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米大統領選挙 :「悪いのはインフレ」

月次レポート | 2024年10月31日現在

10月のグローバル株式は、大部分が下落して終わりました。そのごくわずかな例外が日本株でした。セクター別ではヘルスケア、素材、生活必需品、不動産が大きく下げた一方、金融、通信サービス、エネルギーが上昇しています。グローバル債券は下落しました。特に米国債は、経済指標が予想より強く利回りが急上昇して売られました。欧州では、欧州中央銀行(ECB)が今年3回目の利下げを実施し、金利が25bp引き下げられています。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する予想を投資家が調整したのに伴い、米ドルが上昇しました。さらに、地政学的緊張や米大統領選後の政治リスク評価を背景に金は最高値を更新し、1オンス約2,800米ドルをつけています。

グローバル株式に対し弊社は引き続き強気のスタンスをとっていますが、エクスポージャーは若干減らしました。バリュエーションはなお割高ですが、インフレは概ね落ち着いており、着実な成長とモメンタムの強さも加わって株式の上昇基調を支え続けるとみています。関税が引き上げられるリスクに留意し、欧州については米国ほど楽観視していません。関税引き上げの影響は中国株にも及ぶと思われます。ただ、資本市場を支える中国政府のこのほどの刺激策表明を受け、バリュエーションが非常に魅力的な新興国市場に対し弊社はさらに楽観的にみています。

債券について、弊社は見解をよりニュートラルな方向に引き下げ、米ハイイールド債をわずかに追加しました。米国債は、財政赤字の拡大と底堅い経済成長の影響で一段と困難な状況に直面する可能性があります。一方、ユーロ圏ソブリン債について弊社は比較的楽観視しています。これは、ECBがその金融政策の方向性を明確に示しているため、経済指標による不意打ちがあっても市場が混乱する可能性がより低いと思われるためです。コモディティでは金を大きく選好する一方、原油に慎重な見方をとっており、選別姿勢を維持しています。

戦略的な資産配分見解の要約

これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

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資産クラス
インデックス・リターン(%)
1カ月 /3カ月 /6カ月
資産クラスの見通し
強気/ 弱気
コメント
代表的な資産クラス
 グローバル株式

-2.2

2.6 10.9     (地理的)政治的な支障がなく、ファンダメンタルズ面全般でみると一段の上昇の可能性
グローバル・ソブリン -3.7 0.2 4.4   目下のバリュエーションは魅力的。経済活動の底堅さと政治的なリスクプレミアムが債券市場の圧力に
コモディティ -1.9  3.0  -1.0   商品による差が大きく、全般にやや慎重なスタンス。金を選好、原油には慎重な見方
通貨 (米ドル)  2.9  0.4 -0.6   関税引き上げや財政政策拡張の可能性を受け、大統領選前に米ドルが上昇
株式
 米国株 -0.9  3.7  14.1   大統領選のほとぼりが冷めれば、選挙後は米国株に良好な時期、ファンダメンタルズ面も支援的
欧州株 -3.3 -0.8  -0.2   企業業績を中心とする指標の見通しは顕著に悪化、関税を巡る不確実性もユーロ圏株式の足を引っ張る
日本株 1.9 -2.6  -0.6   指標がいくぶん悪化、政治的な不確実性も加わり見通しの重しに。投資家はポジションを圧縮
新興国市場 -4.4 3.6  8.6   米大統領選は関税引き上げリスクをもたらすが、中国の刺激策が2024年の残り期間の基調をつくるとみられる
債券
 米国債 -2.3  0.1 4.7     強い雇用統計と米大統領選の見通しから米国債が売られ、市場のモメンタムの足かせに
英国債 -2.6  -2.1  1.8   グローバル債券の動向との相関性や予算改革を巡る不透明感が、良好なトレンドの重しに
ユーロ圏ソブリン -0.9  0.7 3.0   マクロ経済指標の悪化により債券の売りは限定的、バリュエーションは依然として概ね支援的
米国ハイ・イールド -0.5  2.7 6.9     ハイイールド債に対するリスク選好度は変わらず、政治面の騒動が落ち着けば安定推移する見通し
エマージング債 -1.8 2.6  6.9   ファンダメンタルズとモメンタムがともに良好ながらも、米国債の激しい動きに高い感応度を示す
コモディティと通貨
原油 2.9  -6.6 -7.9   イスラエルの報復後、追加増産の見込みを踏まえて市場が再びファンダメンタルズに注目する可能性
-4.3 4.2 -3.3   中期的な需給動向は引き続き良好、中国の追加刺激策が短期的に需要を押し上げる可能性
4.2 12.1 20.0   米実質金利の上昇や米ドル高にもかかわらず、(地理的)政治的不確実性が高く金への需要は旺盛
USD vs. EUR 2.3  -0.5  -2.0     ユーロ圏の一部指標は良好ながら、ユーロは米ドルに対して上昇せず

 

GBP vs. EUR 1.3  0.2  -1.2     英ポンドのテクニカルな見通しは良好だが、イングランド銀行による利下げの可能性は依然高い
USD vs. JPY 5.8  1.4 -3.7     政治の不透明感が円の重し。スプレッドや為替のボラティリティ上昇は円の支援要因

出所: Bloomberg Finance L.P.; 2024年10月31日現在のデータ。

過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証するものではありません。

グローバル株式はMSCI AC World Daily TR、グローバルソブリンはFTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD、コモディティはBloomberg Commodity Index、通貨(米ドル)はBloomberg Dollar Spot、米国株式はS&P 500 Index、ユーロ圏株式はMSCI EMU Index(EUR)、日本株式はTOPIX Index(JPY)、新興国市場はMSCI EM NR、米国債は J. Morgan U.S.A. 国債Index、英国債はJ. Morgan U.S.A. 国債Index、 ユーロ圏ソブリンはJ. Morgan EMU Investment Grade Index、米州債はJ. Morgan U.S. A.,、米国債はDaily Daily TRで表示されています。米国債はJ.P. Morgan米国国債インデックス、英国ギルトはJ.P. Morgan英国国債インデックス、ユーロ圏ソブリンはJ.P. Morgan EMU投資適格指数、米国ハイ・イールドはBloomberg U.S. Indexで算出。Corporate High Yield、EM fixed income by J.P. Morgan EMBI Plus Index、Oil by S&P GSCI Crude Oil、Copper by BBG Copper TR、Gold by GOLD SPOT $/OZ. 通貨については、米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。

Top Insights

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経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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