日本株月次レポート:2月 臨時版

日経平均株価、史上最高値更新

2024年2月22日終値で日経平均株価がバブル期の1989年12月につけた史上最高値を更新し、3万9098円68銭へ上昇しました。

日経平均が1万円を下回って推移していたリーマン・ショック以降の数年間、3万9000円台という株価は気の遠くなるような水準で、当時、最高値を更新する日がくることを想像できた投資家は少なかったと思います。

34年前の日本株は世界的にも稀にみるバブル経済の中で適正水準とは到底考えられない株価でしたが、日経平均は日本経済を象徴する指数であるため、常にその異常値と比較されてきました。

中小型株を含めた市場全体を反映するTOPIX(東証株価指数)はまだ最高値更新には至っていませんが、象徴的指数である日経平均が心理的節目を超えたことの意義は大きく、市場ではむしろ、出遅れ株の上昇によって指数の上値余地は大きいとの見方がおおいように思われます。

2023年からはじまった日本株の上昇相場には、名前がつけられていません。

過去株式市場が上昇するたびにバズワードが飛び交っていました。ドットコム・バブル(1999年)、郵政解散・政治改革(2005年)、BRICS(2007年)、アベノミクス・黒田バズーカ(2013年)、ハイテク・スーパーサイクル(2017年)などがあげられます。

一方、2023年以降の株式市場の上昇要因は数多くあり、どれか一つが突出して影響をあたえていたわけではなかったためにシンプルなバズワードが独り歩きすることもなかったものと思います。

コロナ禍からの経済再開、インバウンド需要の回復、コーポレートガバナンス改革、需要牽引型のインフレへの移行、円安と企業業績の改善、賃上げ期待、AIへの期待、新NISAによる資金流入など、これらすべての要因が断続的・重層的に奏功し、日本株市場を押し上げてきたものと認識しています。一本足打法ではなく、さまざまなピースが組み合わさって好循環をつくりだしてきたからこそ、息の長い上昇相場が続いていくものと考えています。

いみじくも政府は、資産運用立国実現プランを掲げ、家計金融資産の半分以上を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元され、さらなる投資や消費につながる資金の流れを創出するという青写真を描いています。(注:内閣官房、資産運用立国実現プランhttps://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/sisanunyou_torimatome/plan.pdfより)

こうした政策に息吹をふきこむのは、当事者のひとつの主体である資産運用会社の役割と考えます。企業の経営陣と直接対話する機会を持つアクティブ運用の社会的責任を受け止め、当社だからこそ提供できる付加価値を追求していきたいと思います。

上場企業によるガバナンス改革と、運用会社のエンゲージメント活動が相乗効果をうみだし、日本の企業価値向上が持続的なトレンドになるものと思います。 経営陣と投資家の対話、が株式市場の好循環をささえるピースとして機能するものとなるかどうか、当社を含めたアクティブ運用者の力量が試されることになると考えます。

 

 

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