Global Multi Asset team
欧州の政治的混乱—市場へのインパクトに身構えるのか、あるいは万事順調か
月次レポート | 2024年6月30日現在
世界の主要な中央銀行によるこのほどの利下げやインフレ圧力の一段の緩和を受け、6月の株式は上昇が続きました。しかし欧州では、欧州議会選の結果を受けフランスのエマニュエル・マクロン大統領が解散総選挙に踏み切ったことで、再びボラティリティが上昇しました。その結果、フランスではスプレッドが欧州危機以来の水準に達し、フランスの銀行は大きく時価総額が減少しました。グローバル債券は、米インフレの伸び率が低下したことを受けて上昇しました。米国では社債のパフォーマンスが国債を下回りましたが、ユーロ圏では逆に社債の方が好調でした。金の価格は6月にわずかに下落した一方、銅価格は4月半ば以来の最安水準に急落しました。これは、中国を中心とする工業需要の低下が懸念されたことによるものでした。
弊社はリスク資産に対し概ね強気の見方を維持しています。ただし、足元で政治の不確実性が高まっているユーロ圏の株式の動向を注視しています。日本株については、マクロ、ミクロの両データが良好なことを理由に強気姿勢を維持していますが、円安による大きな変動に引き続き留意しています。
債券に対しては、市場のストレスは既に相当程度が債券価格に織り込まれているとの見解から、一段と前向きな見方を強めています。ただ、ユーロ圏周辺国に対しては、わずかながらより慎重な姿勢をとっています。若干見解を引き上げたのが新興国市場債券(米ドル建て)です。この債券は、ボラティリティが許容可能な水準にあり、キャリー資産の質が比較的高い特徴があるからです。
コモディティには全般に前向きなスタンスを維持しています。なかでも金については、地政学的緊張の継続や、個人投資家および新興国市場中銀による旺盛な需要を背景に強気姿勢をとっています。また為替市場では、対円の米ドルを引き続き選好しているほか、欧州政治の目下の不確実性からユーロに対する米ドルのロングポジションを維持しています。
戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。