Global Multi Asset team
米株式市場の好調ぶり、トランプ氏勝利の結果
月次レポート | 2024年11月30日現在
11月はドナルド・トランプ氏が米大統領選で地すべり的勝利を収めたことが市場の主な変動要因となり、市場によってパフォーマンスが大きく異なりました。米国では減税と規制緩和への期待から投資家の楽観姿勢に弾みがかかり、株式が上昇しました。これに対し、欧州や日本、多くの新興国市場を中心とした他市場では、関税引き上げへの懸念がパフォーマンスの足を引っ張りました。11月のグローバル債券は過剰な財政支出とインフレ圧力に対する懸念が生じたことで不安定になり、関税強化の可能性がさらに変動を大きくしました。一方、スコット・ベッセント氏が次期米財務長官に指名されたため、11月末には投資家の間に安心感が広がりました。米ドル高が進んだ一方、原油価格はほぼ横ばいで月を終えました。暗号資産が突出した好パフォーマンス資産となったのに対し、金の上昇は勢いを失いました。 弊社はグローバル株式に引き続き前向きな見方をとっていますが、全体のエクスポージャーは減らしました。この調整は、「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」する関税政策の逆風を受ける米国以外の市場への警戒感を反映したものです。米株式にとり、トランプ氏政策の実行順位が重要になるでしょう。減税が関税に先行して実施される見込みが高く、この場合、中期的に米株式市場が上昇する可能性があります。米小型株は弊社が選好する市場セグメントの1つです。その国内集中を考慮すると、保護主義政策に最も恩恵を受けるセグメントであることが理由です。
債券に対する見解は依然として均衡した状態です。米国債に対しては概ねニュートラルなスタンスです。利回り水準は魅力的ながら、モメンタムの悪化がこれを帳消しにしているからです。一方、ユーロ圏ソブリン債に対する弊社のスタンスはより楽観的です。経済成長の勢いの鈍化や関税引き上げの影響がその追い風になる可能性があるためです。米ハイイールド債は依然、モメンタムの強さと成長見通しの底堅さの恩恵を受けています。ただしスプレッドがタイト化しており、慎重な姿勢が必要です。
コモディティでは選別姿勢を維持しています。国債に代わる魅力ある安全な逃避先として、引き続き金を大きく選好しています。
また、(地理的)政治的混乱がアセットアロケーションに及ぼす影響という点で、2025年は2024年よりもはるかに高いアジリティが必要になると弊社はみています。戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。