市場展望インサイト
新興国債券が再び注目を集める理由
新興国債券はこれまで、高いリスクやデフォルトと結び付けて語られることが少なくありませんでした。しかし、この資産クラスは過去30年間で大きな変貌を遂げ、かつてのニッチな投資対象から多くの投資家にとって中核的な投資テーマへと変化してきました。長年にわたる懐疑的な見方を経て、投資家だけでなく格付機関も、ファンダメンタルズの改善、魅力的な実質利回り、そしてマクロ経済環境の恩恵を認識し始めています。
主なポイント
- イラン情勢を背景とする市場の変動にもかかわらず、新興国債券は底堅さを示しました。
- 過去2年間のデフォルト発生率はゼロであり、この資産クラスのリスク特性の改善を反映しています。
- 当社は、新興国債券はポートフォリオの分散投資において重要な役割を果たすと考えています。
新興国債券が再び注目を集めています。アリアンツGIの新興国債券運用責任者(CIO)であるリチャード・ハウスが、この資産クラスへの関心が高まっている背景や2026年の見通し、投資家にとっての投資機会とリスクについて解説します。
新興国債券市場のパフォーマンス
今年はこれまでのところ、非常に波乱含みの展開となっています。イラン情勢を受けて当初は米ドルが上昇し、新興国通貨が下落したほか、エネルギー価格の上昇によるインフレ圧力を背景に、現地通貨建て債券の利回りも上昇しました。しかし、新興国債券は今回も比較的高い底堅さを示しました。その後、市場は安定を取り戻し、国債のリスクプレミアムは強い投資家需要に支えられて紛争前の水準に戻っています。
注目すべきは、投資家が紛争を巡る市場の変動にほとんど動じなかったことです。現地市場も反発しているものの、インフレショックを受けて通貨は依然として弱含みであり、金利水準も構造的に高い状態が続いています。こうした環境の下、ポートフォリオではアクティブなポジション運営と銘柄選択により、年初来でプラスのアルファを創出しています。足元では市場の変動性が高まっているものの、新興国債券は引き続き魅力的な投資機会を提供しているものとみています。
アリアンツGIでは、機関投資家およびリテールの両分野でこうした前向きな傾向が見られており、2026年のさらなる成長に向けた好材料となっています。
2026年の見通し
私たちは、新興国債券という資産クラスおよび当社のプロダクトへの資金流入が今後も続くとみています。新興国のファンダメンタルズは改善しています。現在、多くの新興国では、過去と比べて財政状況が健全化し、金融政策の信認が高まり、制度基盤も強化されています。独立性の高い中央銀行や、より規律ある財政運営の枠組みを導入した国も多く、市場の変動性の低下と投資家の信頼向上につながっています。同時に、デフォルトリスクも大幅に低下しています。また、個別のデフォルトが発生した場合でも、この資産クラスは現在では非常に裾野が広く分散されているため、その影響が市場全体に波及することはほとんどありません。
実際、ここ数年はデフォルトが一件も発生しておらず、この傾向は今後も続くと見込んでいます。格付会社もこうした進展を評価し、相次ぐソブリン格付けの引き上げを通じて、この資産クラスのリスク特性の改善を反映しています。こうした変化は多くの投資家に好ましい材料として受け止められています。
投資家の観点からこの資産クラスに投資すべき理由
主な理由として、高いインカム収益、信用力の改善、そして良好なマクロ環境という、他資産ではなかなか見られない組み合わせが挙げられます。収益面では、過去数年にわたる世界の債券市場の価格調整を経て、新興国ソブリン債の利回りは過去数年間のレンジの中でもより高水準に近い位置にあり、非常に魅力的な水準となっています。
また、新興国債券はポートフォリオの分散投資において重要な役割を果たしており、他の資産クラスとの相関が比較的低いため、効率的なコア資産配分を構築するうえで有力な選択肢となります。ただし、適切なバランスを実現するためには、ファンダメンタルズ、流動性環境、そして変化するマクロ環境を慎重に見極めることが重要です。
留意すべき主なリスク
リスクの多くは、新興国そのものではなく外部要因にあります。エネルギー価格が高止まりすればインフレリスクが高まり、米ドル高につながる可能性があります。これは新興国債券にとって明らかに逆風となります。また、AI関連株のバリュエーションやバブル的な過熱への懸念が、市場センチメントに影響を与える可能性があります。さらに、2026年にはいくつかの選挙が予定されており、特に年後半のブラジルと2026年半ばのコロンビアの選挙は、それぞれの国で不透明感をもたらす可能性があります。
もっとも、こうしたリスクが存在する一方で、この資産クラスは裾野が広く十分に分散されているため、一国で発生した事象が市場全体に広く波及する可能性は低いと考えられます。
アリアンツGIのサポート体制
新興国債券は発行体の多様性が高く、また構造的要因と景気循環的要因の双方が資産クラスに影響を及ぼすため、アクティブな銘柄・国選択が極めて重要になると考えています。現在では70カ国以上が新興国債券を発行しており、市場規模は約25兆米ドルに達します。これは世界の債券発行残高のおよそ4分の1に相当します。¹ 私たちは、最終的にはマクロ経済要因が資産価格のパフォーマンスを左右すると考えています。そのため、有望な投資先を見極めると同時に、パフォーマンスが劣後する投資先を回避することが重要です。当社では、確信度の高い投資先に厳選して投資するアプローチを採用しています。マクロ経済やバリュエーション面に懸念がある国については、ベンチマーク上の構成比率にかかわらず、投資を見送る場合もあります。
こうした運用を実現するには、複数の市場サイクルを経験してきた運用チームの存在が不可欠です。当社の新興国債券運用チームの業界経験年数は平均17年に達し、幅広い投資ユニバースをカバーしています。また、主要ベンチマーク指数²に対して過去7年間にわたり良好な運用実績を積み重ねており、これは当社の投資哲学とチームの専門性の強さを示していると考えています。
アリアンツGIの新興国債券運用にとって、2026年はさらなる成長に向けた重要な年になると考えています。お客様とともに、その機会を捉えていけることを楽しみにしています。
アリアンツGI新興国債券チームの専門領域と調査担当地域
出所:アリアンツGI、2026年時点。過去の実績や予測、予想、見込みは将来の実績を示唆・保障するものではありません。
2 JP Morgan EMBI Global Diversified Index および JP Morgan Equal Weight Indexを使用。