日本株月次レポート:3月
独自の視点を持った投資判断
当社株式運用プラットフォームのリサーチの強みとして、グラスルーツ・リサーチ®(https://jp.allianzgi.com/about-grassroots-research)とグローバル・リサーチ・コラボレーションがあげられます。また積極的なエンゲージメント活動(https://jp.allianzgi.com/engagement-and-corporate-governance.pdf)によって企業価値向上にも貢献しています。
資産運用会社は世界に数多く存在しますが、戦略ごとの投資プロセスは類似していると感じます。奇をてらった投資戦略が奏功する期間も一時的にはあるかもしれませんが、投資目的やリスク許容度を考慮して説明能力の高いポートフォリオを構築し、資産を適切に管理する必要性から、結果として運用プロセスが類似したものに収れんしていくと認識しています。
当社も運用プロセスそのものを意外性のあるものとするような考えはありません。当社の強みは、個別企業が遂行する事業を分析しキャッシュフローの成長を推測して投資判断に結び付けるまでの、独自性に基づくひとつひとつの判断であると認識しています。
一般に人の考えにはバイアスがつきものです。「確証バイアス」として知られていますが、だれしも知らないうちに自分にとって好都合な情報ばかりを集めがちで、反証となりうる情報を軽視してしまう傾向をもっています。この架空の「確証」をほかの多くの投資家ももつと安心感が産まれ、ますますバイアスから逃れることが難しくなる例は多く見受けられます。運用プロセスが類似していても、この確証バイアスを抑える仕組みができているか、自分の意見さえも相対化してとらえることができるか、という点が重要であり、ユニークなリターンを産み出す原動力につながるものと考えます。
一つの取り組みとして、あえて自分の見解とは異なる見方をするストラテジストと積極的に議論するなどの例が挙げられます。しかし日本在住で日本株市場に専念するリサーチャーらの見方に根本的な大きな差が存在するとも感じられません。
上述した各社の「類似した運用プロセス」はいずれも企業の「本源的価値」に近付こうとする資産運用業界の試行錯誤の結果と思います。そのプロセスそのものが各社互いに類似している以上、より高い確度で本源的価値に迫るための独自の工夫が必要であると考えます。
この観点から、冒頭に挙げたグラスルーツ・リサーチ®、グローバルリサーチ、エンゲージメント活動はいずれも当社独自の工夫であるともいえます。幅広い問題意識をもち多角的な観点から調査活動を行うことで、奥行きのある分析が可能になると考えます。
企業訪問だけでは得られない情報をグラスルーツ・リサーチ®から、日本在住リサーチャーからは得られない情報をグローバル拠点のアナリストから、そして財務情報からでは得られない情報をエンゲージメント活動から取り込み、これらを組み合わせ独自の仮説をたて、企業価値算定のベースとすることができるのです。自分たちの仮説が正しくない場合、それに早く気がつくことのできるアンテナの高さと広さをもち、柔軟に対応し、再度仮説を作り直すことも必要です。この終わりのない調査活動を繰り返し丹念に続けることが重要と感じます。
この月次レポートでは、これら当社の強み・特徴が、どのように実際の投資判断に落とし込まれていくのか、臨場感をもってお伝えしていきたいと考えています。