日銀金融政策決定会合
タカ派的サプライズは回避し利上げへ
主なポイント
- 日銀は政策金利を1%まで引き上げると見込まれます。
- インフレ圧力の高まりや妥当な賃上げを踏まえると、今回の利上げには十分な理由があります。中東情勢に起因する成長リスクは残るものの、最近の日銀からの発言は、現時点ではエネルギー価格の上昇や円安によって一段と強まるインフレリスクを、より重視していることを明確に示しているように見受けられます。
- 市場にサプライズを与えるような対応、例えば大幅にタカ派的なガイダンスの提示や50bpの利上げなどは回避すると見ています。
- 当社については、現時点では、日本の資産に対して大きなアクティブポジションを取ることは控えたいと考えています。
日銀政策決定会合(6/15-16)の見通し
日銀が追加利上げを実施し、政策金利を1%に引き上げるとの見方は広く共有されています。経済指標もこの判断を十分に裏付けており、日銀自身もその方向性を丁寧に示してきました。今後の焦点は、将来の利上げ経路に関してどのようなシグナルが発せられるかです。インフレ圧力は、円安やエネルギーコストの上昇を背景に引き続き強まっています。一方で、商品価格の上昇は成長に対する下押し要因ともなっており、政策判断を一層難しくしています。
為替介入にもかかわらず、円は対ドルで再び下落基調にあり、日銀がよりタカ派的な政策シグナルを出すのではないかとの思惑が再燃しています。一部の市場参加者は、想定よりも速い利上げペースや0.5%幅の追加利上げ、さらには年内の臨時的な政策変更の可能性まで議論していますが、こうした見方は時期尚早だと考えます。黒田前総裁の下では、期待に働きかける手段としてあえて政策サプライズを用いることもありましたが、植田総裁の下ではこれまでのところ、予見可能性を重視し、段階的に政策を進める姿勢が際立っています。実際には、過度な引き締めを避けるために、やや後手に回ることを許容する運営となっています。このような背景を踏まえると、日銀が現行のアプローチから大きく逸脱する兆候は限定的です。より強い対応の引き金となり得るのは、円の無秩序な下落ですが、現状ドル円は160円台をやや上回る程度にとどまっており、当局の為替介入手段もまだ残されています。このため、現時点で金融引き締めが加速するとは見ていません。加えて、中東を中心とする地政学リスクも、エネルギーや商品価格を通じて成長を下押しする可能性があり、日銀は市場のボラティリティを高めるような政策には慎重になるとみられます。
政策見通しにおける日銀のコミュニケーションの重要性を踏まえ、記者会見は市場の注目を集めることになると思われます。ただし、植田総裁は現在入院中であるため、代わりに内田副総裁が出席する見通しです。このため、新たに強いメッセージが発せられる可能性はやや低下するかもしれません。
以上を踏まえ、当面は日本資産に対して大きな積極ポジションは取らない方針です。ここ数週間で株式市場の不安定さは増しています。中期的には経済成長や企業収益に支えられ、日本株への見方は前向きですが、短期的にはリスクリターンの魅力が低下しています。債券市場では、インフレ期待の上昇と日銀の追加利上げ観測を背景に国債利回りは上昇しています。今後については、短期的にタカ派的なサプライズの可能性は低いとみられ、金利は現在の水準で安定していく可能性があります。
円については、構造的な下押し圧力は引き続き存在しますが、過度な円安に対処する政策対応や、すでに高いドル円水準を踏まえると、当面のリスクリターンはより均衡していると考えられます。