日銀政策決定会合
日銀は12月も政策金利を据え置く一方、1月利上げへの地ならしを事前のコミットせずに進める見通し
要点
- 日本銀行(以下、日銀)は、12月も政策金利を据え置く一方、将来の政策手段について事前のコミットは行わないものの、次の段階に関して何らかの一般的指針を示す可能性が高いと予想します。
- 経済情勢は日銀の見通しに沿っており、12月にも利上げは可能となるでしょう。しかし、報道によれば、現時点で日銀は先送りのコストが非常に小さいと判断しており、確信が強まるのを待つ可能性が高いということです。
- 会合後の記者会見は、日銀にとって根本的な懸念が存在しているのか、そして、日銀が国内的あるいは地政学的なリスクの先行きをどのように見ているのかを理解する上で重要です。
日銀政策決定会合(12月18‐19日)の見通し
経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。最近のインフレ統計も良好でした。11月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品とエネルギーを除く)は緩やかな再加速が見られ、前年比1.9%と前月の1.8%から上昇しました。さらに、最新の日銀短観では、企業がすべての予測期間にわたって2%を超える一般物価の上昇を予想していることがわかりました。
このデータを踏まえると、日銀は12月会合での利上げを正当化できたでしょう。しかし、報道によると、日銀内部に時期尚早との懸念があった模様です。とりわけ円相場は比較的狭い範囲内で推移し、為替に起因する行き過ぎたインフレ上昇リスクを低減させており、先送りのデメリットは非常に小さいと日銀が判断しているとの報道もあります。それらの報道が出て以来、12月利上げに対する市場の期待は大きく低下しました。日銀が行動を起こす可能性は残りますが、その場合には市場に大きなサプライズをもたらすでしょう。特に今年7月に経験した市場変動を考慮すると、日銀は年末年始の休暇直前にそうした動きは避ける可能性が高いと考えます。自らの見通しに対する日銀の確信や、今後の政策調整の指針に関してどのような示唆があるのか、記者会見に注目が集まります。
ポートフォリオのポジションに関して、弊社は日本株および日本円に前向きな見通しを維持する一方、日本国債には中立的なスタンスをとります。日本株は、十分な収益の伸びと妥当なバリュエーションに支えられ、持続的な経済成長の恩恵を受ける有利な立場にあります。米国の政策の行方は依然不透明ですが、今のところトランプ次期大統領にとって日本は主要な関心事ではなく、むしろ中国と欧州に関心が集中しています。日本円に関して、利回り格差は引き続き縮小傾向にあります。大幅な割安感も相まって、このことは支援材料となるはずです。日本円が、ポートフォリオの分散手段として再び一定の役割を担う可能性もあります。日本国債にはまだ多少の利回り上昇余地がありますが、10年国債の取引利回りが1%を超えているため、当面の見通しはより均衡的なものになると考えます。