日銀政策決定会合

日本銀行は「国債買い入れの減額」と「利上げ」で正常化を推進する見通し

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)は7月の会合で、国債買い入れの減額と金利の引き上げにより、非伝統的金融政策からの脱却を大きく前進させる可能性が高いとみています。
  •  私達の見方では、日銀は国債買い入れ減額の道筋を示す予定である。この動きは広く伝えられ、市場も予想していた。詳細はまだ不明であるが、日銀は生じうる混乱に対する市場の期待に合わせて調整規模を決定すると見ています。
  • 日銀は限られたガイダンスしか提供しておらず、利上げの可能性について不透明感が強まっています。しかし、最近のデータは、「十分に堅調」を示唆しており、外部情勢が変化する前に、日銀はゼロ金利を脱却する機会を捉えることが可能と考えています。

 

日銀政策決定会合(7月30‐31日)の見通し

正常化への道を歩み続ける日銀の次の課題は、日本経済がインフレと賃金上昇圧力を伴いつつ正常化しているという主張を、強引な政策措置で経済を拙速に減速させることなく、政策を通じて立証していくことにあります。足元の経済データはまちまちです。成長が鈍化し、個人消費の低迷が続く一方で、賃金の伸びは広範に加速し、インフレ期待は上昇しています。世界経済と国内経済の成長見通しがともに比較的安定しており、日銀はこの機会を捉え、7月の会合で正常化に向けた取り組みを推進すると予想します。

日銀は金利を上限0.25%程度まで引き上げると弊社は予想します。この件に関して明確なガイダンスはなく、市場にとってサプライズとなるかもしれません。しかし、米国における景気減速の可能性といった外部要因で利上げより困難になる前に、日銀はこの機会を捉えてゼロ金利を脱却すると考えます。植田総裁は以前、政策金利が00.1%のレンジに長期間とどまるのは望ましくないことを示唆しています。実質金利が大幅にマイナスとなっている足元のインフレ水準を考慮すると、市場は利上げを十分にこなせると見られます。金利上昇が消費に及ぼす悪影響が懸念される一方で、消費センチメントにとっては、円相場安定させ、円安の進行を防ぐこと非常に重要です。利上げは、円相場を足元の水準で安定させるのに役立つ一方で、利上げがない場合、キャリートレードによる売り圧力が再燃する可能性があります。

さらに、日銀の国債買い入れ予定額の縮小も予想されます。この点はすでに日銀から十分に伝えられています。また、最近では利害関係者の意向を探る目的で、主要な債券市場参加者と日銀の間で突っ込んだ話し合いの場が持たれました。不必要な市場の混乱を避けるため、日銀は市場の期待に密接に沿うものと予想します。注視すべきポイントとして、テーパリング(買い入れの段階的縮小)のスケジュール、額、対象年限などがあります。日銀は、市場の混乱を防ぐため、おそらく今後2年間の計画の概略を説明し、将来のスケジュールについて十分な透明性を提供すると予想されます。テーパリングをめぐる不透明感から直近で投資を控えてきた機関投資家の再参入を促すため、減額幅は相当額になる見込みです。今後2年間で毎月3~4兆円が減額される可能性は十分にありそうです。対象年限に関し、あまり明確なガイダンスはありませんが、3~5年および5~10年など、これまで買い入れが最も集中していたゾーンが中心になると考えるのが妥当でしょう。

弊社のスタンスは次のとおりです。予想される国債買い入れ計画の縮小により、債券市場からの日銀の段階的な撤退がほぼ現実のものとなります。日銀は引き続き主要プレーヤーですが、債券市場から日銀が撤退しても中期的に利回り上昇のきっかけとなる可能性は低いでしょう。日本国債に関しては慎重な見方を維持します。なお、今後の日銀の動きは足元の価格にほぼ織り込まれていると弊社は考えており、近々「中立的」なスタンスへの変更を検討する可能性があります。日本株は、国内の構造的な原動力が持続しており、世界経済の成長による下支えと相まって、従来の前向きな見通しを堅持します。円相場に関して、当面は中立的なスタンスをとっています。最近の円高は明るい材料ですが、米国経済の減速を示すさらなるデータが得られるまで、大幅な円高に向かうのは難しいかもしれません。さらに、大きなネガティブキャリーのため、差し迫った動機なしにロングポジションを維持することはコスト高となりかねません。米国の状況も幾分か変化していることから、次回のFOMCでFRBの軌道に関するより多くの情報が得られるかもしれません。今後とも弊社は状況を注視し続けています。

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