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景気後退への懸念、現時点では反応は行き過ぎ

月次レポート | 2024年7月31日現在

グローバル株式の重要テーマは7月にテクノロジー企業からバリュー株へと大きく移行し、AI関連銘柄および半導体銘柄が特に影響を受けました。米国とユーロ圏の中央銀行は予想どおり金利を据え置きました。日本円は日銀が金利を15bp引き上げたことで月末に急上昇し、日本株は急落しました。投資家が円キャリートレードの解消に動き、これに予想よりも低調な米雇用指標も加わって世界全体でリスク資産への連鎖反応を引き起こしました。この結果、米国と欧州で先送りされていた利下げが実施されるとの観測が強まり、国債に利益をもたらしました。

今後数週間は変動が大きい可能性があるものの、弊社は中期的に株式市場に強気の見方を維持しています。ソフトランディング・シナリオが実現する可能性がさらに高まり、これが引き続きリスク資産の支えになるとみているためです。米国株については、依然モメンタムに支えられてはいますが、投資家のポジションの大きさや割高なバリュエーションを考慮し、ファンダメンタルズの見通しに慎重姿勢を強めました。ユーロ圏株式に対しては先月すでに楽観的見方をやや後退させていますが、英国株は過小評価され保有も十分ではないため引き続きオーバーウェイトとしています。また日本株に対しては、向こう数カ月は日銀が金利を据え置くと見込み、前向きなスタンスを維持しています。

国債については、利下げの可能性が引き続き追い風になるとみて、デュレーションへの強気の見方を維持しています。ハイイールド債はモメンタムの強さと魅力的なキャリーに支えられていますが、ファンダメンタルズは魅力が低下しており、経済指標がさらに軟化した場合にはリスクにさらされる恐れがあるでしょう。

ドナルド・トランプ氏は(米大統領に就任した際に)原油価格の引き下げを進めると公言しており、また中国の経済指標は低調です。コモディティにとりこれらはいずれも好材料ではないため、弊社は見解を若干引き下げました。金については、目下の環境を踏まえ極めて明るい見方を維持しています。

戦略的な資産配分見解の要約

これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信をファンダメンタルおよびシステマティックな指標に基づき反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。

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資産クラス
インデックス・リターン(%)
1カ月 /3カ月 /6カ月
資産クラスの見通し
強気/ 弱気
コメント
代表的な資産クラス
 グローバル株式 1.6 8.1 12.4     利下げ見通しと世界の高成長率が着実な支えに
グローバル・ソブリン 3.0 4.2 0.2   景気循環指標の軟化と金利改定の見通しがグローバル債券の支援材料に
コモディティ -4.0 -3.9 0.5   原油は余剰生産能力が高く不透明な状況。このため、金および貴金属を選好する選択的なポジション
通貨 (米ドル) -1.2 -1.0 1.3   ボラティリティを原動力に、資金の逃避先通貨は米ドルに対して上昇。米ドルは依然キャリーに支えられる
株式
 米国株 1.2 10.0 14.8   FRBによる利下げが見込まれ、反発が大きくなる可能性。超大型株の業績見通しは厳しい可能性も
欧州株 0.4 0.6 6.5   成長率や政治情勢はまちまちだが、ECBによる追加利下げの可能性が主な魅力
日本株 -0.5 2.1 10.8   円の急騰が一時的に株価の重しになるが、ファンダメンタルズ全般の強さはなお十分
新興国市場 0.3 4.8 13.1   割安なバリュエーションや若干明るい指標から企業業績や成長見通しはポジティブだが、変動が激しい
債券
 米国債 2.1 4.6 1.6     FRBによる9月の利下げ見通しと経済指標の軟化を受け、米国債市場は上昇
英国債 1.8 4.0 1.4   イ英国の経済指標は改善。ただし、米国債との相関や、イングランド銀行の利下げが織り込まれることが英国債の支えになる
ユーロ圏ソブリン 2.2 2.3 0.7   ECBは表向きには9月の政策スタンスを「広く開かれている」としているが、主要指標の動きは依然強い
米国ハイ・イールド
1.9 4.0 4.6     ファンダメンタルズの健全さは追い風。スプレッドは約330bpsと厚く、キャリーも魅力的
エマージング債 2.0 4.2 5.9   米国債利回りの低下傾向と新興国市場のマクロ指標の安定ぶりが支えとなる
コモディティと通貨
原油 -2.8 -1.4 9.6   OPECプラスは2025年に大幅増産の見通し。米国の次期政権によって増産圧力がかかる可能性も
-4.4 -7.2 8.6   ポジションはなお過剰であるものの、需要増と供給逼迫により見通しは明るい
5.2 7.1 20.0   新興国中銀と個人投資家が引き続き金の備蓄を増やす。安全な逃避先資産として金が選好される
USD vs. EUR -1.0 -1.5 -0.1     米国のインフレ低下により米ドル上昇は一服、スプレッドはなお米ドルに支援的
GBP vs. EUR -0.6 -1.4 -1.2     ボラティリティ上昇に伴い英ポンドは下落。英国の根強いインフレと経済指標の改善は英ポンドの支援材料
USD vs. JPY -6.8 -5.0 2.1     為替介入後に円が上昇。全般にタカ派的な日銀のスタンスは支援的要因

出所: Bloomberg Finance L.P.; 2024年7月31日現在のデータ。アセットクラスの見通しは2024年8月6日現在。

過去の運用実績は、将来の運用成果等を保証するものではありません。

グローバル株式はMSCI AC World Daily TR、グローバルソブリンはFTSE World Government Bond Index - Developed Markets in USD、コモディティはBloomberg Commodity Index、通貨(米ドル)はBloomberg Dollar Spot、米国株式はS&P 500 Index、ユーロ圏株式はMSCI EMU Index(EUR)、日本株式はTOPIX Index(JPY)、新興国市場はMSCI EM NR、米国債は J. Morgan U.S.A. 国債Index、英国債はJ. Morgan U.S.A. 国債Index、 ユーロ圏ソブリンはJ. Morgan EMU Investment Grade Index、米州債はJ. Morgan U.S. A.,、米国債はDaily Daily TRで表示されています。米国債はJ.P. Morgan米国国債インデックス、英国ギルトはJ.P. Morgan英国国債インデックス、ユーロ圏ソブリンはJ.P. Morgan EMU投資適格指数、米国ハイ・イールドはBloomberg U.S. Indexで算出。Corporate High Yield、EM fixed income by J.P. Morgan EMBI Plus Index、Oil by S&P GSCI Crude Oil、Copper by BBG Copper TR、Gold by GOLD SPOT $/OZ. 通貨については、米ドル(USD)と英ポンド(GBP)は、それぞれの通貨対ユーロ(EUR)、米ドル対日本円(JPY)で表示されています。

Top Insights

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経済情勢はこれまでのところ、日銀の見通しに概ね沿っています。成長は安定的に推移し、債券市場は底堅さを見せています。

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FRB9月に利下げサイクルを開始し、その政策対応機能の焦点がFRBに課された2つの使命のうち雇用側にシフトしたことを示唆して以降、労働市場の動向はそれなりに堅調なものでした。

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