはやや良好となっており、市場変動に際してセーフヘイブン(安全な逃避先)として見直される可能性があります。一方、最近の利回り上昇を受け、日本国債の見通しはより均衡的な状態にあると見られます。

1.政府統計の総合窓口 e-Stat 202411

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1月28-29日と30日のそれぞれの会合において、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を据え置き、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジ4.25%〜4.50維持する一方、欧州中央銀行(ECB)は預金ファシリティ金利を25bp引き下げて2.75%にするものと予想します。

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