Global Multi Asset team

嵐のあとの静けさ?

月次レポート | 2024年9月30日現在

9月のグローバル株式は最初の下落後に急騰し、最高値を更新しました。これを後押ししたのが米連邦準備制度理事会(FRB)の4年ぶりの利下げで、通常の下げ幅を上回る大幅利下げとなりました。9月下旬には中国人民銀行と中国政府が追加の景気刺激策を打ち出し、中国株を中心としてセンチメントがさらに改善しました。FRBがほかの先進国中銀と同様に金融政策を緩和方向に転換したことを受け、グローバル債券も上昇しました。コモディティでは、米経済に対する懸念から原油価格が下落した一方、金は過去最高値をつけ、1オンス2,600米ドルを突破しました。

弊社はグローバル株式に対する強気のスタンスを維持し、アロケーションを若干増やしています。米大統領選が間もなく実施されますが、リスク資産は向こう数週間は好調とみています。地域別では引き続き米国と欧州を選好しているほか、新興国市場株については企業業績の上方修正が相次いでいることに留意しています。ファンダメンタルズに基づき日本株に対する良好な見方も維持していますが、ここ数カ月にみられた日本円のボラティリティを踏まえ、この数カ月来の日本円に対するオーバーウェイトを徐々に減らしています。

債券に対しては依然として強気の見方をとっていますが、過去数カ月に比べ慎重姿勢を強めています。英国債はデュレーションの質が高く、上昇余地があるとみています。このほか、ハードカレンシー建て新興国債券についても一段と強気の見方をとっています。

コモディティにおいては、実質金利の低下、米ドルの下落、新興国市場中銀の金買い入れによる支援などの要因から、金への前向きなスタンスを維持しています。原油に対しては慎重にみています。これは、OPECプラスおよびOPEC以外の国からの供給が増加する可能性を考慮したものです。通貨では、FRBが利下げサイクルに転じたことを踏まえ、日本円に上昇余地があるとみています。

 

戦略的な資産配分見解の要約

これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

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資産クラス
インデックス・リターン(%)
1カ月 /3カ月 /6カ月
資産クラスの見通し
強気/ 弱気
コメント
代表的な資産クラス
 グローバル株式

2.3

6.6

9.7

    申し分のない米国マクロ経済指標、世界的な利下げ、中国の刺激策に対する期待が市場を支える
グローバル・ソブリン 1.7 7.2 5.3   マクロ経済指標のトレンドがグローバル債券市場を引き続き支える見通し
コモディティ 4.9 0.7 3.6   中国の刺激策表明を受けコモディティが急騰。OPECプラスが再び原油の供給を増やすことが懸念材料
通貨 (米ドル) -0.9 -3.7 -1.8   FRBが金利を50bp引き下げ、利下げサイクルに転じたことから米ドルはモメンタムを失う
株式
 米国株 2.1 5.9 10.4   底堅い経済とFRBのハト派寄りスタンスは米株式に良好な組み合わせ。大統領選後は通例、市場が支えられる
欧州株 1.0 3.1 1.3   インフレ低下がECBの利下げペースを加速させる可能性。中国経済の回復が支えとなることに期待。経済のモメンタムを注視
日本株 -1.5 -4.9 -3.3   円は変動が大きいが、実質金利の低い環境が維持される。経済は底堅く企業業績は堅調
新興国市場 6.7 8.7 14.2   中国の景気改善が見込まれる中、新興国市場株にフローの見直しと回復の好機が存在
債券
 米国債 1.2 4.7 4.8     米国債にとりモメンタムは良好だが、このトレンドを一段と支えるには景気の減速が必要
英国債 0.0 2.4 1.4   イングランド銀行の政策は依然として支援的、バリュエーション水準も比較的良好で英国債の追い風に
ユーロ圏ソブリン 1.3 3.9 2.6   経済活動の鈍化とインフレ率の一段の低下がユーロ圏国債を後押し
米国ハイ・イールド  1.6 5.3 6.4     スプレッドはタイトな水準に達しているものの、良好なファンダメンタルズとリスク選好度の高さが引き続き支援材料に
エマージング債 1.8 6.6 6.8   ソフトランディング、リフレ政策、新興国の金融緩和策は新興国債券にとり健全な組み合わせ
コモディティと通貨
原油 -5.9 -11.7 -10.6   OPECプラスや、米国、ブラジル、ガイアナなどOPEC以外の国からの供給増が原因でさらに圧力がかかる可能性
8.6 4.1 15.1   中期的な需給動向は引き続き良好
5.2 13.2 18.1   米実質金利の低下や米ドル安、新興国中銀の外貨準備に占める金の割合上昇が支え
USD vs. EUR -0.8 -3.8 -3.1    

このところ勢いが失われたが、成長率の差とスプレッドは引き続き米ドルを支える

GBP vs. EUR -1.1 -1.7 -2.6     英ポンドのテクニカル面の見通しは改善、一方でイングランド銀行の利下げの可能性は依然高い
USD vs. JPY -6.8 -5.0 2.1     バリュエーションは日本円に支援的だが、キャリートレードに有利な環境が円の重しとなる可能性

出所: Bloomberg Finance L.P.; 2024年9月30日現在のデータ。

過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証するものではありません。

グローバル株式はMSCI AC World Daily TR、グローバルソブリンはFTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD、コモディティはBloomberg Commodity Index、通貨(米ドル)はBloomberg Dollar Spot、米国株式はS&P 500 Index、ユーロ圏株式はMSCI EMU Index(EUR)、日本株式はTOPIX Index(JPY)、新興国市場はMSCI EM NR、米国債は J. Morgan U.S.A. 国債Index、英国債はJ. Morgan U.S.A. 国債Index、 ユーロ圏ソブリンはJ. Morgan EMU Investment Grade Index、米州債はJ. Morgan U.S. A.,、米国債はDaily Daily TRで表示されています。米国債はJ.P. Morgan米国国債インデックス、英国ギルトはJ.P. Morgan英国国債インデックス、ユーロ圏ソブリンはJ.P. Morgan EMU投資適格指数、米国ハイ・イールドはBloomberg U.S. Indexで算出。Corporate High Yield、EM fixed income by J.P. Morgan EMBI Plus Index、Oil by S&P GSCI Crude Oil、Copper by BBG Copper TR、Gold by GOLD SPOT $/OZ. 通貨については、米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。

Top Insights

市場展望インサイト

経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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FRB9月に利下げサイクルを開始し、その政策対応機能の焦点がFRBに課された2つの使命のうち雇用側にシフトしたことを示唆して以降、労働市場の動向はそれなりに堅調なものでした。

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欧州中央銀行(ECB)は12月12日の会合で25bpの利下げを実施し、預金ファシリティ金利を3%に引き下げると予想します。

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