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再び地政学に注目が集まる

月次レポート | 2023年10月31日現在

ハマスのイスラエル攻撃が犠牲者を生み、この影響がガザ地区以外にも波及することが懸念されたため、グローバル株式は売られました。このほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的スタンスの継続や、強弱まちまちな第3四半期決算の内容もセンチメントを悪化させました。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは10月、ほぼすべてのセクターが下落し、唯一上昇した公益セクターでも上げ幅はごくわずかでした。一方、グローバル債券は強弱が入り混じった状況でした。米国債はFRBが年内もう1回の追加利上げの可能性を示唆し続けたことを受け下落しましたが、ユーロ圏債券はリターンがわずかながらプラスになりました。10月には米国債10年物の利回りが2007年7月以降で初めて5.0%を超えたほか、ドイツ国債10年物の利回りが一時、12年来最高の3.0%に上昇しました。日本国債もまた、日銀が近くイールドカーブ・コントロール 政策を修正するとの観測が高まり、利回りが上昇しました。

悪材料が多いことを受け、弊社は株式に対するポジションを強気から中立に変更しています。株式の中では、直近の下落はあったものの、引き続き日本株を選好しています。債券については全セグメントで資産クラスに慎重な見方を維持していますが、特に米ハイイールド債や新興国債券などリスクが比較的高い資産により慎重な姿勢をとっています。対照的に、コモディティについては一段と強気にみています。地政学的リスクはグローバル経済の先行きに懸念を投げかけるものの、エネルギー市場を上昇させる可能性があり、不確実性の増大に対するヘッジとして金を支える可能性もあります。通貨においては、好調な米経済指標とセンチメントを踏まえ、弊社は資金の逃避先通貨として引き続き米ドル(USD)をわずかに選好しています。

戦略的な資産配分見解の要約

これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信を反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

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資産クラス
インデックス・リターン(%)
1カ月 /3カ月 /6カ月
資産クラスの見通し
強気/ 弱気
コメント
代表的な資産クラス
 グローバル株式 -3.0 -9.6 -1.9    バリュエーションの高さや金融引き締め政策とは対照的に成長や決算内容が依然として底堅く、見通しは強弱まちまち
グローバル・ソブリン -1.2 -5.8 -7.7   米国債のモメンタムが利回り上昇を後押ししているが、さらなる引き締めの可能性は低下しており、このスタンスは限定的
コモディティ 0.3 -1.2 3.1   中東における新たな地政学的紛争の勃発が、エネルギーだけでなく、リスクヘッジとしての金にも非対称的な上振れリスクをもたらす
通貨 (米ドル) 0.8 4.8 4.0   好調な米経済指標と資金の逃避先という位置づけが追い風に。米ドルに対するセンチメントも良好
株式
 米国株 -2.1 -8.3 1.4   実質金利が2.5%程度で推移していることを踏まえると、一段のポジティブサプライズによってGDPが目覚ましい成長を維持する可能性は低い
欧州株 -3.3 -9.2 -6.4   成長が鈍化しモメンタムが悪化する中で、テクニカル要因もファンダメンタル要因もユーロ圏株式の重しとなる
日本株 -3.0 -2.1 10.8   直近の下落はあったものの、中銀による経済への足かせがなく、先進国市場では引き続き最も魅力的
新興国市場 -3.9 -12.2 -4.8   マイナスのトレンドと収益の下方修正にもかかわらず、中国など、政策措置によるカバーはいまだなされず
債券
 米国債 -1.2 -3.8 -5.9    堅調な経済指標と供給要因が依然として債券の重しとなるが、目下の水準は保有に魅力的
英国債 -0.4 -1.9 -5.0   米国債と強い相関。インフレ率の低下傾向とマクロ経済要因を踏まえれば弊社は前向き
ユーロ圏ソブリン 0.4 -1.9 -1.9   利回りは上昇トレンドにあるが、ECBの利上げ休止、インフレ率の低下、景気減速がユーロ圏ソブリン債の魅力を高める
米国ハイ・イールド
-1.2 -2.1 0.0     リスクオフのセンチメントと割高なバリュエーションが引き続き足を引っ張る見通し
エマージング債 -1.5 -6.6 -4.0   米利回り水準の上昇とドル高が打撃、テクニカル要因も引き続き重荷に
コモディティと通貨
原油 -8.7 3.7 12.0   供給がなおタイト、在庫が低水準にある中で米国は80米ドル以下でSPR*を引き上げ。地政学的リスクが上昇の追い風に
-1.9 -8.5 -4.7   中期的な需給見通しは良好ながらも、短期的な好材料が不足
7.3 1.0 -0.3   地政学的リスクと中銀の金購入により価格が上昇。実質金利および米ドルとの連動がなくなる
USD vs. EUR 0.0 4.0 4.2    好調な米経済指標にもかかわらず、ユーロは緩やかに回復。利回り格差と市場ポジションが米ドルの支えに
USD vs. GBP 0.4 1.6 -0.7     インフレ鈍化とイングランド銀行のタカ派的スタンスの後退を背景に英ポンドが下落。市場ポジションは英ポンドにマイナス
USD vs. JPY 1.5 6.6 11.3    日銀の決定を受け円は下落したが、利回り差とバリュエーションは円に支援的

* 戦略石油備蓄

出所:Bloomberg Finance L.P.; 2023年10月30日現在のデータ

過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。

グローバル株式はMSCI AC World Daily TR、グローバルソブリンはFTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD、コモディティはBloomberg Commodity Index、通貨(米ドル)はBloomberg Dollar Spot、米国株式はS&P 500 Index、ユーロ圏株式はMSCI EMU Index(EUR)、日本株式はTOPIX Index(JPY)、新興国市場はMSCI EM NR、米国債は J. Morgan U.S.A. 国債Index、英国債はJ. Morgan U.S.A. 国債Index、 ユーロ圏ソブリンはJ. Morgan EMU Investment Grade Index、米州債はJ. Morgan U.S. A.,、米国債はDaily Daily TRで表示されています。米国債はJ.P. Morgan米国国債インデックス、英国ギルトはJ.P. Morgan英国国債インデックス、ユーロ圏ソブリンはJ.P. Morgan EMU投資適格指数、米国ハイ・イールドはBloomberg U.S. Indexで算出。Corporate High Yield、EM fixed income by J.P. Morgan EMBI Plus Index、Oil by S&P GSCI Crude Oil、Copper by BBG Copper TR、Gold by GOLD SPOT $/OZ. 通貨については、ユーロ(EUR)、日本円(JPY)、英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対米ドル(USD)で表示されています。

Top Insights

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経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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