米連邦準備制度理事会
FRBは当面「様子見」姿勢を維持へ
パウエル議長は、当面は様子見という姿勢を再確認するとみられます。短期的な視界不良は認めつつも、中期的にはAIや生産性向上による供給面の恩恵に前向きな見方を示すでしょう。
主なポイント
- 少数の利下げ支持票が出るとみられるものの、3月17〜18日のFOMC 会合では政策金利は据え置かれると予想しています。
- 市場予想やコンセンサスと同じ結果となる見通しですが、今後はインフレと雇用の動きに残るズレ、そして中東情勢の悪化による波及効果が注目点となります。
米連邦準備制度理事会(3月17日-3月18日)の見通し
1月会合でFRBはややタカ派寄りのトーンへ転じ、慎重姿勢を強めていました。議事要旨でも、多くの参加者が「目標を上回るインフレが粘着的に続くリスクが十分にある」と指摘し、将来の政策判断を「利下げ方向に偏った表現」に限定すべきではないとの意見も複数ありました。
2月の雇用統計は予想を下回り、FRB が重視するコアPCEインフレ率は依然として 3% 程度で高止まりしており、CPI のように落ち着いた指標もあるものの安心できる状況には至っていません。ここに中東情勢の悪化が重なり、リスクはさらに増しています。もし混乱が長期化すれば、スタグフレーション圧力が再び高まり、供給ショックを「一時的」と割り切る余地が政策当局に残らなくなる可能性があります。歴史的にも、景気後退懸念が大きく高まらない限り、原油価格が急騰しインフレが続く局面で利下げに踏み切った例はほとんどありません。
こうした不透明感を反映し、経済・金利見通し(SEP)も調整される見込みです。12月時点の「好調な成長・労働市場改善・インフレ低下」という“ゴルディロックス”想定はやや弱められる可能性が高いでしょう。中央値としては今年と来年の利下げ予想は1回のまま維持される見通しですが、分布は「利下げ幅縮小」方向に寄る可能性があります。
記者会見ではパウエル議長に対し、中東情勢が金融政策に与える影響、IEEPA判決を受けた関税措置の影響、政治的圧力とFRBの独立性、5月に議長任期が切れた後の理事として残る意向の有無、などの質問が飛ぶと見られます。
総じて、パウエル議長は「当面は様子見」という姿勢を再確認するとみられます。短期的な視界不良は認めつつも、中期的にはAIや生産性向上による供給面の恩恵に前向きな見方を示すでしょう。弊社のメインシナリオでは、年後半に次期議長となるケビン・ウォーシュ氏の下で最終的に1回の利下げが実施されると見ていますが、経済や雇用が大きく悪化しない限り「利下げをしない」リスクの方が優勢です。現時点では米国債のショートポジションを推奨し、特に米国7年債〜30年債のスティープナーを有望と判断しています。