Global Multi Asset team

年末ラリーか、あるいは冬の到来か?

11月のグローバル株式は変動が激しかったものの、最終的には月初めと概ね同水準で月を終えました。AI銘柄の割高なバリュエーションやAI関連投資の拡大に対する懸念が世界的に売りを招き、テクノロジー株の下げにつられる形で相場が下落しました。各市場は月の早い段階に生じたAIへの警戒感を切り抜けましたが、なかでも欧州株が上げを主導しました。日本株は、台湾を巡る日本と中国の緊張が高まるなかでじり高傾向となりました。米国市場では月初めにテクノロジー銘柄主導の調整がみられましたが、その下落分を取り戻し、月末にはプラスに転換しました。一方、新興国市場株のパフォーマンスは先進国市場を下回りました。グローバル債券は、米連邦準備理事会(FRB)による12月の追加利下げ観測に支えられ、かろうじてプラスとなりました。最も好調だったのは米国債で、イールドカーブの短期サイドの大部分で利回りが低下しました。AIを主因とするリスク回避姿勢が強まるなか、逃避先となる金は価格が上昇しました。

このところのボラティリティ上昇や、米経済指標およびFRBの先行きを巡る不透明感はあるものの、弊社はリスク資産に対する楽観姿勢を維持し、リスク全般への見解をほぼ変更していません。具体的には、企業決算の堅調ぶりやAI関連投資、年末という季節要因などが追い風となる株式を最も選好しています。地域別には概ねバランスのとれた見解を維持しています。米国と日本は好調な企業収益に下支えされていますが、ユーロ圏へのエクスポージャーは若干縮小しています。また、底堅い経済成長と緩和的な金融政策を踏まえ、新興国市場に対してはなお最も強気の配分を行っています。

ソブリン債では米国のデュレーションに強気の見方を維持する一方、利下げサイクルが終了に近づいているユーロ圏および英国については楽観姿勢を引き下げています。最も強気にみているのが、良好なキャリーや企業業績の底堅さに支えられている新興国債券です。クレジットでは、スプレッドや資金フローが支えとなる米ハイイールド債へのスタンスをさらに強気にしています。通貨では、対ドルのユーロの選好度を引き下げたものの、長期的な米ドルへの慎重姿勢は変えていません。最も選好している金は、中銀の需要やETFからの資金流入を踏まえ、一段と強気のスタンスをとっています。

戦術的な資産配分見解の要約

これらの戦術的見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

出典:Bloomberg Finance L.P.、データは2025年11月30日時点。過去の実績は将来のリターンを保証するものではありません。

グローバル株式:MSCI World Net Total Return Local Index (USD), グローバル国債:FTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD terms (USD), コモディティ:Bloomberg ex-Agriculture & Livestock Capped 6 Month Forward Index (USD), 為替(米ドル):Bloomberg Dollar Spot, 米国株式:S&P 500 Net Total Return Index, ユーロ圏株式:EURO STOXX 50 Net Return Index (EUR), 日本株式:TOPIX Net Total Return Index (JPY), 新興国株式:MSCI Emerging Net Total Return USD Index (USD), 米国国債:Bloomberg US Govt Total Return Value Unhedged USD Index (USD), 英国債:J.P. Morgan GBI UK Unhedged LOC Index (GBP), ユーロ圏国債:J.P. Morgan EMU Investment Grade - Unhedged EURO Index (EUR), 米国ハイ・イールド債:Bloomberg US Corporate High Yield Total Return Index (USD), 新興国債券:J.P. Morgan EMBI Global Diversified Composite Index (USD), 原油:Bloomberg WTI Crude Oil Subindex Total Return (USD), 銅:Bloomberg Copper Subindex Total Return (USD), 金:Bloomberg Gold Subindex Total Return (USD), 米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。

Top Insights

金利を読み解く

世界経済は堅調な成長とインフレの安定、さらにAIブームに支えられています。一方で、市場構造の変化により、パブリックからプライベートまで幅広い資産クラスで新たなアプローチが必要となると考えらえれます。

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市場展望インサイト

12月9日~10日に開催されるFOMC会合の見通しは極めて読みにくいものとなっています。パウエル議長は、12月の利下げは「既定路線とはほど遠い」と強調していました。米政府閉鎖に伴う公式統計発表の停止により経済情勢の見通しが制約されたことや、経済の予想以上の堅調さを受けて、警戒感が強まっています。

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市場展望インサイト

日本銀行(日銀)は10月の会合で政策金利を0.5%に据え置く一方、次の利上げに向けた地ならしを行う見通しです。利上げ時期はおそらく12月と考えられますが、1月にずれ込む可能性もあります。

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