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地政学的不確実性のなか1月は順調な出だし

月次レポート | 2024年1月31日現在

グローバル株式は、インフレ率の低下と堅調な経済指標に支えられ、2023年末からの上昇軌道が継続しました。一部の優良企業で決算内容が予想を上回り、幅広い市場に楽観姿勢が広がりました。なかでもテクノロジーおよび通信セクターは1月に目覚ましいパフォーマンスをみせました。かねてから高まっていた利下げ期待 が縮小したために、債券市場は若干下落しました。コモディティ市場では、紅海における地政学的緊張の高まりを受け、原油価格が上昇しています。

インフレ率低下や好調な企業決算、昨年からのパフォーマンスの勢い継続など複数の要素が重なっていることから、弊社はグローバル株式に対して引き続き慎重ながらも楽観的見方をとっています。しかし、依然として高い利下げ期待や投資家の強気なポジショニングを考慮すると、株式市場における短期的な調整のリスクは上昇しています。以上を踏まえ、弊社はグローバル株式のファンダメンタルズ面の見通しをわずかに引き下げました。新興国市場、特に中国に対しては慎重な見方を維持しています。一方、円安の継続や企業効率改善を図る政府の取り組みなどから、日本を有望な投資先と考えています。国債およびハイイールド債については、スプレッドが大幅に縮小したことを受け、これまでの非常に強気のアプローチを弱めました。コモディティに関しては、ガス市場への支援材料がないことを主な理由として、ファンダメンタルズ面でより慎重なスタンスをとっています。金についてはなお抵抗線を注視してより好ましい再エントリーポイントを探るとともに楽観姿勢を維持していますが、原油に対する見通しは引き下げています。通貨では、対ドルのユーロにややポジティブな見方をとっています。

戦略的な資産配分見解の要約

これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

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資産クラス
インデックス・リターン(%)
1カ月 /3カ月 /6カ月
資産クラスの見通し
強気/ 弱気
コメント
代表的な資産クラス
 グローバル株式 0.6 15.1 4.1    このところの上昇が行き過ぎとの懸念はあるが、成長およびインフレの指標は支援的
グローバル・ソブリン -1.7 7.8 1.5   ソブリン債への買い意欲に下支えはあるが、利下げ予想は過剰と思われる
コモディティ 0.4 -4.5 -5.6   センチメントは依然弱く、天然ガスの急騰後は平均回帰する可能性
通貨 (米ドル) 2.1 -3.0 1.6   米ドルは2024年に入り上昇、テクニカル面は改善するもセンチメントは依然米ドルに不利
株式
 米国株 1.7 16.0 6.4   力強いモメンタムの主導役はもはや巨大テックに限定されず、4銘柄のうち3銘柄が上昇に貢献
欧州株 2.2 13.8 3.3   経済活動はリセッションに近い水準にとどまるが、企業収益には底堅さ
日本株 7.8 13.4 11.0   金融政策、企業収益、良好なモメンタムと、魅力的な要素が重なる
新興国市場 -4.6 7.0 -6.0   新興国市場は依然遅れをとる。中国不動産は低迷が続き、成長はなお低水準
債券
 米国債 -0.3 6.6 2.6   全般にトレンドは良好だが、FRBが引き締め姿勢を排除する中で、短期的なボラティリティを見込む
英国債 -2.3 6.3 4.3   インフレ率がなお高水準にあり、イングランド銀行は利下げを先送り
ユーロ圏ソブリン -0.5 6.1 4.1   欧州中央銀行(ECB)の最近のハト派姿勢とユーロ安が支えに
米国ハイ・イールド
0.0 8.4 6.2    全般的なリスク選好になお支えられるが、スプレッドは大きく縮小
エマージング債 -1.3 10.8 3.5   金融政策が全体に緩和方向にあることに鑑みると中期的には明るいが、短期的には固有の要因が重し
コモディティと通貨
原油 6.2 -5.5 -2.0   投機的なポジショニング、OPECプラスの誓約、低水準の在庫、地政学的緊張から上昇の余地
0.9 7.3 -1.8   供給サイドは依然タイト、ただし中国経済の低迷により短期的な好材料に欠く
-1.1 2.8 3.8   実質金利の低下にもかかわらず、なおレンジ内にとどまる
USD vs. EUR 2.0 -2.2 1.7    ECBの強いハト派スタンスと米国の循環的な指標の強さが示されたことを受け、米ドルは対ユーロで上昇
USD vs. GBP -1.7 -2.0 -0.5     景気循環通貨である英ポンドが2024年に入り底堅い動きをみせる中で、英ポンドは構造的支えに欠く
USD vs. JPY 4.2 -3.1 3.3    日銀のスタンスがタカ派気味になっても円は米ドルに対して上昇せず

出所: Bloomberg Finance L.P, internal model and signals.; 2024年1月31日現在のデータ。

過去の運用実績やシミュレーション結果は、将来の運用成果等を保証するものではありません。

グローバル株式はMSCI AC World Daily TR、グローバルソブリンはFTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD、コモディティはBloomberg Commodity Index、通貨(米ドル)はBloomberg Dollar Spot、米国株式はS&P 500 Index、ユーロ圏株式はMSCI EMU Index(EUR)、日本株式はTOPIX Index(JPY)、新興国市場はMSCI EM NR、米国債は J. Morgan U.S.A. 国債Index、英国債はJ. Morgan U.S.A. 国債Index、 ユーロ圏ソブリンはJ. Morgan EMU Investment Grade Index、米州債はJ. Morgan U.S. A.,、米国債はDaily Daily TRで表示されています。米国債はJ.P. Morgan米国国債インデックス、英国ギルトはJ.P. Morgan英国国債インデックス、ユーロ圏ソブリンはJ.P. Morgan EMU投資適格指数、米国ハイ・イールドはBloomberg U.S. Indexで算出。Corporate High Yield、EM fixed income by J.P. Morgan EMBI Plus Index、Oil by S&P GSCI Crude Oil、Copper by BBG Copper TR、Gold by GOLD SPOT $/OZ. 通貨については、ユーロ(EUR)、日本円(JPY)、英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対米ドル(USD)で表示されています。

Top Insights

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経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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FRB9月に利下げサイクルを開始し、その政策対応機能の焦点がFRBに課された2つの使命のうち雇用側にシフトしたことを示唆して以降、労働市場の動向はそれなりに堅調なものでした。

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