日銀政策決定会合

日本銀行は4月の会合で金融政策の現状維持を決める見通し

要点
  • 日本銀行(以下、日銀)は、3月の金融政策決定会合で金融政策の枠組みを包括的に変更しており、4月は現状維持を決める可能性が高い

  • 今回の会合では新たな展望レポートが公表され、インフレリスクに関する表現を改善方向に微修正する可能性があると弊社は考える

  • 最近の講演で、植田総裁は普通の金融政策に戻したことを強調している。したがって、市場の次の焦点は国債買い入れのペースになるかもしれない

 

日銀政策決定会合(4月25‐26日)の見通し

3月の金融政策決定会合で包括的な調整を行った後、日銀は現状を維持し、さらなる政策変更に先立ち、時間をかけて新たな統計データを評価するものと予想します。最近の統計データは複雑な様相を呈しています。賃金上昇とインフレの自律的循環を追求した春闘(春季賃金交渉)は、堅調な結果(+5.2%)となりました1。しかし、依然としてマイナス領域にある実質賃金伸び率への影響はまだ明らかになっていません。日銀の経済見通しにとってだけでなく、政治主体にとっても、実質賃金伸び率がプラスの領域に移行することが極めて重要です。インフレ統計は引き続き日銀の目標を大きく上回っていますが、低下傾向が続いています(例:3月の生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価指数は前年同月比2.9%と、2月の3.2%から低下)2。現時点では、いずれの要因も日銀に短期的にさらなる行動を迫るものではありません。

植田総裁は、普通の金融政策を行っていくことになると強調していますが、これは市場参加者にまだ十分に理解されていないかもしれません。弊社の予想では、それはよりデータに依拠したアプローチを示唆しており、日銀の経済見通しとそれに続く統計データの重要性が高まっています。さらに、利上げまたは国債買い入れの縮小が政策手段となる可能性があります。どちらの調整も、市場機能にとって追加的なメリットをもたらします。とはいえ、4月に行動を起こす緊急性は高くないと思われます。これに対するリスク要因の1つは、円安が続いていることです。日銀は従来、円安の影響に対して中立的な姿勢を取り続けてきました。最近の発言では、円安が経済シナリオに悪影響を及ぼす場合には行動する必要があるとの認識を示すなど、円安に対する日銀の反応は以前より曖昧なものになっています。夏場以降、実質賃金の伸びがプラスに転じることが期待され、輸入コスト関連のさらなるインフレ上昇は日銀にとって望ましくないかもしれません。しかし、その影響は今のところそれほど大きくないと弊社は考えます。

日本国債に対して、弊社は引き続きアンダーウェイトのポジションを選択します。非伝統的な政策手段がほぼ撤廃された後、これまでのところ緩やかなリプライシング(価格調整)しか確認されておらず、特に世界の利回りも上昇している環境下では、リプライシングはまだまだ続くものと弊社は考えます。日本株に対して、弊社はオーバーウェイトのポジションを維持します。ここ数週間の下げは日本市場も例外ではありませんでした。しかし、弊社はこれを健全なテクニカル調整と見ており、根底にあるファンダメンタルズ要因は損なわれておらず、市場はより安定したパフォーマンスを取り戻す可能性があると考えます。対米ドルの円相場についてのみ、弊社の見解は中立的です。短期的なモメンタムは引き続きマイナスであり、これまでのところ米連邦準備制度理事会(FRB)が円相場の主導権を握っています。円は歴史的に見て依然として割安ですが、より強力なきっかけ(FRBによる予想より早い政策転換をサポートする統計や、日銀による断固とした防衛反応など)が確認されるまで、高いキャリーや徐々に下落が進む可能性のため、弊社はポジション構築を控えます。

 

1 Japanese Trade Union Confederation, March 2024
2 Statistics Bureau of Japan, April 2024

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