Global Multi Asset team
インフレの「ラストマイル」?
月次レポート | 2024年4月30日現在
4月は、イスラエル・イラク間の地政学的緊張の急激な高まりが市場で大きく懸念され、株式の売りと原油価格の急騰を招きました。イスラエルの慎重な対応と全面対決の回避を受けて月末にかけ株式市場が持ち直し、原油価格の上昇圧力が緩和しました。一方、米国を中心にインフレ指標が予想を上回る状況が続き、2024年の利下げの可能性がさらに後退しました。根強いインフレ指標をどう解釈するかという点で、4月には「良いニュースは好材料」から「良いニュースは悪材料」へと再びパラダイムシフトが起きたかにみえ、株式、債券の両市場が下落する結果となりました。
このような動きに鑑みて、弊社は株式、特に米国株に対し、戦術的に一段と慎重なアプローチをとりましたが、全般に強気のスタンスは維持しています。最も強く確信しているのは依然日本株であり、魅力的なバリュエーションのほか、株主価値を一層重視する資本市場に向け変革が続いている点で投資機会があるとみています。また新興国市場(EM)株式に対しては、中立に近いスタンスに移行しました。弊社が米ドル(USD)高の継続を見込んでいることが、その一因です。債券については概ね前向きな見方を維持しているものの、年初来からのモメンタム悪化を受け、4月には債券のポジション全体をさらに減らしました。国債市場では、米国債のポジションをややアンダーウェイトに変更し、日本国債にはとりわけネガティブな見方を維持しています。また、ここ数カ月のスプレッドの大幅なタイト化を受け、ハイイールド債およびよりリスクの高いクレジットへのエクスポージャーに慎重姿勢を強めました。為替においては、「資金の逃避先」の観点、および目下の環境における金利見通しを踏まえ、引き続き米ドルを選好しています。また、現在の地政学的緊張から、貴金属やコモディティ全般で価格が一段と上昇する可能性があるでしょう。
戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。