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紛争による中東の不確実性の増大

イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘の勃発による死者は1,500人を超え、中東で最も長期化している紛争が再燃しました。この地政学的不確実性の高まりにより、原油価格の高騰が引き起こされるでしょう。

要点
  • イスラエルとハマスの紛争による死者は1,500人を超え、世界的な地政学的不確実性が新たに引き起こされました。
  • 原油価格は急騰しましたが、弊社は、市場は主要経済圏における金利や成長率の方向性に引き続き注目するだろうと考えています。
  • 長期的には、この紛争により地政学的分断が再編成され、国際社会のウクライナへの注目を逸らすこととなるでしょう。

パレスチナのイスラム主義組織ハマスは、10月7日、過去数十年で最大規模の軍事攻撃を開始し、数百人のイスラエル人を殺害しました。この攻撃がガザ地区での報復空爆を誘発し、同様に数百人が死亡しました。この紛争は人類にとって重大な悲劇となりました。また投資家にとっては、収束の目途が立たないこれらの事態が、市場へどのような影響を与えるかについて、弊社の見解を必要としているかもしれません。

市場において、これまでのところ、この紛争が最も直接的に影響したのは原油価格です。原油価格高騰の更なる長期化は、燃料価格のインフレを助長しかねないとの懸念から、国際的な原油価格のベンチマークであるブレント原油先物取引価格は、5%増の1バレルあたり89米ドルとなりました。

しかし短期的には、低金利時代を経て世界経済がリバランスする中で、投資家は金利と経済成長率の方向性に引き続き注目するだろうと、弊社は考えています。

それでもなお、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、イスラエルが「長く難しい戦争」に直面していると述べたように、この紛争による地政学と資産への影響は長期化する可能性があります。

原油への注目

通常、地政学的な対立は、中東の場合は特に、原油価格の高騰を引き起こしますが、今回も例外ではありません。これまでのところ、この紛争による原油供給への即座の影響は見られませんが、イランが紛争に関与すれば、更にエスカレートするリスクがあります。2022年には、世界の原油生産量のうち、イランは4%、中東は約3分の1をそれぞれ生産しました1。現在、イランはハマスの攻撃に関与していないとしていますが、ハマスの重要な支援国であることに変わりはありません。

OPECプラス2の主要産油国であるサウジアラビアとロシアからの供給削減により、9月の原油価格は1バレル95米ドルを超えましたが、その後、世界の経済成長に対する懸念から価格は下落しました。弊社はサウジアラビアとロシアが今回の紛争勃発により減産方針を変更するとは見ていませんが、その一方で、季節的な原油需要は夏季と比較して高まるだろうと考えています。

紛争が激化するにつれて、原油価格が高止まりした場合-あるいは更に高騰した場合、世界的なインフレ圧力に拍車がかかると考えられます。その場合、各国の中央銀行は金融政策の方向性について再検討を迫られるでしょう。それにより米国や欧州などの主要経済における金利が、長期的に上昇する可能性が高まるかもしれません。また経済成長が更に減速するリスクを高める可能性もあります。そうなると、輸入燃料への依存度の高い欧州は、特に不安定となるでしょう。

このような筋書きは、株式や債券などの他の資産についても影響をもたらすかもしれません。

地政学的分断の再編成

かつてハマスとイスラエルの紛争が世界の経済成長やコモディティ以外の市場へ与えた影響は限定的でした。今回についても、イランが巻き込まれるなどしてこの危機的状況が著しく悪化しない限りは、これまでとの大きな違いはないと考えています。経済見通しに関しては、欧州および米国における景気後退の基本的な見通しに変更はありません。しかし、それは外的ショックによるものではなく、中央銀行の金利がより高い水準に引き上げられることによって引き起こされるものと考えています。

長期的には、この紛争により地政学的分断は再編成され、旧連盟を強固にするかもしれません。世界の注目はロシアの対ウクライナ戦争から離れるでしょう。米国では、共和党支持者および民主党支持者のいずれも、危機的状況のイスラエルを支持しており、この紛争は来年に控えた米国の大統領選挙活動に大きく立ちはだかるでしょう。2021年にロシアとの戦争が開始してから、米国はウクライナに445億米ドル以上の安全保障支援を行ってきました3。そのため、今やイスラエルの資金需要が優先されるかもしれません。また、この紛争は近年推し進められてきた中東の新しい同盟関係についても疑問を投げかけています。米国の暗黙の支援により、サウジアラビアと他のアラブ諸国は、近年その地域におけるイランの影響力を牽制する策として、イスラエルとの外交関係を開いてきました。この友好関係の樹立は、今後原油価格へ影響を与えかねないと懸念されています。

セーフ・ヘブンの出現

地政学的な不確実性が高まる状況では、安全資産の運用は堅調となるでしょう。投資家が米国債や米ドルなどの他の資産を探し求める中、金の価格は数か月間下落基調でしたが、この状況下では 下支えされるでしょう。米ドルや債券の実質利回りが高まる一方で、金は資産の安全な避難先として優れたヘッジとなり得ると考え、弊社は金のオーバーウェイトを継続する方針です。 スイスフランも、市場の混乱時における資産の避難先としての地位を回復するでしょう。

総じて、投資家は中東の緊張状態が更に高まらないか注視する一方、世界経済の健全性に引き続き注目する必要があると考えています。

1 Data source: U.S. Energy Information Administration, International Energy Statistics, Total oil (petroleum and other liquids) production, as of September 22, 2023
2 The Organisation of the Petroleum Exporting Countries (OPEC) and its allies, including Russia, are known as OPEC+
3 Data source: US Department of State

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