Global Multi Asset team
中央銀行に注目が集まる
月次レポート | 2023年4月30日現在のデータ
直近の経済指標では、中国の2023年第1四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比で4.5%の伸びとなるなどの改善が一部でみられた一方、労働市場の指標はまちまちの状況だったことから、中央銀行による利上げ 実施への懸念が高まりました。このため、市場参加者の注目は5月初めの主要中央銀行の発言に集まりました。欧州中央銀行(ECB)が5月に25bpの利上げを実施することは多くの投資家が正しく予想していましたが、このところ指標への依存の強まりが 伝えられていることを踏まえると、賃金が予想以上の上昇を続けるのに伴い、この先タカ派的スタンスが強まるかもしれません。米国の地銀破綻が波及するリスクは拭えませんが、市場参加者の注目は今後、目下の決算発表シーズン、および与信条件の厳格化が景況感と成長率に及ぼす影響へと移る可能性があります。
こうした市場環境のもと、弊社はこのほど、債券に対しこれまでとっていたデフェンシブな 姿勢を和らげました。これは、最近の利回り上昇に加え、市場が追加利上げをすでに織り込み済みであることから、中期的に金利がさらに大きく上昇する可能性は低下するとの見解に基づいています。また、弊社は株式に対し若干より強気 の姿勢を取り、モメンタムの支えを理由に引き続き欧州株と日本株をオーバーウェイトしています。ファンダメンタルズ面では、このところのパフォーマンスは期待外れだったものの、引き続き新興国市場株に魅力があるとみています。主要中央銀行の利上げに対する懸念がおもな原因で米ドルは主要通貨に対し勢いを失っていますが、このことは対米ドルのユーロなど、主要通貨に対する弊社のポジティブなスタンスを裏付けています。
戦略的な資産配分見解の要約
これらの戦術的 見通しは、短期的な状況、ならびにチームの分析の方向性および確信を反映しています。 見解は、ポートフォリオ構築の検討からは独立したものです。